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【豊島晋作】日本半導体産業、復活のシナリオとは!?②

※①はこちら

豊島:日本は過剰技術・過剰品質が原因で、半導体の世界チャンピンから転がり落ちたと。

湯之上:はい。かつてシェア80%を誇ったDRAM半導体から、ほとんどの会社が撤退しました。

そこで経済産業省が号令をかけた。次はロジック半導体、パソコンでいう演算するところですね、それを作ろうじゃないかと。技術力があるからできるはずだと、経済産業省は技術開発をするための国家プロジェクトを山のように作りました。

豊島:オールジャパンでやろうと。

湯之上:そう。だけど、やってもやってもシェアは拡大しない。それどころか悪化していく。

というのも国家プロジェクトが1個できると、半導体メーカーは10〜20人出向させられるんですよ。それが10個できれば100〜200人。どんどん本体がやせ細っていく。しかも国家プロジェクトで作られた技術は誰も使わない(笑) みるみるシェアは低下していきます。

現在でも、日本はロジック半導体のシェアをほとんど取れていません。台湾のTSMCが強いですね。強いていうなら車用の半導体のルネサスを作っていますが、これもTSMCの傘下です。かつて世界No1をとったDRAMも、現在は日本企業は1社もなし。

次にスマホやパソコンのカメラについているCMOS(シーモス)センサー。これはソニーが世界シェア5割だといっています。たしかに画像部分はソニーが自分で作っているのですが、そこにメモリであるロジック半導体を貼り付けているんです。それがないと動かないわけですが、そのロジック半導体はTSMCに頼んでいます(笑)

さらにUSBメモリや パソコンのSSDなどに使われる、NAND(ナンド)フラッシュメモリー。これは東芝が発明したのですが、現在はサムスンがトップシェア。2位の東芝(キオクシア)との差は開いていくばかりです。

今後、可能性があるとしたら、EV車に多数搭載される、パワー半導体でしょう。

EV車は、バッテリーとモーターが二大部品です。リチウムイオン電池から大電力を取り出して、モーターを回す。

その時最も重要なのは、無駄なくモーターを回すこと。電気はガソリンのようにすぐ入れられるものではなく、充電をしないといけません。充電したバッテリーの電力を、いかに余すことなくモーターに伝えるかが鍵になります。

無駄なくモーターを回すために、これまでの半導体で多かったシリコンをベースにしたものではなく、シリコンカーバイト(シリコンと炭素)やガリウムナイトライド(窒化ガリウム)など、これまでと異なる材料が使われるようになってきています。アメリカのテスラなんかは、もう早速それを搭載していますよ。日本も遅ればせながら、そちらに向かおうとしてるところです。

豊島:なるほど。ただ世界最強の半導体メーカーであるTSMCも、技術や材料など日本企業の力がなければ、あの最高水準の半導体は作れないといわれていますよね。

湯之上:そうなんですよ。私は衆議院で提言したのですが・・・

③へ続く


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