毒親育ちがツイステッドワンダーランドのリドル・ローズハートについて考察する。

突然ですがタイトルの通りのことを書かせていただきます。はじめまして。毒親生まれ毒親育ち、宇宙人を見る目は大体慣れっこ、あくまでただの監督生です。

枢やな先生の世界観もディズニー的な世界観も大好きな私なので、もとよりハマるつもりで鏡を通って監督生になりました。グリムかわいいよグリム。
不思議の国のアリス大好きなので、一章から全力で殴られに行ってるような心地で読み切りました。そして毒親育ちとしては、ハーツラビュル寮の二年生寮長は推さざるを得ない。それにとどまらずサバナはおじたん推し、スカラビアはカリムくん。好みがわかりやすいなと我ながら思います。ただオクタはフロイド推し。さらにこの後はCV緑川光氏のリリア親父殿が控えている。恐ろしいコンテンツですねツイステは。

こういったストーリー性のあるゲームコンテンツは、表現方法が漫画小説アニメと異なり、情報量が極端に制限されるせいで良くも悪くも考察の余地が深いです。枢やな先生のストーリー、世界観、キャラデザ、全てを愛する私としては嫌でも色々考えてしまう。

ひとまず毒親育ちとして捨て置けなかった、リドル・ローズハート考察をここに置かせていただきます。
当然ですがネタバレの宝庫です。ご注意ください。

まずリドルの要素として、ここで着目している点をいくつかピックアップします。

・毒母に過干渉&抑圧されて育った。
・友達はいた。
・成績は非常に優秀。性格は真面目。

このへんですね。
では、このへんから広げた考察を記載していきます。


①成績は非常に優秀、真面目な性格である。

リドルは毒母の干渉や管理に関係なく、元々真面目にルールを決めてコツコツ日々のルーティーンをこなすのが性に合ってるタイプなのではないかと思いました。
彼がいくら努力家でも、間違った方向性の努力は普通に裏切ります。ダルビッシュ選手もそう言ってる。自分に合ったやり方でなかったら、万年トップという位置に君臨することはできないと思います。例えばあの天才肌フロイドがリドルと同じやり方を叩き込まれたとして、成績は伸びたでしょうか。絶対伸びないですよね。
毒母のエゴ的教育方針とリドルの素質が合致してしまった。不幸なのか幸運なのかはさておき、そのおかげでリドルは万年トップに君臨できたのではないかと思います。

②四章で「お母様と話してみる」と沈痛な面持ちで帰省していったリドル。はたしてローズハート家は良い方向へ進むのか?

お母様のいいつけを守り、むしろ自らすすんで己を厳しく律し、優秀な成績を収め寮長まで登り詰めたリドル。オバブロとかバブちゃんとかなんやかんやあったけど、人間としてもひと回り大きくなったリドル。身長はフロイドにからかわれるけど、まあ相手がウツボだから仕方ないよリドル。

リドル母にとっては、強くたくましく立派に成長した我が子。
そんな我が子が真摯に「話があります」と切り出してくる。

さあ、はたして毒母はどう出るか。

これは個人の考えだけど、リドルと母の話し合いはうまくいかないと思います。
何故ならリドル母のあの偏執的な執着と抑圧は、リドルへの愛が歪んだわけではなく自己愛だから。リドルの為と言いつつ、その実全部あれは自分の為なんです。毒になる親は基本的に自分>>>>>子供です。
動機はいろいろあります。自分が叶えたかった夢を子供を介して実現させたり、子供を自分のアクセサリーだと思っていて、アクセサリーの箔付けのためにやってたり……。
だから残念ながら、あの厳しい指導の渦中に実はリドルの存在はありません。リドルは健気にルールを守って頑張っていましたが、残念ながらその厳しいルールの真髄は、ただの毒母の自己満足です。リドルにとってはとても辛い現実ですが。
もちろん中には例外もあるでしょうが、それは例外中の例外、幸運中の幸運ではないかと。
それゆえ、ローズハート家の毒母はリドルが「話があります」なんて切り出しても多分ポカーンです。毒母にとっては「存在感のない透明なお人形だったはずのリドルが、何故か突然自分の意志を持って反抗してきた」ってことになる。話し合いなんて成り立つわけがない。多分大混乱してヒステリー起こすんじゃないかな。高確率で無理ゲーです。

