【250字レビュー】首里の馬

ゆっくりした流れの中で、登場人物たちの背景が少しずつ明らかになる。けれど物語はどこにも焦点を結ばない。孤独な登場人物たちの住む場所はバラバラだが、クイズで繋がって生きている。偶然やってきた古い馬に乗り、記録の詰まった場所が壊されるのを見ている、このシュールな映像が切なく印象的。記録で人は自分の存在がどんなものか知ることができる。人間が恐れや不安から解放されるには、時間の経過を通して自分のいる場所や世界を知り、自分もここで消えていくことを良しとすることなのかという感触。自分が世界の一部になる感触。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?