楽しく勝つための現代麻雀技術講座第5回「押し引きの基本(前)」

 これまで基本的な、「攻め」と「降り」のやり方について触れましたが、他家の攻撃を受けて、攻めるか降りるかを決定するのが押し引きです。利用頻度も多く、結果に与える影響も大きいので非常に重要ですが、強者でも極めることは難しく、最も実力差が出やすい分野です。ここでは基本的な押し引き判断について考えていきます。

他家がリーチしたら、まずは攻めるか降りるかの方針を決める

 他家のリーチに対して何を切るか迷って、攻めるにしても降りるにしてもどっちつかずの牌を切ってしまう。これも勝ててない人によくみられます。攻めるなら最大限に攻め、守るなら最大限に降りるのが基本です。他家がリーチしたら何を切るかより先に、攻めを継続するか、それとも降りるかの方針を決めるようにしましょう。

基本は自分の手牌で決める

 よく、「親だから勝負」「トップ目だから守り気味に」「かなり危険な牌を引いたから降り」という話を聞きますが、押し引き判断で最も重要なのは自分の手牌です。押すべき手なのに考えすぎて降りてしまったり、降りるべき手で安易に押してしまわないように、まずは自分の手牌が押すに見合う手かどうかを基準にして、そこから局面によって判断を調整していくのが望ましいです。

3467899m ポン白白白 ポン東東東

良形高打点テンパイならまず降りない

テンパイなら意外と押せる

相手 ロン ツモ 別の他家からロン 流局

自分 ロン ツモ 別の他家からロン

相手と同程度に良い手でないと勝負できないと思われがちですが、自分のアガリは、「相手からロン」「ツモ」「別の他家からロン」の3通りあるのに対して、自分の振込みは「相手がロン」の1通りだけです。また、降りたとしても、「相手がツモ」「流局ノーテン」による失点は残ります。ですから、テンパイさえしていれば意外と勝負になります。良形テンパイなら全部押すくらいでも悪くありません。また、アガれば失点せずに済むので、先制テンパイの時より、アガリやすさが重要になります。よって多くの場合は打点が低くなったり、危険牌を勝負することになる場合でも良形テンパイに受けます。

34m678s白白 ポン222p ポン東東東

のみ手でもリャンメンテンパイはだいたい押す。もし346mとあり、6m危険牌、3m現物でも基本は6m切り。

対リーチの簡易的な押し引き判断(テンパイ)

自分子、相手子 悪形1翻は基本降り、悪形2翻はどちらでもよい、他は基本押し

自分親 テンパイなら基本押し

相手親 悪形2翻以下は基本降り、他は基本押し

ノーテンなら大体降り

一方、かなりテンパイしやすい1シャンテンであっても、テンパイするまでに危険牌を押し、テンパイで更に危険牌を押すことになるので、悪形テンパイよりアガリ率、放銃率両方で劣ることになります(巡目が遅い場合はなおさらアガリ率は下がる)。よってノーテンから押せるケースは基本的に、「受け入れが広く高打点が狙える1シャンテンで、残り巡目も十分にある」場合に限られます。安手のテンパイから降りるのに、ノーテンから「満貫狙える」という理由で危険牌を押すのも、勝ててない人によく見られます。

23m1235788p23789p

これくらいの手でも5p7pが無スジなら基本降り

4赤588m334678p222s ドラ8m

34赤5688m4556p234s ドラ北

これくらいよい手なら巡目が遅くなければ押し

追記 

 「天鳳本」ではリーチの押し引きと鳴き手への押し引きを一まとめにしましたが、分量が多いのでこちらでは2回に分けて取り上げます。

 「楽しく勝つ」麻雀講座のパイオニアとでもいうべき麻雀漫画『打姫オバカミーコ』。第1回のテーマは「リャンメンで待て」でしたが、第2回のテーマは「押し引き」。「先手良形高得点このうち2条件がそろったら押せ。後手悪形安手このうち2条件がそろったら引け。」という言葉は、分かりやすい基準で押し引きの名言と言われることもあります。

 しかし当講座では、「先手なら悪形安手でもリーチ」「後手でも良形または高打点テンパイなら押し」。つまり1条件で押してよいと基準を押し寄りにしています。

 「先手で悪形安手の手をリーチせず、後手なら良形高打点両方揃ってないとすぐ降りてしまうので、手数が足りない負け組。」これもまさに昔の私のこと。だからこそ本書の台詞に皮肉を言いたくもなるのですが、師匠に会う前のミーコに限らず、先手を取るのが上手くないうえに、「後手で降りるべき時に降りきれていない」打ち手は多いもの。そのような打ち手にとっては、若干引き寄りの基準を示した方が効果的なアドバイスと言えるかもしれません。

 一般的に初心者は降りることを知らず押し過ぎになりがちですが、私のように初心者のうちから降りてばかりなタイプの打ち手も居ます。この違いはどこからくるのか…そうです。これも技術論第2回で触れた理由と同じ。見えないものへの意識が薄いか、それとも過敏になりがちかの差からきているのです。

 「先手良形高打点、1つで十分」としましたが、自分都合ばかりで他家の手牌への意識が薄い人は、2つ揃えばほぼ押し有利だが、1つなら本当に押してよいかを意識して打たれることをお勧めします。どのような時に押し引き基準が変わってくるかについては、「天鳳本」第2章(特上卓攻略編)で取り上げました。こちらでは第15回あたりで掲載することになると思います。

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