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IBは「障害」を持つ生徒と学ぶことを想定している③ 〜IBの考えるインクルーシブ教育〜

皆様お世話になってます。小林です。

今回は、前々回からのお話させて頂いている本テーマを、締めくくりたいと思います。

結論から申しますと、すでにタイトルにも記載しています様に、

IBは「障害」を持つ生徒と学ぶことを想定しています。


その大枠は、”Equity and inclusive education in the IB”というページに示されています。


このページは以下の文言から始まります。

IBは、すべての生徒がIBのプログラムに完全に参加できるよう、障壁を取り除き、あるいは軽減するように設計された教育へのインクルーシブなアプローチを信念としている。

Equity and inclusive education in the IB(意訳)


そして、以下のように続きます。

インクルーシブ教育は、学校コミュニティ全体で作り上げる協力体制・互い
への尊重・サポート・問題解決の基盤の上に成り立っていく。

世界中を見渡すと、インクルーシブ教育は障害のある生徒を教育に巻き込んでいこうとする運動から、すべての学習者を対象とし生徒の多様性を重視する総合的なアプローチへと発展してきた。

Equity and inclusive education in the IB(意訳)

そしてIBは、

世界中のIB校における公平性でインクルーシブ教育を支援するための方針を作成し、維持し、リソースを作成する。 

と示しています。


そのリソースの1つである「Access and inclusion policy」に記載されている内容を一部紹介したいと思います。


授業においては、

「学びへの障壁を軽減する/取り除く」 という見出しで、

生徒が学校に入学すると、学校は生徒の学習ニーズに応える責任がある。
これには、適切な手段を用いて学習や指導にアクセスできるようにすることも含まれる。
ユニバーサルデザイン・フォー・ラーニング(UDL)を考慮し、指導計画の中で生徒がどの様に学習にアクセスできるか考えなければならない。

Access and inclusion policy


UDLとは、平たく言えば、一人一人違うのだから、学び方も人それぞれであるという考えです。

そのため例えば、UDLを用いた教室では、一部の生徒はグループディスカッションをしていて、他の生徒は教師からレクチャーを受け、さらに他の生徒はさまざまなメディアを使用して勉強をしている、という学習環境もありえます。

そして、何かしらの不自由を抱えた生徒も、そのフレキシブルな環境で、自分に合った方法で学んでいる、というのがUDLの考え方です。

引用:https://ellii.com/blog/a-quick-guide-to-universal-design-for-learning


さらに、最終試験に関しては、以下のようなサポートががある様です。(多くのことが書かれていたのですが、私に理解できた具体的なサポートを記載してみました。)

試験時間の延長
手話通訳者の補助
試験用紙の拡大コピー
音声での出題
リーディングペンの使用 など

Access and inclusion policy


このように、IBは「障害」を持つ生徒と学ぶことを想定しています。

とは言っても、特別な支援が必要な生徒を教えるとなると、ハードルが高く感じる先生方が多いのではないでしょうか。
(実際、私自身もその様に感じてしまいます。)


そこで必要となるアプローチが、

特別支援の専門知識を持った教員とのCo-Teaching(一緒に教える)

ではないかと考えています。 参考:(Eredics, N, 2018)


近年では、ALT(外国語指導助手)と、日本人の英語科の先生Co-Teachingを行う機会が増えてきたかと思います。

私の以前勤めていた学校は、中学理科の授業を日本語と英語で行う稀有な学校でしたので、私(日本人の理科教員)+外国人の理科教員+ALTの3人でCo-Teachingをしていました。


私達は、週に1時間、定期ミーティングを行い、次週の授業計画を立てていました。


労力がかかっていると見せかけて、むしろ授業準備を分担でき、アイデアを出し合うことで授業の質が高まり、さらにALTが英語の習得に関するアプローチを豊富に提供してくれる(時に一部授業をしてくれる)ので、
効率的で楽しい、目から鱗のアプローチでした。



故に、特別支援の専門教員が、科目の専門教員と共に授業計画を立て、
必要に応じて授業に入り支援をする体制
があれば、


インクルーシブ教育
はより現実味を帯びてくるのではないでしょうか。


IBは「障害」を持つ生徒と学ぶことを想定しているものの、実際に取り組んでいる学校を、私は残念ながら見たことがありません。

しかしながら、世界各国に何千校と点在するIB校の中には、このインクルーシブ教育を実現している学校はあると思っています。

読者の皆さまでご存じの方がいましたら、ぜひご教示頂けますと幸いです。


本日もお付き合い頂き、誠にありがとうございました。


「こんなことを記事にして欲しい!」など、コメント・ご要望もお待ちしております。

♦️本記事は、一般に公開されている情報の範囲内で作成されるよう留意しています。

参考文献 (Co-Teachingに関して)

Eredics, N. (2018). Inclusion in Action: Practical Strategies to Modify Your Curriculum. Brookes Publishing. https://ebookcentral.proquest.com/lib/univ-people-ebooks/detail.action?docID=5405127


#国際バカロレア #IB #IBDP #障害 #特別支援 #インクルーシブ教育



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