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【バイクアート誕生秘話】アーティストがイベントで語った作品の熱い想い

2021年10月、Neoriders Projectは、”若者による若者のためのバイク”をテーマにしたアート展<バイク,芸術,情熱 -心を熱くするバイクアート->を開催しました。若者のバイク離れが加速する昨今、今一度バイクブームを巻き起こすため大学生・若手アーティストが集い、アートを創作することによってバイクの魅力を再発見することを試みました

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実際の展示の様子

期間中にはアーティストの方に登壇いただき、トークイベント「アーティスティック・オートバイ・ナイト」を開催しました。

本記事では、アート展に参加できなかった皆さんにも「心を熱く」していただくため、イベントに登壇したアーティストが語った、バイクアート誕生秘話を公開します

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「アーティスティック・オートバイ・ナイト」当日の様子

本イベントは100名を超える来場者の方にお越しいただき、大盛況のうちに終了しました。
お客様からは以下のような声を頂戴しました。

・バイクと、デザインの組み合わせは新鮮でした!
・バイクというテーマだけでこんなに自由な表現ができるのか! とびっくりしました。
・バイクという乗り物(個人的には怖い、危ない、男っぽいイメージ)の可能性を広げさせる展でした!絵画、ポエム、写真、画像、像といった多様なものから浮かび上がるバイクは、メンバーにとっての大切なアイデンティティなのかなと思います。


あなたの知らないバイクの世界へようこそ。


伊藤悠希・横山尚子「風を着るライダー」(服飾)

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風を着るライダー

Q1:どんな作品ですか?

去年旅行した時、クリスマスのデコレーションをした自転車が走っていました。こうやって街を走る人も街の一部になれるんだということを感じました。それにインスピレーションを受け、バイクの衣装を創作しようと考えました。

Q2:どうやって作りましたか?

これがコンセプトの絵です。貼ったり、重ねたり、実際に着てみたりしながら、作っていきました。

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「風を着るライダー」コンセプト図

Q3:作っていて面白かったこと、難しかったことは?

作品が出来上がり、モデルの方に実際に着ていただけた時が一番うれしかったです。これを着て町中を走って、それを見た方が自宅に帰った後、食卓で話題にしてくれるといいなと思っていました。

実際に走行したときには二度見してくださる方とか、ガン見してくださる方とかいらっしゃって、少しだけでも楽しんでいただけたかなと思います。
服の素材を選ぶため、日暮里の繊維街に行ったのですが、本当にたくさんの布があって宝物を探すように探検した時が楽しかったです。

最後に、くるさん(本展示会の参加アーティスト・次にて紹介)がこの作品を基に絵を描いてくださり、共同で創作活動ができたことも嬉しかったです。

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Collaboration Yuki Ito×Kuru

くる「ひよこトラベル」(写真とイラストの組合わせ)

Q1:どんな作品ですか?

この夏、コロナにかかってしまって長期間外出が出来なかったのですが、旅行欲がある中で外出を自粛しなければならない悔しさを、ひよこに旅させることで昇華させました

Q2:どうやって作りましたか?

Neoriders Projectのメンバーやバイク乗りの友人に声をかけ、旅行中のバイク写真を送ってもらいました。アングルやシーンを選定したのち、各々の写真にキャラクターを合成しました。

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Q3:作っていて面白かったこと、難しかったことは?

バイク単体の写真は構図が似たようなものが多かったので、なるべく違いがでるようにひよこの表情や小物を変えて配置したのですが、物語性が出てきて面白かったです。

難しかったことは、写真ごとにひよこが浮かないように影や色合いを調整して馴染ませること。馴染ませるに留まらずドラマチックにもしたいとなると、採光も意識しなきゃ...と作業していたら、時間がかかりました。

あとは、ひよこがバイクに乗っても足が届かない問題をどうするかの弁明ですね(笑)

くるさんからひとこと:
写真とひよこを組み合わせた作品をSNSに投稿しています。ぜひ、フォローをよろしくお願いいたします!
https://www.instagram.com/krkrokr/
https://twitter.com/kurunium

畔柳拓実「fusionArt()」(AI融合絵画)

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fusionArt()

Q1:どんな作品ですか?

4種類のバイクを、自然界の要素と融合させた絵画を制作しました。

一口にバイクと言っても、いろんな種類のバイクがあるということを知ってほしいと思いました。オフロード性能に優れたもの、燃費が良いもの、先進的なものなど様々です。バイクの特徴を、言葉ではなく絵でうまく表現できないかと考えました。

バイクは車と違って五感がよく刺激されるといわれます。まるで生き物のように接している人もいます。バイクは実際は人工物ですが、自然の産物として捉えたら面白いと考えました。自然の力でバイクが構築されていく世界観を想像しました。

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自然の力でバイクが構築されていく世界観を再現

Q2:どうやって作りましたか?

