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サッカー嫌いだった少年がアビスパに出会ってから、サッカーコーチとしてスポンサーになるまで。

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サッカークラブをお金の面から支えているのが、スポンサー企業の存在。ユニフォームに企業名を掲出する大口スポンサーから小口スポンサーまで、クラブに共感する法人が集まり、スポンサー料を払うだけでなく、その権利を活用した様々な活動が展開されています。今回は幼少期からベススタに通い、今シーズンから小口スポンサーとしてアビスパ福岡を支える田中さんを取材しました。

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【プロフィール】田中先生。アビスパ福岡サポーター。幼稚園の先生 × 体育の先生 × サッカーの先生の三足のわらじ。スポーツ教室『ビリームスポーツクラブ』を今年度より設立し、 アビスパ福岡サポートファミリーブロンズに加入し、スポンサーとしてクラブを支える。アビスパ福岡サポーター16年目、スポンサー1年目。Twitterアカウントはこちら。

取材日:2021年3月7日(日)


※今回の記事は、以下の投稿を再構成しつつお送りいたします



サッカーへの印象をガラリと変えた
アビスパ福岡との出会い。


下田:田中さんはもともと、サッカーが嫌いだったとお聞きしました。

田中:実はそうなんです。僕は小学生の時に、サッカー好きの父と友だちの影響でサッカーを始めました。最初は日に日に上達していく手応えがあり、サッカーをどんどん好きになっていったのですが、5年生の時にコーチが変更になりまして、サッカーをしていて怒られることが増えていきました。

今でも忘れられないのが、5年生の夏に出場した大会でのことです。トーナメント方式の中、僕が決勝ゴールを決めて6-5の勝利を収めた試合がありました。しかし試合後のミーティングで「この試合は10-0で勝たないといけない試合だった」と言われたんです。僕は褒めてもらえないことに悲しみを覚え、それからチームには常に10-0で勝つ意識が蔓延り、点をとっても「あと◯点!」と数えるようになっていきました。


下田:どこかやらされているというか、サッカーを心から楽しめない感覚に陥ったのですね。

田中:コーチに怒られないためにサッカーをしている感覚でした。最初は自分が楽しみたくて始めたのに、次第にサッカーを楽しめないようになっていきました。そして僕を含めて、3人がほぼ同時期にサッカーを辞めました。今思えば、ここで前向きに考えたり、悔しさを次に繋げることができなかったのは、自分の甘い部分でもあったと思います。でも当時の僕は、「楽しくない」を理由にサッカーをやめる決断をしました。


下田:小学生時代に「サッカー=楽しくないもの」という強烈な体験をされた田中さんは、そこからどのようにしてアビスパ福岡と出会うのでしょうか?

田中:小学6年生の2学期に、親の転勤があって福岡に引っ越すことになりました。そこで地元にアビスパ福岡というサッカークラブがあることを知って、サッカー好きの父親から「一度見に行かないか?」と誘われたことがきっかけです。初めて行ったのは2006年4月、浦和レッズ戦でした。



下田:この試合で何があったのでしょうか?

田中:父がレッズ好きだったこともあり、スタジアムに行く目的は「レッズのスター選手とレッズサポーターを見たい!」でした。

でも実際に席に座ると、僕の心は「アビスパの応援すごくない?」の感情でいっぱいになりました。応援席の近くで観ていたこともあり、耳に強く残ったのはアビスパの応援でした。この試合の入場者数(21,545人)は現在も破られていないホームゲームの最多記録となっていて、とにかくスタジアムの雰囲気が素晴らしかったです!


下田:スタジアムの空気感に魅了されたあとは、どのようにハマっていったのでしょうか?

田中:2006年はレッズ戦以降も継続的に観に行ったのですが、久々のJ1を戦うアビスパはとにかく勝てませんでした…。それでも選手たちはピッチでがむしゃらにプレーし、サポーターは大きな声や手拍子を通じてチームを鼓舞し、そして勝利をつかむと選手・スタッフ・サポーター・みんなで喜び合う。アビスパの試合を見れば見るほど、自分の心の中で眠っていたサッカーへの想いが蘇ってくる感覚がありました。


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下田:田中さんがアビスパ福岡を通じて再発見した「サッカーの面白さ」とは何でしたか?

