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#29 デザインの学習で上達するのは、やはり手を動かして作っている人!

「劇的に上手になっていた・・・!そんなにパッとしなかった子なのに。」1人の学生について、そう言ってデザイナー夫は目を丸くしています。デザイナー夫がNY美大で教える春学期のクラスは、来週、学期末を迎えます。「あまりパッとしなかった」子が最終プレゼンを直前に、劇的に上達していたのはなぜでしょう?14週目のクラスをレポートします。

NY美大の期末:ファイナルプレゼンテーション

学生たちは、これまで13週間にわたって様々な課題を制作してきました。自分の作品をプレゼンし、クラスメートや教師であるデザイナー夫のフィードバックを受けて切磋琢磨してきました。最終の15週目は、今学期の学びを最大に発揮するファイナルプレゼンテーションなので、そのプレゼンに向けて学生たちは準備の真っ最中です。

このファイナルプレゼンテーションで学生の作品を講評するのは、学生同士ではありません。教師が選んだ「パネリスト」と呼ばれるゲストが2〜3人クラスに参加し、一人一人のプレゼンに対して講評をしてくれます。ゲストは同じ美大の先生、別の美大の知り合いの先生、もしくはデザイナー夫がフリーランスの仕事でご一緒したデザイナーの方、などです。

このファイナルプレゼンテーションに向けて、学生たちは数週間かけて準備してきました。デザイナー夫はこの数週間、学生との個人面談や授業中の講評会で学生各自のプレゼン制作にフィードバックを与え、「この子は大丈夫そうだな」とか「これでファイナルに間に合うかな・・・心配」など考えながら見守ってきました。

あまりパッとしなかった。でも熱心だった

冒頭で述べた「あまりパッとしなかった」という学生さんですが、デザイナー夫にその名前を聞いてみると、おや?なんだか【デザイナーの妻】の記憶に残っている学生さんです👀「その学生さんって、もしや、授業の後けっこう長い時間Zoomに残って、デザイナー夫に色々と質問していた子では?」

そうなのです。けっこう長い時間デザイナー夫と話をしていた学生です。デザイナー夫はその学生の質問に答え、資料になるものを紹介したり自分の経験を話したりしていました。【デザイナーの妻】はデザイナー夫の授業が終わる頃を見計らって食事の支度を開始するため、リビングでのやり取りが聞こえていたこの学生さんの事を覚えていました。

「すごい熱心な子だね」。やっと話を終えたデザイナー夫にそう言うと、「んー。でもあんまり上手な子ではないんだよねぇ・・・」と一言。そんな会話をしたのが2〜3週間前だったと思います。それからその学生が変化したのはなぜでしょうか?

50時間くらい机に張り付いた!

セミファイナル(ファイナルプレゼンに向けた最終リハーサル)で教え子たちのプレゼンを見た今週の授業。デザイナー夫は、その「パッとしなかった」学生が、今日のプレゼンで「ものすごく上手になっていた」ことに感動したまま、授業の片付けをしています。

【デザイナーの妻】が想像するに、デザイナー夫はきっとその学生に「ブラボー!」「グッジョブ!」「エクセレント!」とたくさんの褒め言葉を述べたと思いますが、デザイナー夫はそのあまりの上達ぶりに、「何を食べたらそうなったの?👀」というようなことを本人に聞いたらしいのです。

「50時間くらい机に張り付いて、とにかく作りまくった」というのがその学生の答えでした。数週間前にデザイナー夫と話した後から、とにかく作品に向かい、ひたすら手を動かして作業し、改善に改善を重ねたのでしょう。

普段からデザイナー夫は、学生たちの良いところをたくさん探し、見つけては褒めるということを大切にしていますので、【デザイナーの妻】は、デザイナー夫が積極的なフィードバックをたくさん与えてあげたことがその学生のやる気につながったのでは?と思い、そう言いました。

しかしデザイナー夫によると「この学生にはけっこうキツイことも言った」とのこと。それでもこの学生は、学生同士の講評会や授業、デザイナー夫との会話から得たフィードバックを自分の作業にねじ込み、ひたすら手を動かしたのです。えらい!えらすぎる!めげないでえらかったなと、素直にそう思います。実際、その学生のデザインのレベルはぐっと上がりました。

実践のススメ

学生との会話やストアカでの授業についてデザイナー夫が話すことを聞くに、デザインの学習の場が学校であっても独学であっても、論理的なことを学ぶだけでは上達できません。ツールの使い方をチュートリアルで何度見ても、それだけでは上達しません。どんな学習にも共通することですが、どれだけ手を動かして実際に作業するかが成長を左右します。

仮に手を動かして自分の作品にフィードバックを受ける機会があったとしても、そのフィードバックをもとに、また手を動かして作業しなければ成長はできないかもしれません。逆にこの学生のようにひたすら手を動かして、自分に与えられたフィードバックを(得意な面も弱点も)すべて自分の作業へとねじ込んでいける人はグッと成長できるのだなと学びました。頭ではわかっていますが、実際にそうだということを間近で見て確認した気がします。

与えられたフィードバックを生かし、実際にひたすら手を動かした結果、メキメキと成長した教え子を見て、デザイナー夫は本当に嬉しかったと思います。【デザイナーの妻】も、自分の勉強にこの教訓を生かしたいと、学生から学ばされた1週間でした!

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デザイナー観察日記#29、読んでくださってありがとうございました。


🌺デザイナー夫が日本へオンラインの出前授業でお届けする、ストアカのデザイン講座でも「今日からできるチャレンジ」と題して、講座で学ぶ「論理的な思考の型」を実践する方法(=手を動かして練習するための提案)をいくつか紹介しています。よかったら案内をご覧ください。




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