ちょっとメタ的な話になってしまいますが、そもそもやな先生が「お母様、よーく話をしたらわかってくれたよ!」なんて短絡的なハッピーエンドを描くか?という疑問もあります。リドルの家庭事情はもうメインストーリーから外れたから、リドルの今後を分かりやすいハッピーエンドに導いて終わりにしてくれるつもりなら、それもありかなとは思いますが。でもさらにここからリドルのキャラを深める……と言うか、キャラの深掘りをファンに許してくれるなら、多分単純なハッピーエンドはないと思います。リアリティがなさすぎる。

③友人たちについて。

チェーニャについては情報が少なすぎるので、ひとまずみんな大好き俺たちのトレイ先輩について考察します。

と言うか、だいぶ話がズレます。だが、ある一部で流れていたトレイパイセンへの評価に関しては大声で異論を唱えたいのでまとめました。もうここがメインでもいい。

トレイ先輩はリドルに冷たくはないと思う。
むしろめちゃくちゃリドルのことを考えていると思う。

そもそも巷の創作物における「愛情表現」は、傾向として濃い味のものが多すぎないかと思うんだ。クソデカ感情とそれに伴う過保護行動が胸熱なのはとてもよくわかる。だが現実的に考えると、それらの過保護行動はケースバイケースで不適切、むしろ被害児を不利にしてしまう事もあるのだ。創作物としてなら私もそういうのは大好物だが、やな先生はファンタジー世界観なのにそういうとこで究極のリアリティを追求して、良くも悪くも夢を見させず現実性を突きつけてくるイメージがある。なのでこのトレイパイセンはやな先生の真骨頂だと思っている。

一章後の感想として観測されたトレイパイセンへの意見
「家に匿ってやればよかったのに」
「むしろ家出させろ」
「可哀想に思うなら毒母にタンカきって思い知らせてやれ」
「ホリデーにケーキ屋に帰省させてやれ」
などなどの言葉。

言いたくなる気持ちはわかる。
が、まず落ち着いてほしい。
その行動は本当にリドルを幸せにするのか?
確かにその一時は胸のすくような思いだろうし、過干渉からはすぐにでも解放されるべきだ。
だが、リドルの母が母でなくなることは一生ない。
リドルを生み育てた母は、誰がなんと言おうと一生あの毒母なのだ。
ひとときのカタルシスのために母を跳ね除け、トレイ宅に逃避して保護したとしても、その跳ね除けた母とリドルは一生縁が切れない。つまりそのしわ寄せはほとんど全て、リドルのもとにやってくる。

「明確な虐待だから誘拐ではなく保護」などの意見もわかる。確かにリドルは明確な虐待被害児だけど。
だけどまずリドルは、肉体的暴行をさほど受けていないと思われる。
そして過剰な制限はあれど、必要なカロリー量ぶんの食事も三食与えられている。
清潔な衣類に安全な寝場所もある。
教育も受けさせられている。過剰だが。
厳密に言えばアウトな所もちらほらあるが、少なくとも「健康で文化的な最低限度の生活」はギリギリクリアしてると言えそうなのである。
このへんの要素がひとつでも欠けていたら確かに本人の意向関係なく、即刻友人が自宅に保護という形でも問題なかっただろう。

だがリドルは少なくとも「生命の安全」は保護者によって守られていた。
この時点で「友人が強引に身柄を保護する必要性」がだいぶ薄くなってきてしまう。

決定的だったのが、たとえ内心はどうあれリドル本人が「僕頑張る」という結論に至ってしまっていること。そして実際に頑張れてしまって、万年トップという成果を出せていること。
お母様の暴虐は上でも記したように「リドルのためと言いつつ自分のため」なんだけど、残念ながら、子供の健康のため子供の将来のため、などなどの口実を盾に、外からは「子を思って心を鬼にしている母」と区別することができない。さらに実際にリドル本人が成果も出してしまっている。リドルが「もう嫌だ!ぼく辛い!苦しい!お母様から開放されたい!」と外部に助けを求めたらそりゃ即刻保護なんだけどさ。でもリドルは頑張れてしまえた。おそらくだけど、頑張れば頑張っただけ知識がついたり成績が上がったりという、わかりやすいご褒美があったせいで。お母様からご褒美がなくても、自分で知識欲や向上心を満たせたからそれがご褒美になってしまっていて。