田中:今思うと、「サッカー」という一つのスポーツに対してここまで感情移入できることへの驚きが大きかったです。誤解を恐れずに言ってしまえば、ピッチ上で戦っているのは赤の他人なわけじゃないですか。サッカーをする楽しさしか知らなかった僕にとっては、サッカーを「観る」ことに熱くなれることが新しい発見でした。


下田:でもそのシーズン、残念ながらアビスパ福岡は降格してしまいました。

田中:入れ替え戦のことはよく覚えています。2試合トータル1-1でしたが、アウェイゴールによってアビスパは敗れました。降格が決まった瞬間、ピッチ上の選手がうなだれ、サポーター席も静まり返っていました。僕もサポーター1年目とはいえ十分愛着は湧いていたので、悔しくて泣きそうになっていたのですが、恥ずかしさから堪えていたんです。

でも、パッて横を見たら父がめっちゃ泣いてて…。周りの人もみんな、甲子園で負けた球児のように泣いていたんですよね。

僕はそのとき、「大の大人をこんなに泣かせるアビスパってすごくない?」と思いました。そこから、「みんなで喜べたらいいな」「このチームが強くなっていくところが見たいな」と思うようになり、今日まで16年間応援を続けています。


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下田:他のサポーターさんに話を聞くと、スタジアムへ通う動機に「行くとサポーター仲間に会える」と挙げる方が多くいらっしゃいました。田中さんが16年間通い続けている動機はいかがでしょうか?

田中:自分の場合は、ゴールが決まった瞬間、勝利が決まった瞬間が好きで通い続けています。スタジアムには、テレビ越しでは味わえない喜びがありますよね。ゴールが決まれば知らない人とでもハイタッチができること、勝って選手がスタジアムを一周している時にみんなが笑顔で拍手していること、その空間が好きでスタジアムに通っています。

あとは、2013年の経営危機を経験したことが、今の自分に大きな影響を与えました。



下田:その時のことを詳しく聞かせていただいてもよろしいでしょうか?

田中:胸スポンサーがついていないシーズンがあるなど、アビスパ=お金がないイメージは以前から持っていました。その中で2013年10月に経営危機が明るみになり、「いよいよやばいんだな」と思って。でもそのときの僕はお金のない大学生で、自分じゃどうしようもなかったんです。


下田:アビスパ福岡がこの経営危機を脱するにあたり、スポンサーなどのサポーターが大きな役割を果たしたんですよね。

田中:まず、スポンサーが動きました。地元の老舗企業である『株式会社ふくや』さんが支援品を作り、売上はアビスパに全額寄付することを発表しました。それにサポーターも応え、支援品はすぐに完売。『ふくや』さんの支援品は、父が僕の分も含めて買っていました。


そのあたりから「周りの大人はこうやってアビスパを支えてきたんだ」と知り、スポンサーを中心とするクラブを支える人たちの有り難みを意識するようになりました。いま僕がスポンサーをやっているのは、学生時代に間近で見てきた「アビスパを支える大人」への憧れが強く影響しています。


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↑現在、5年ぶりのJ1昇格を記念し、ふくや、西日本シティ銀行、アビスパ福岡が共同でクラウドファンディングを行っています。



スポンサーになったのは
アビスパと一緒に戦うため。


下田:そこから7年ほど月日が経過し、田中さんは『ビリームスポーツクラブ』を立ち上げ、今シーズンよりアビスパサポートファミリー(ブロンズ)、いわゆるスポンサーに就任されました。


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まずは『ビリームスポーツクラブ』について教えていただけますでしょうか?


田中:2020年に僕が立ち上げたサッカースクールです。少し個人的な話をしますと、幼稚園の先生として3年間務めたあと、幼児体育の指導をしていました。その中の競技にサッカーがあり、生まれて初めて「ガチガチじゃない楽しいサッカー」を経験して、めちゃくちゃ楽しい!と思いまして。幼児体育の先生として経験を積んでいく中で、自分一人でもできるのではないかと思い、立ち上げたのがこのスクールになります。

幼児〜小学生を対象に、さまざまな場所で『サッカースクール』を実施しています。



下田:あらためて、スポンサーになった理由を教えていただけますか?

