新麻雀徒然草第15回「麻雀人口増加計画?」


 こちらの記事によると、日本において麻雀人口のピークは1982年で実に2140万人。雀荘もピーク時は全国に36173軒。現在のコンビニ感覚で雀荘が点在していたというのですから、当時生まれていない私としては驚きの事実です。

 1982年をピークに麻雀人口が減少した理由として、何人でも楽しめるうえにルールを覚える必要がない多人数レジャーであるカラオケを引き合いに出されていますが、もう1つ大きな理由は「家庭用ゲーム機」の普及でありましょう。日本だけで2000万台近く売れた「ファミコン」の発売日が1983年7月15日。麻雀人口がピークになった翌年とまさに時期が合致しています。

 「東大を出られなかったけど」でお話しましたが、既に旧式のPC(MSX)があった、これ以上据え置き機があるとTVを占拠してしまうという理由で我が家にはファミコンがありませんでした。しかしその割には「スーパーマリオブラザーズ」の攻略本があったりするので、内心遊んでみたかったのだと思います。「麻雀以外のゲームは楽しそうでもすぐ飽きてしまった」のも、名作と呼ばれるファミコンソフトをプレイしたことが無かったからかもしれません。

 ゲーム機の登場で麻雀人口は減少していきましたが、牌を積む行為や点数計算といったややこしい作業を省けるという点でゲーム機との相性がよく、1983年8月に発売されたファミコンソフト「麻雀」は約213万本の売り上げ。歴代のゲームソフトと比較してもかなりの大ヒットを記録しました。

 2000年以降、オンラインで全国の相手と麻雀が打てるようになってからは、牌を積まない麻雀をメインとするユーザーも多々出現しました。私もまさにこのタイプの麻雀ユーザー。麻雀人口こそ年々減少していきましたが、個人的に気になっているのは、「牌を積まない」麻雀ユーザーがどの程度麻雀人口に反映されていたのかということ。サッカーゲームを遊んでいる人で自分がサッカーを嗜んでいると思っている人は居ないでしょう。

 これは極端な話ですが、2000年代前半はこうした論理展開で、「ネット麻雀は麻雀ではない」とする言論がだいぶまかり通っていました。今となっては信じられない話ですが、こうした背景を踏まえると、見た目ほど麻雀人口が減少したわけでもない気もしますね。

 麻雀人口関連でもう1つ気になるのは、統計上の誤差があるとはいえ、現実の麻雀人口が1年で100万も200万も増減するとは考えにくいということですが、これは「一年以内に遊んだことがあるか」が競技人口の定義となっているため。この定義だと麻雀歴30年以上、麻雀本を出版するまでに至った私であっても、年によっては麻雀人口に含まれないことになります。

 そのことを踏まえると、麻雀人口増加の為の鍵になるのは、新規層の取り込みというよりは、むしろそれまでの麻雀愛好家を呼び戻すことにあるのではないでしょうか。

 以前申しました通り、新規参入者向けのコンテンツは山ほどあっても、再参入者向けのコンテンツをほとんど見受けないのが麻雀界の現状です。

 供給できる人が少ないうえに収益の目処も立たないというのが最大の理由と思われますが、5歳で麻雀を覚えたにも関わらず、本格的に始めたのは大学生になってからである私も言うなれば麻雀の「再参入者」。名も無い人たちがネット上で趣味でやっていた麻雀関連の記事を読むのが楽しかったからこそ、自分もただ遊ぶだけでなく発信する側に回りたいと思うようになり、麻雀本を出版するまでに至りました。

 今の私にとっても麻雀は相変わらず遊んでいて楽しいゲームですが、観て楽しむとなると、正直な話、麻雀以外のゲームに関する記事ばかり読むようになっていました。その手の記事を書かれている方が、以前は麻雀の愛好家だったという話もよく聞きます。こうした方々に「麻雀もまだ捨てたものではない」と思ってもらえるようなコンテンツ作りができればいいですね。

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