だからこの状況でトレイ先輩にできたのは、リドルが助けを求めてきた時に即刻その受け皿になってあげられるよう、門戸を開いて待っていることだけなのだ。

充分優しいと思う。ってかむしろまあまあのクソデカ感情だと思う。何年もずっと傍に寄り添って、ホリデーみたいに一悶着ありそうなタイミングでは必ず「ケーキ屋に避難してきてもいいぞ」と、いざと言う時の逃げ道を常に用意してあげて。後輩と軋轢が生じた時には仲直りの機会(マロンタルト)をお膳立てしてあげて。充分クソデカ感情では。トレイパイセンはマジで薔薇の騎士(シェヴァリエ)、いやもうハートのキングだよ。マジで。

そして皆、忘れがちだがトレイ先輩はリドルの一歳上だ。
つまり子供だ。未成年だ。めっちゃしっかりしてるけど。
いちごタルト騒動の時は今よりもっと子供だ。
そんな状況で、自分の親と同世代の大人がヒスおこして店に怒鳴り込んでくるんだぞ。
庇えと?

無 茶 言 う な

これは経験則だが、こういうことがあった場合まずほとんどの子供は友人をやめる。
その子(この場合はリドル)のことが嫌いになったわけじゃないんだが、自分と一緒にいてリドルがまた怒られたら可哀想、とか、自分ちにまた怒鳴り込みに来られたら怖い、とか。トレイ先輩んちは特にケーキ屋だから、ヤバい客が店頭に粘着してたら家業にもかかわる。幼い弟妹が何人もいたらその子たちだって怯えるだろう。
でもトレイは今までずっとリドルの傍にいた。
傍にいただけで充分なんだよトレイパイセン。
そればかりかパイセンはリドルの間違いを指摘してやれなくなるくらいに可哀想可哀想と情を見せてた。
何も冷たくない。むしろ情に厚い。声を大にして言う。

そしてトレイ先輩のキャラ考察になってしまうんだが、脱線ついでに書いておく。
トレイ先輩は実験服パソストなどから「リアリスト」の称号を得ているが、これもリドルの幼馴染ゆえじゃないかと思っている。

だってリドルは母親の愛情も正しい教育課程も一切与えられなかったけど、成績万年トップの寮長じゃないですか。
そして自分は健全健康な愛情ある家庭で育てられたけど、勉強も努力してるんだろうけど、副寮長。しかも三年生。リドルは二年生。
自分の方が恵まれた環境にいて、さらに一年年上で、でも自分の上にはリドル。ハーツラビュルの王者は揺るぎなくリドル・ローズハート。
愛情も過程もどうでもいい、の極みがリドルじゃないでしょうか。
愛が無くても子供は勝手に育つんですよ。

でもまあ、常に隣に立つ副寮長としてはたまったもんじゃないって気持ちはあってもおかしくないと思います。普通は。どこにもぶつけられないコンプレックスを、少しくらい感じても不思議じゃないと思います。
ルーク、ジェイド、そして自分。副寮長しかいないあのサイエンス部の空間で、あのくらいのひねくれは十八歳らしくてとてもいいなと思います。あの二人なら立場が近しいし、分かってくれるんじゃないか、みたいな気持ちが出たんじゃないかなと。わかりにくい甘えですけどね。
「普通の男」に自虐的な意味も含んでてもいいなって。

④リドルの今後について。

リドルは言わずもがな優秀な魔法士であり、将来はその能力を遺憾無く発揮してほしいものである。
リドルの家は医師の家系のようだが、ではリドルははたして医師になりたいと思うのだろうか。
思っているなら、それは母親孝行にもなるし世のため人のためにもなるし、素晴らしいことだと思う。リドルの家庭が最も丸く収まる流れなのかな、とも思う。
だがそこは、個人的にはちょっとリドルに反抗してほしい気持ちが強い。親の思惑通りの進路ではなく、自分で選んだ目標に向かって突き進んでほしい。
乗馬が好きみたいだし動物の世話も好きみたいだし、ジョッキーになんかどうだろ。
いやリドルが決めることだけどね。

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