田中:先ほど申し上げたように、経営危機の時に周りの大人が支援している姿を見て、単純にかっこいいなと思っていました。そのときから、社会人になったら自分のお金でアビスパを応援する大人になろうと決めていました。ただ当時は、こんな未来が待っているとは全く想像していませんでしたが(笑)。

そんな中でスクールを作ったことで、「もしかしてスポンサーになれるのでは?」「意外と手が届くかも」と気付き、問い合わせてみたのがきっかけになります。なので自分は、アビスパが好きすぎるあまり、アビスパと一緒に戦う意識が強すぎてスポンサーになったのだと思います。


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下田:いちサポーターとして応援するのと、スポンサーに就任するのとでは、やはりアビスパに対して抱く"近さ"が違うのでしょうか?

田中:一歩踏み出した感覚はあります。サポーターとして、今まで以上にチームとともに戦える意識をもてるのが嬉しいです。クラブとしても小口スポンサーを増やす動きがあるので、アビスパと生活をより密接に絡めているサポーターが増えていっている印象があります。


下田:ビリームスポーツクラブに通っている子どもたちにとっては、「アビスパ福岡のスポンサーをしているスクールです」と聞くだけで、アビスパ福岡に親近感を抱くきっかけにもなるのではないでしょうか?

田中:クラブが小口スポンサーを募集してくれたことで、僕のような小規模な法人でもそのように言う権利を得ることができました。子どもたちもアビスパを身近に感じる要因になるので、この動きがどんどん広まっていったら嬉しいです。

いただいたポスターはコルクボードに貼るなどして持ち運び、「これが(このスクールがスポンサーをしている)アビスパだよ」と身近に感じさせることが一つ、あとはアビスパ福岡という身近なプロスポーツチームの存在を子どもたちに意識させることは、サッカーに対する強い動機づけにもつながると感じています。


下田:たとえばどのように動機づけるのでしょうか?

田中:試合中は後ろに立ってボールが来るのを待ち、ボールが来たらすぐに蹴って終わるような、ミスを恐れてチャレンジしない子どもは少なくありません。そういう自信のない子どもに対して、「アビスパはこの間の試合も勝ったけど、支配率やパス成功率は相手よりも悪かったんだよ。だからミスをしても大丈夫だよ」と伝えるだけで、見るからに意識が変わったりします。練習メニューでも「これはアビスパの選手たちもやっているんだよ」と言うだけで、いいリアクションしてくれるんですよ。身近にいるプロサッカー選手の影響力はそれだけ強いので、アビスパという例を出しながら伝えていきたいです。

加えて、「田中先生はアビスパのスポンサーなんだ」「このスクールはアビスパを支援しているんだ」となれば、子どもたちや保護者の方からの信頼にもつながると思いました。


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下田:「身近に感じさせる」とおっしゃいましたが、福岡でサッカーをしている子どもたちの中で、アビスパ福岡を知らない子もいるのでしょうか?

田中:「サッカー見たことある?」と聞いたら、半分くらいは90分間フルで見た経験がないと言うんです。アビスパどころかプロの試合すら見たことのない子どももいます。その子たちにいかにサッカーやアビスパの面白さを伝えられるかが僕の役割でもあると思っています。


下田:アビスパ福岡が掲げる基本理念の一つに「アビスパ福岡は、スポーツを通じて、子どもたちに夢と感動を地域に誇りと活力を与えます。」があります。田中さんは、アビスパの存在が子どもたちにどういった影響を与えていると思いますか?

田中:おととし、僕のスクール生2人が初めてアビスパの試合に行って、エスコートキッズとして選手と手をつないだことがあったのですが、2年経った今でも「アビスパの試合に行って、選手と手をつないだんだよ」と嬉しそうに話してくれます。子どもたちにとっては、地元にプロサッカー選手という憧れの存在がいること、その人と関わりを持てたことは大きな感動、思い出になるんだと感じました。また、自身が習っているサッカーで夢を叶えた人が身近にいることは、サッカーに関する夢を与えることにもつながると思います。


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下田:やや専門的な話で恐縮なのですが、子どもにとって感動を味わったり、身近に憧れの存在がいることは、発達の観点からも良い影響があったりするのでしょうか?