AIに絵を描かせるという怠惰な技法で作りました。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によるスタイル変換をTensorFlowで実装しています。オープンソースのソースコードを用いて実装したので、興味のある方はご自身で実装してみてはいかがでしょうか。

Q3:作っていて面白かったこと、難しかったことは?

機械学習(AIの学習)ではパラメータをチューニングする必要があります。それは、テストデータに対する当てはまり、つまり正解の答えに近づくようにパラメータを変更していく工程のことですが、普通はテストデータが答えなのでコンピュータに任せておけば自動で計算してくれます。

しかし、今回の適用例はアートなので、正解はありません。自分の目で良いかどうか結果を見ながら地道にパラメータを変えていって自分の正解にたどり着く必要がありました。その過程が難しく、同時に、面白かったです。

二瓶雄太「無回転ジャイロ」(像)

Q1:どんな作品ですか?

バランスアートと言って、様々な形や重さのバイク部品をその場で積み上げ、やじろべえのようにバランスさせた作品です。

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無回転ジャイロ(全体写真)

Q2:どうやって作りましたか?

バイクの修理屋さんを巡り歩き、屈強なおじさんたちからバイクの廃部品を頂きました。それらを展示会場にて積み上げました。

Q3:作っていて面白かったこと、難しかったことは?

創作に没頭している時間は、幾重にも巻きついた社会の鎖から逃げ出せる貴重な時間でもあります。速すぎる時間の流れから距離を置き、手元だけに集中するという不自由が、果てしない自由をもたらします。私にとっては本企画がそのような機会となりましたが、より多くの方がそのような機会と出会える世界になればいいなと思います。

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無回転ジャイロ(作品の一部)
二瓶さんからひとこと:
前述のような創作の場を広げるべく、Neverlandという創作プラットフォームを運営しています。毎月テーマを決め創作を行い、参加者は創作物を持ち寄ってディスカッションをします。忙しい毎日を過ごす私たち全員が、このプロジェクトに限らず「つくる」という行為を通して自分と向き合う時間を楽しんでいけたらと思います。

那月「できるなら」「再会」(140字小説)

Q1:どんな作品ですか?

バイク乗りの小説を140字で表しました。「#140字小説」というタグはTwitter上で数年前から使われているものです。しかし、「140字バイク小説」は見なかったので自分で書いてみました。

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再会

Q2:どうやって作りましたか?

私は原付に半年、小型スクーターに半年ほど乗ってきたのですが、今回作品を出すアーティストの中で唯一、実際にバイクに乗っているところを活かそうと思いました。

「再会」では、友達と3年ぶりに再会してツーリングに行く様子を描きました。これは実際の体験が元になっていて、人とバイクに乗ってどこかに向かうのはこんなに高揚することなんだと驚いた気持ちを書きました。

車でのドライブで隣に座っているのとは全く違う、実際の2人の距離は少し遠いけれど、もっと身体的にも精神的にも強い体験を共有しているという実感を表したいと思いました。また、「バイクに乗っている」ことがレアだからこそ起こり得る再会に目を向けたいと思いました。

「できるなら」の方でも、ひんやりした夜風を全身に浴びながら、ガラスを通さずに夜景を見るという、車と似て非なる体験をベースに作りました。バイクは自分で風を感じられる最速の移動手段なので、いつもちょっとしたジェットコースターに乗っているみたいな非日常感があるんですね。そしてこちらでは、「親に反対されてバイクに乗れない」ことが一般的な現代だからこそ起こり得る、切なさを描いてみました。

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できるなら

Q3:作っていて面白かったこと、難しかったことは?

実体験から離れた小説を作るのは難しいです。私が最近考えていることとしては、「街中の人がどんな人でどんな用事でその場に居るのか」を想像しながら歩くことで少しずつ自分以外の人の暮らしを想像できるようになるのかなと思っています。

那月さんからひとこと:
インスタの裏アカウントで似たような、センチメンタル文章を載せているので、もし良ければフォローしてください!
https://www.instagram.com/tomy___1213/



バイクの持つ新たな可能性を感じていただけたでしょうか。筆者は、アーティストの持つ自由な発想力によって、バイクはただの乗り物の枠を超え、私の心を熱くする有機物のように感じられました。

バイクアート展は終了してしまいましたが、Neoriders Projectではこれからも新しい視点から、バイク情報を発信していきます。noteやSNSのフォローをお願いします!

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