難問を出す娘と即答できる母

私はスーパーで品出しのバイトをしています。
このバイトをしているとよくお客さんに商品の場所を聞かれます。

ある日、お客さんに「〇〇ってありますか？」と聞かれました。
心の中で「それはスーパーにない気がするけどな...。それが確実にありそうなの100均かホームセンターだと思うなぁ...。」 と思いつつ、一応それがありそうな付近を探してみました。でも、探してもなさそうです。
私が場所をわからないだけでどこかに置いてあるのかもしれないので、お客さんには少し待っていただき、私よりも長く働いている主婦の人に「〇〇ってここで売っていると思いますか。」と聞きました。
すると、「ないと思うよ〜。それは100均に行った方がいいんじゃないかな。」と言いつつ、その方も一応探してくれました。
でも、見つからないのでその旨をお客さんに伝えました。
スーパーって何でも売っているイメージがあるみたいですが、ないものはないです。あと、棚がすっからかんなのに「これはないんですか」って聞かれることがあるけど、ないものはないです。

よくある話でなんのオチもないけど、母にこの話をしようと思いました。
お互いに起きたどうでもいいことをしゃべるのが私と母の日常なので。
しかし、お客さんが尋ねた商品の名前が出てこない。
それがどんな形をしていて、どんなことに使われるものかはわかるのに、
名前だけが出てこない。
よく私に起こる、名前だけが出てこない現象。

だけど、私は「名前が思い浮かばない。名前なんだっけ。あ〜、モヤモヤする。これじゃ、話ができないよ〜。」とはなりません。
「名前が思い浮かばないなら、”それ”についての情報を提示して聞き手に教えてもらえばいい。」という発想です。

そこで、私が母に放った”それ”についての情報が

「よく森泉が使うやつ」

でした。これで伝わると思った自分がよくわからない。
情報が少な過ぎる。そして、なかなか難しい。
森泉さんを知っているという前提がないと提示できない情報です。
そもそもなんで森泉なのか？
私は「幸せ！ボンビーガール」というバラエティ番組をそこそこ見ます。
そこで森泉さんがDIYをして、お家をリフォームするコーナーがあります。
このコーナーのおかげで、私はDIYに何の興味もないのに工具や材料の名前はある程度把握しています。
そして、”それ”がそこそこの頻度で登場します。その印象が強かったため「よく森泉が使うやつ」というわけのわからない発言につながりました。

しかし、これだけの情報で娘が何を伝えたいのかがわかってしまう。
それが、私の母です。ほぼ即答でした。
娘は「そうそれ！」と、名前がわかったことにより一人でスッキリしました。
モヤモヤせずに「それっ！」となるので、もし名前が思い浮かばないことがある人は聞き手に問題を出すといいですよ。
でも、相手のことを考えて、問題は出すべきですよ。
私みたいな「いや、わかんねぇよ。」となるような問題の出し方は出題者として失格です。
私が母に絶大な信頼を置いているからこそできる至難の技なので。
まぁ、至難の技とかいい感じで表現しましたが、頭をフル回転させているのは出題者の私ではなく、回答者の母の方ですけどね。

一方の母は、

「どうしてっ（笑）、娘の気持ちがっ（笑）、こんなにっ（笑）、わかってしまうのっ（笑）」

とめちゃくちゃ爆笑しながら自画自賛していました。
この発言と母の爆笑につられて私も爆笑しました。
やれやれ、愉快な親子だな。　
そして、急に「いや、〇〇使うの森泉だけじゃないから。」と冷静になりました。
感情の起伏が激しい母なのです。

そんな母は、今日50歳の誕生日を迎えました。
だから、私はコンビニスイーツを5個買ってあげました。

これからも母に難問を出して、母の反射神経を鍛え、認知症予防に努める娘としての役目を果たしたいと思います。
そして、その時はめちゃくちゃ面白かったのに後日何であんなに爆笑したのか思い出せないほどのことや聞き間違いで爆笑し合うツボの浅い母と娘でいたいと思います。
また、父への愚痴や母の職場に対する愚痴、ありとあらゆることについて他人には言えないそこそこの悪口を言い合いながら穏やかに暮らしていきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
もしかしたら「結局”それ”の答えは？」となっている方がいるかもしれませんが、
あくまでも「難問を出す娘と即答できる母」の話がしたかっただけなので
難問の答えはどうでもいいです。笑
知ったところで「なんだぁ。答えそれかよ。つまんねーの。」となると思います。
知らなくても生きていけます。モヤモヤしてください。笑
あなたは私の母ではないので、答えを考える必要はないし、
まして即答できる必要もありません。
あなたが思い浮かべたものが答えってことでいいんじゃないですか？