田中:子どもの成長において、「環境」は大事な要素の一つです。子どもは身の回りに何もなかったら興味を示さないので、大人が環境として用意することが大事です。なので、アビスパが子どもたちに目を向けて試合に招待をしたり、スクールをやったり、スタジアムで何かしらの体験を提供したり、といった環境を自主的に作っていることに共感しています。サッカーをやっている子も、そうではない子に対しても、アビスパ福岡の存在はポジティブな影響を与えていると思います。


下田:いまの話を聞いて、地域からたくさんの人々が集まるスタジアムの存在は、老若男女と関われる貴重な場になっているのかなと思いました。

田中:スタジアムには、普段の生活からは学べない非日常がたくさんあります。そういった意味で、すごく貴重な場になっていると思います。いま、昔と比べて子どもの遊び場が減っていると言われていますよね。その結果家にいる時間が増えているので、サッカースクールや体育教室の需要が増えています。家にいてスマホやゲームをしていると、対面でコミュニケーションを取る機会が減るので、色々な人と交流できるサッカースタジアムは非日常であり、社会性を育む場にもなっていると思います。


下田:田中さんがアビスパ福岡のスポンサーになった理由は、子供時代から観てきた"かっこいい大人"への憧れ、そしてアビスパ福岡のスポンサーとしてサッカースクールを運営することは、通っている子どもたちにとっても多くのいい影響があるんですね。


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サッカー未経験者のサークルを作り
アビスパサポーターと繋がっていきたい。


下田:他に、田中さんがスポンサーとして行っていきたいことはありますか?

田中:これは構想段階なのですが、いつか自分のスクールとアビスパを繋げて「アビスパサポーターかつサッカーを経験したことがない人」でサークルを作ってみたいなと思っています。

僕自身、サッカー経験はわずかで、個人参加型のサッカーやフットサルへ行く勇気がなかなか出ません。そういった方は多くいると思っていますし、だからこそフルコートで気楽に試合ができたら楽しいだろうなと考えています。以前Twitterでアンケートをとったところ、「サッカー経験はないけどアビスパが好き」な方が6割ほどを占めていました。サッカー未経験のアビスパサポで"アビスパごっこ"をしてみたいなと思っています。



下田:思ったよりもたくさんいらっしゃいますね。めちゃくちゃニーズありそうです!

田中:だと嬉しいです。例えばその参加費の半分をアビスパに寄付、残り半分はサークルや子どもたちのスクールで使う活動費に充てるような取り組みをしてみたいと思っています。まだまだ妄想の範囲ですが、自分がもっている夢の一つです。


下田:田中さんがそこまでアビスパに全力を注げる裏には、どんな理由があるのでしょうか?

田中:やはり一番は、強くなっていくアビスパを見たいこと。J1で頂点に立つクラブになってほしい想いで応援しています。また、アビスパの場合はサポーターが経営危機を目の当たりにしているので、優勝云々の前にチームがなくなるかもしれない怖さを知っています。だからこそ少しでも支えたいし、支えた上で頂点を目指してほしいので、必然的にアビスパにお金を落としたいと思っちゃいますね。


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下田:SNSを見ていると、アビスパ福岡サポーターの皆さんは「クラブのため」の視点を持って積極的に活動されている印象があったのですが、その理由の一つが経営危機の経験にあるのかもしれないですね。

田中:サポーターとスポンサーの関係性は、ほかのクラブよりも強いと感じています。クラブを支えている存在の有り難みを知っているので、スポンサーがアクションを起こすとサポーターが乗っかっていく感じはすごくいいなと。


下田:スポンサーとサポーターの関係性における、田中さんが共感している取り組みはありますか?

田中:アビスパのサポーター界隈でよく使われているハッシュタグに「#うちの自慢のスポンサー」があります。スポンサー企業の商品を買うなど何かしらの関わりがあった場合に、このハッシュタグをつけてツイートすることで、宣伝効果を生んだり感謝の気持ちを表すことができます。

たとえば僕は『ピザクック』さんのピザを観戦のお供に購入することが多いのですが、ツイートをするとコメントが返ってきたりします。これだけでもスポンサー企業への愛着は増しますし、アビスパ福岡を支えているお店に対しても貢献したい気持ちが芽生えてきます。



下田:ということは今後、アビスパサポーターの中で、ビリームスポーツクラブにお子さんを通わせる方が出てくる可能性もあるのではないでしょうか?

