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子どもに英語を習わせる理由

2009年ごろ書いた記事です。


私のところでは、「学校の英語の授業をベースに、第2言語習得を目指す」ことを目的にして教える。

「英語に親しむ」点については、リトミックレッスン内で充分やっているので、今さらやらない。「楽しく英語に触れる」教室は他にいっぱいあって、私みたいにリトミック講師が参入するのはおこがましいので、工夫たっぷりの英会話教室に行くといいと思うのでやらない。

じゃあ、私ならではのレッスンって何???と考えたとき、自分の体験をベースに「日本で日本人に学ぶ英語」という位置づけにしようと思ったのだ。

私が生まれて初めて英語に触れたのは、小6の冬、その頃定期購読していた「6年の学習(学研)」の付録でついてきたキャロライン洋子(なつかしー!)の歌う、英語の歌のカセットテープだった。

それを初めて聴いたときの衝撃ったら!

「なんて音楽的な言語なんだろう・・・。」というのが第一印象だった。

それから毎日毎日、それこそテープがすり切れるほど聴いて、歌を覚えてしまった。10曲くらい入っていたのかな。アルファベットもろくに知らなかったので、「L、M、N、O、P」のところが何故「エレメノピ~」に聞こえるのか、繰り返し、繰り返し、聴きまくった。

そのおかげかどうかは分からないが、中学に入学する時点では「英語の音」に対してかなりの慣れがあった。

最初にお待ちかねの授業が始まったとき、「先生はなんで変な発音するのかな?それって、英語の音じゃないのに。まぁいいや、学校ではこういう言い方をするんだろうな。」と思って、以来、学校で英語を言うときと「本当の英語の発音」を使い分けていた。

最初から「しゃべれるようになりたい。」という明確なモチベーションを持って授業に挑んでいて、そもそも勉強が好きだったので、猛勉強して、塾や英会話教室には行ったことがなかったが、中学を卒業する頃には英語が得意科目になっていた。

*わたしの考える英語学習のポイント:
「しゃべれるようになる」という明確な意志を持って授業に取り組む。

その頃、私のアイドルはブライアン・アダムスとマイケル・J・フォックス。(なつかしー!)明星(なつかしー!)の付録の歌本を見ながら、カタカナとひらがなの交じった歌詞と自分の耳を頼りに洋楽を覚えまくった。それから、マイケル出演の「ファミリー・タイズ」というホームドラマを、毎週2つの音声で録音して、英語と日本語を聴き比べてセリフを覚えた。

この二つのおかげで、相当なヒヤリング力と発音ができるようになっていった。

*わたしの考える英語学習のポイント:
ヒヤリング力と発音は語学学習とは違う視点でみっちり行う。

高校に上がって、「大学は外国語学部に進学する」と決めた。文学部ではなくて語学部というこだわりがあった。言語として学習することが楽しくて仕方なかったからだ。文学は日本文学が好きだったから。

「そうだ、英検2級を受けよう。」と思ったとき、圧倒的に単語量が足りないことに気がついた。そりゃそうだ、単語暗記が唯一、語学学習の中で嫌いだったから、何にもやってなかったのだった。

ところで、私は、親の転勤により、高校を転校している。転校した先で、「みんなと同じ英語の辞書を買うように。みんなと同じ体育館シューズを買うように。」と言われたが、当然、反抗した。「立派に機能するものを持っていて、不自由を感じていないのに、どうして変えなくちゃいけないのか。」と思ったから。

「いやです。」とだけ言って、頑なにみんなと違う辞書で貫こうとしたら、なんと授業中に「辞書の○○ページを開け。△△、読んでみろ。」なんていう使い方をすることがわかった。なんじゃそら。

その度に肩身の狭い思いをしていたある日、朝15分で英単語テストを毎日行われることになり、英語の先生が「平均90点以上取ったら好きなものをやる。」と約束してくれた。そのテストというのは、単に意味と発音とつづりを覚えればいいというものではなく、類義語、反対語、形容詞形など、あらゆる角度から出題される。

