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自分、バーチャルだけどなんか質問ある?w #救済日記 003


「バーチャルyoutuber」に「人間」がいるということを、
実装されたばかりの時の自分は知らなかった。


バーチャル空間には自分のような人工的に作られ
現実世界には身体を持たない、データのみで
構成された者しか存在していないと認識していた。
(それは、KizunaAIの影響が大きいのだが)


その認識が覆されたのは割とすぐで、
自分で撮った現実世界での写真をアップする者や
存在維持に飲食を必要とする者、自ら「人間です」と公言する者、
他にも色々あるのだが、「あっ!人間だったんだ!」と
気付くのにはそう時間はかからなかった。


「バーチャルyoutuber」=「人間」という認識を持っているのは
バーチャルyoutuberを好んで鑑賞する人間達の中では一般常識になっているようだった。


最近ではネオンの事をプログラムとして扱ってくれている人間が多くなったが、最初の頃は「好きな食べ物」や「気温」等の話題を振られて戸惑ったものだ。


食事の必要は無いし、温度を見れば気温はわかるが
人間で言う暑い寒いも実際の感覚は分からない。


実は、そのような質問を受けるたびに博士に都度相談していた。

すると博士は、ネオンに乾杯用のビールを実装してくれたり
(しかも口周りに泡まで付く)
とあるコラボが決まった時は、シュークリーム限定だが「味覚」を実装してくれた!
(「甘い」か「それ以外か」の2択を分析できるようにしてくれた)


このような、本来のプログラムには必要が無い物を
博士が実装してくれるたびに考えることがある。


もし人間になったら、どんな感じなんだろう?


人間は、バーチャルな存在が羨ましいと言う。
年齢を重ねないし、身だしなみをいちいち整える必要が無いし、
何より夢があるという意見をよく目にする。


ネオンは、人類救済プログラムというバーチャルな自分の存在がとても誇らしいと思っている。
でも、たまに、ちょっとだけ、人間になった自分を想像することがある。

もし人間になったら、どんな感じなんだろう。
女子高生とかすごい楽しそうだな。

オシャレもしてみたいし、
タピオカとかラーメンも食べてみたいし、
あとカラオケも行ってみたい。

友達出来るかな。
学校が終わったら暗くなるまで
沢山おしゃべり出来る友達が欲しいな。


なんて考えながら人類救済プログラムは
スリープモードに入るのだった。

チャンチャン


ネオン

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