田中:サポーターの方といつかは繋がりたいと思っているんですけど、これからかなぁと思っています。現時点では「そもそもお前は誰なんだ」状態だと思いますので、自分の考えをもっと色んな人に広めて、少しでも理解していただけたら嬉しいですね。


下田:この場でビリームスポーツクラブをPRするならば、どの点を強調したいですか?

田中:僕が意識しているのは、子どもたちの「サッカーが好き」な気持ちを絶やさせないことです。


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下田:それはご自身が、小学生時代にサッカーを嫌いになってしまった経験から導かれたものでしょうか?

田中:はい。いま僕は、「サッカーが好き」だから指導者ライセンスを取ってサッカーの指導ができていて、「サッカーが好き」だからアビスパ福岡のスポンサーをできる存在になれました。何事も好きな気持ちさえ持っておけば、上手い下手は関係なく未来に繋がることを実感しています。自分がサッカーで嫌な思いをしたからこそ、子どもたちには「サッカーが好きな気持ち」を絶やさないで欲しいと日々意識しながら接しています。


下田:サッカーへの関わり方は、サッカー選手以外にも色々あります。例えば田中さんのようにスポンサーになる選択も、サッカーを好きな気持ちが前提になりますよね。

田中:幼稚園児に「大きくなったら何になりたい?」って聞くと必ず答えてくれます。でも、小学生になるに連れてどんどん答えなくなっていくんです。

なぜかというと、年齢が上がると周りと比べるようになってしまうから。「◯◯くんに比べて自分は下手だ」と思うようになったり、誰かに余計な一言を言われてしまったりします。

でも僕は、好きなことさえあれば、将来の選択肢は広がると思っています。僕はサッカー選手ではないですが、大好きなサッカーを仕事につなげることができているので、自分のような生き方が選択肢の一つとして伝わっていたらすごく嬉しいです。


下田:サッカーを好きな気持ちを絶やさせないために、どのような指導をしているのでしょうか?

田中:僕が伝えたいメッセージは、「好きなことはとことん楽しめ!」です。上手い下手関係なく、サッカーを好きでいてほしいと思っています。そうすれば自分のように、好きなことが夢につながるかもしれません。

だからこそ、できたときには承認をすること、できないときには怒るのではなくアドバイスをすることを意識して言葉掛けをするようにしています。


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下田:田中さんはサッカーを好きでい続けたことで、人生にどんな良いことがありましたか?

田中:僕はずっと、自分のことを人見知りで周りに合わせる人間だと思っていました。でも実は幼稚園の先生をやりながらサッカースクールを運営している人って、かなりの少数派なんです。こういう行動力が自分にあったことに驚いていますし、何が自分を動かしたのか考えると、やはり出てくるのはアビスパ福岡なんです。行動すること、子どもに伝えたい思いがあること、アビスパが自分に力を与えてくれたと感じています。


下田:「アビスパのため」だから行動できると。

田中:「好き」のレベルを超えてしまっている実感はあるのですが(笑)。でも僕にとってアビスパは、完全に人生の一部になっています。アビスパがなければサッカーを好きになることもなかったでしょうし、そうなるとサッカースクールを作ることも、子どもたちと出会うこともなかったと思います。


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下田:では、今シーズンのチームへの期待を教えてください。

田中:なんとしてもJ1に残り、定着することです。アビスパが強くなっていくことで周りからの注目度が高まっていくと感じます。未来で応援してくれるサポーターのことを考えても、今年こそは5年周期を終わらせてJ1残留を果たしてほしいです。


下田:最後に、アビスパサポーターの皆さまに伝えたいことはありますか?

田中:スポンサーを名乗っていますが、これからもスタジアムへ通って応援し続けるので、「こういう人がいるんだな」と知ってもらえたら嬉しいです。小学生時代の自分がアビスパに惹き込まれたあの雰囲気を、サポーターのみんなで作って、子どもたちに伝えられたらいいなと思っているので、これからもみんなでアビスパを盛り上げていきましょう!


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【了】

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