私は、「みんなと同じ辞書に買い替える」という屈辱を絶対に味わいたくなかったので、必死で勉強して、ついに校内で一人だけ、平均90点以上を取ったのだ。平均90点以上って、毎日満点を取るつもりで挑まないと達成できないっスよ。おかげで、辞書を手に入れたのはもちろん、終わる頃には相当な単語量とそれに付随する知識を持っていた。

*わたしの考える英語学習のポイント:
単語はごほうびつきで競って覚える。

本の虫だった私は、高校生になる頃には興味のあるジャンルの本をほとんど読み尽くしていて、普通の読書では飽き足らなくなっていた。

そこで、単語量も増えたことだし、普通の読書として洋書と古典を読むことにした。単なる趣味の読書なので、いちいち辞書で意味を調べない。片っ端から読んでいった。そしたら、いつの間にか、調べなくても音の雰囲気で意味が推測できるようになり、長文読解で間違えることがほとんどなくなった。古典も同じだった。

*わたしの考える英語学習のポイント:
読解力は多読で身に付く。

その頃、国語(特に現代文)で点が取れなくて悩んでいた私に、国語の先生が「要約のコツ」をみっちり授業で教えてくれた。恐ろしく数学的に文章を組み合わせていって、長い文章を一文にまとめる。感覚的なものではなくて、理屈でちゃんと説明ができる。それをやってから、急に現代文の点数が良くなっただけじゃなくて、英文法も得意になった。

*わたしの考える英語学習のポイント:
英文法は国文法から学ぶ。

以上のポイントに従って英語を教えることにした。対象は小学校高学年。うーん・・・、具体的にどんな教材を使って教えようか・・・。そうだ!!いいことを思いついた!!・・・つづく。


<2022年に考えていること>

幼児教育として、英語はとても人気です。親として、わたしが考えた方がいいと思うことは、「なんのために英語をしゃべらせたいのか」ということです。

わたしの場合、息子たちが好きなことを見つけ、その道を極めていったらいいとずっと考えていたので、極めて行った先に、もちろん「日本から出る」ということをとてもカジュアルに選択してくれたらと思っていました。

でも、それは「英会話スクールに通わせる」という解決方法では全くありませんでした。

幼少期に単語をひとつ覚えさせるより何より、親としてできる、もっと大切なことは、「どんなに英語が下手くそでも、自分の意見を日本人として堂々と言える、自分に対する自信を身につけさせる」ということでした。

わたしは言語としての英語がとても好きで、今も会話よりも翻訳が好きです。特に論文翻訳が。「論文翻訳」が、わたしは、大学で語学を学ぶ一番のポイントではないかと思っています。仕事でも何度も役立ちました。

そのことと、「子どもに英語を習わせること」は全然違います。

わたしの息子たちは、今、長男がプログラミング、次男がプロダクトデザインを学んでいますが、二人とも、当たり前のように英語が必要です。ツールとしてです。長男はプログラミングの仕様書を大量に素早く読む。次男は海外のデザイン情報を集める。二人とも、全く使い方が違います。

もし、この子たちが海外へ行くことがあったとしても、わたしは全く心配していません。「第二言語を使うマインド」を育てたからです。

今、わたしが子どもたち(といっても、ミューレの子しか募集してない)に英語を教える目的は、「なんらかの道を極めた先、具体的には大学や大学院でツールとして英語を使う」ということを目指しています。だから、何か好きなことがあって、勉強として英語を理解したい、という子に教えたいと思っています。そういう意味では、英語のレッスン以外の部分(何が好きなの?何をやりたいの?っていうこと)もとても大切に思っています。

あ、あと、わたしは受験英語も大好きです。解き方にすごくコツがあって、それを攻略すれば簡単に点数が上がる。ゲームみたいに面白いです。少なくとも学校では全然そのことを教えないから、「解き方」を教えます。


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