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コロナは現在進行系

コロナによる一家全滅の体験談を雑記も交えながらひとつ。

それはGW明けの次女の中学校から始まった。
この時期にインフルエンザ大流行で、なんと学校閉鎖。
この時には次女はまだ感染していなかったのだが…。

登校再開して3日後。
朝食後のジャンボシュークリームを、大口開けて食べようとしていた時
「次女さん高熱の為迎えに来て下さい」
突然の学校からの呼び出し。
運びかけたシュークリームをススス〜ッと口から出した。

まさに青天の霹靂。
朝はいつも通りに朝食を食べ、普通に登校したのに!?
と、色々考える間もなく…問題は次女の学校は車で20分以上かかる場所で、普段はスクールバスで通っている。
公共交通機関もあるのだが、当然その選択肢は不可能だ。やむなく全日本ペーパードライバー選手権があれば優勝する自信しかないこの腕で運転する事にした。

エンジンをかけた時点でもう全身から汗が噴き出している。
「右がアクセルで、左がブレーキだよね…??」
もはや運転以前の問題な気がするが、恐る恐るスタート。

道のりだけは知っているので、裏道を使っていると、カーナビが
「その先○○メートル右、左〜」と、ナビを丸無視するドライバーを何とか一般道に戻そうとしているらしい。申し訳ないがこちらは急いでいるのである。
独自の道を走り進めていると、彼は突然無言になった。

うるさいナビが(ナビとしては当然の仕事をしているだけなのだが)黙った途端、今度は保健室にいる次女から鬼の様なLINE攻撃が始まった。

「ねえ、まだ?」
「アタマイタイ」
「今ドコ?」

高熱を出し、心細いのは痛い程分かるが1分おきにLINEを送って来られても相手が出来ない。
奇しくもこの時一部の道が工事中で、迂回しながらの道のりなので予定より大幅に遅くなった。

それでも何とか到着し、守衛さんに用件を伝えると
「はい、分かりました~。ところで、今、雨降ってます?」

この時の天気は快晴。
どうやら全身から噴き出した汗で、自身の周りだけゲリラ豪雨に見舞われていたらしい。

暫くしてやって来た次女は

「うわっ!ずぶ濡れ・・キモっ!」
慣れない車を運転してきてやったのに、あまりと言えば酷い言い方である(泣)

しかし確かに緊張のせいとは言え尋常でない汗のかき方である。
前髪は額とこれ以上ない位密着し、プール帽を忘れた人間状態の為、手でギュ〜ッと絞ってみた。
その時なんと背後に担任の先生の姿が!

どうやら次女と一緒に此方に来ていたらしい。
荷物を持って頂いている。
私は慌てて前髪から手を離し、後ろ手にブンブン汗を振り飛ばしていると先生は身体は此方に向いているのだが、顔は綺麗に横を向き

「次女さん…かなりお熱が…クッ…高いので……なるべく直ぐ…病院…ウッ」

まるで普段は聴けないラジオの放送局から、たまたま電波が届いたかの様な途切れ途切れの声を発しながら、この汗まみれの手に荷物を渡して下さった。
お礼を伝えると先生は身体を不自然にくねらせながら去って行った。

次女は私が運転してきた事にようやく気づき、帰りの車内で
「降ろせー!」
「帰る〜!!」←何処に!?
「助けて〜!!!」
病人とは思えない程絶叫しまくりであった為、家に帰る頃には大阪・新世界で朝から呑んでいるおっちゃんの様な声になっていた。

そして何とか帰宅し、掛かりつけのお医者様に往診を依頼した。

インフルと同時に、コロナもジワジワ増えていると言うのでWで検査して、何とW感染。
お医者様も
「これは…珍しいねえ〜、写真撮らせてね!」
と、先生は意外と軽いノリで2つの検査キットの写真を収めていた。

家に隔離しているとは言え先陣のコロナ患者(母親)がいる事をすっかり忘れていた。

とりあえず母親と同じ部屋に隔離し、他の家族に接触しない様にした。
病人がダブルに増えた事で、氷枕やポカリ、着換え…と、やる事も2倍に増えた。
そして共通しているのは味覚嗅覚がゼロになっているという事。
何を食べても味がしないと言うので、ショック療法でシュールストレミングでも食べさせてみようか…?とも考えてみた。
しかしそれと発熱以外は特に症状が無い為、非常に注文が多い。
「喉乾いた〜」「背中かゆい」「You Tube付けて〜」
中途半端に元気な病人程たちの悪い者はない。

そうこうしている間に次は自分の鼻水が止まらなくなってきたのである。
その出方は尋常でない為、ティッシュを丸めて両鼻に突っ込んでおいた。
そして追い打ちをかける様に発熱し出した為、本能的にこれはまずいと感じ病院へ。

呼び鈴を鳴らす様に言われた為、指示に従いドアの前で待っていた。
「お待たせしました〜、○○さん……で……」
ドアを開けて下さった看護師さんも、またぞろ電波の悪いラジオ状態になってしまい、顔を背けている。
千葉県北西部ではこの様な現象が流行っているのだろうか!?

個室に案内され、お医者様がやって来ると「はい○○さん、熱あるん…だっ…グフッ」
やはりこの先生にも件の現象が!!
地球を乗っ取ろうとする宇宙人か、はたまた悪の組織の陰謀か?

先生はなるべく此方に目線を合わせない様に、
「今から…検査するから…その鼻のそれ…取ってくれる?」

そうであった。

鼻からの放水をせき止める為のティッシュを突っ込んだまま、病院に来てしまった。
そして堤防を越えた水分は、一気に放流を始めた。
看護師さんが慌ててティッシュを抱えて此方にきてくれたその後、意識も虚ろになり、徒歩1分の道のりを看護師さんに支えられながら帰宅したらしい。

この先の記憶は殆ど曖昧なのだが、数秒の後即陽性になったとか。
食事は相方や長女がやってくれていたので非常に助かった。
コロナというものは恐ろしい。
37.4の熱が1時間後には39,8℃になるのだから。

そして自分も隔離部屋に入り、母親や次女と一緒にハムスターの様に団子になって寝て過ごしていた。

解熱剤が効いてる隙を狙って、部屋から抜け出し洗濯や溜まった洗い物等を済ませ、結果ウイルスを撒き散らしてしまった事は迂闊であった。

時間差で長女、相方と次々に感染。マスク2重にビニール手袋でも防げなかった…。

今ようやく家族全員回復しているが、咳や鼻水等の後遺症は未だに残る。
人生でこんなに解熱剤飲んだのも初めての経験である。
お医者様の
「コロナは5類になったけど、以前と何も変わってないからね」
の言葉を教訓に、一層感染対策を強化したいと思った。

味覚障害は数日で回復したが、未だ悩まされているのはプロレスラーの天龍源一郎氏の声帯模写が出来る程、個性的な声になってしまった事である。
最初は戸惑ったがコレはこれで悪くないと思い始めたので、モノマネ番組があったら出場してみようかと目論んでいる。




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