新麻雀徒然草第17回「ティミー、ジョニー、スパイク」

 タイトルはMTG用語で、「何を求めてゲームをプレイするか?」「どんなカードを好むか?」によってプレイヤーを分類しようというものですが、同じ手法で麻雀打ちのプレイスタイルを分類することもできそうです。

 例えば、高い手役や多メンチャンといった派手なアガリを好むのが「ティミー」。迷彩や遠い仕掛けといった多くのプレイヤーが思いつかない手順のアガリを好むのが「ジョニー」。ルール、局面に応じた効率の良いアガリを狙い、他家と差をつけることを好むのが「スパイク」と言えます。リンク先にあるように、プレイスタイルは更に細分化することが可能です。また、実際のプレイヤーが必ずどれか1種に当てはまるとは限りません。

 上記の3種とは異なる観点の分類で、ヴォーソス、メルヴィンという定義もあります。麻雀で言うならば、麻雀の持つ歴史や麻雀牌のデザインに惹かれたり、麻雀プロや麻雀漫画のキャラに興味を持つ傾向が強いプレイヤーがヴォーソス。麻雀のゲーム構造に興味を持ち、麻雀クイズや麻雀パズルを解いたり考案することや、現行ルールの穴を見つけて議論することや、新しいルールの麻雀を創造することを好むプレイヤーがメルヴィンとなるでしょうか。

 麻雀に限らず、あらゆる対戦型ゲームは、競技志向の「ガチ勢」と、娯楽志向の「ライト勢」に分類されます。MTGにおいては、ライト勢はティミー、ジョニー、ガチ勢はスパイクに分類されることが多いですが、ライト勢にスパイクが居ないとは限りませんし、その逆も言えます。

 私は「現代麻雀技術論」、あるいは麻雀ウォッチの「戦術本レビュー」のライターとしては、「スパイク」視点の麻雀を取り上げてきましたが、麻雀ブログ(「雀魂日記」「天鳳日記」)や、何切る(「手組の達人」)では「ティミー」「ジョニー」寄りの手筋を優先的に取り上げるようにしています。その方が個人的にも楽しいですし、勝利を目指すうえでも、ライト勢が好みそうな手筋が有力であることは案外少なくないと思っているからです。

 また、「麻雀徒然草」「麻雀クイズ王」では、「ヴォーソス」「メルヴィン」向けの記事を取り上げてきました。私自身がそれほど競技志向が強いわけではなく、娯楽としての麻雀を好むプレイヤーなので、戦術記事よりもこちらの方が書いていて楽しいですね。

 ガチ勢とライト勢の話になると、何かと煩わしい対立が起こりがちですが、対立が起こる原因の一つとして、ガチ勢とライト勢の二つだけでプレイヤーを分類しようとしてきたことにあると私は考えます。同じ構図は「オカルトを信じるかどうか」「打牌選択のシステム化を是とするかどうか」「現行の麻雀ルールを変更すべきかどうか」でも見受けられます。こうした対立を解消するためにも、麻雀の楽しみ方は多種多様で、ガチ勢、ライト勢の中でも様々な分類があり、実際の麻雀プレイヤーが必ずしもどれか1つの分類に当てはまるとは限らないという考え方がもっと広まって欲しいものです。

 ガチ勢とライト勢の考え方については、平澤氏の意見に概ね賛同しますが、唯一相違点を挙げるとするなら、私の考える理想は棲み分けではなく、棲み分けの必要さえ無くなることであるということです。最近は2000年代と比較すると棲み分けがだいぶ進み、様々な麻雀観の持ち主と対話(時には喧嘩になることもありましたが)する機会がめっきり減ったこともあり少し寂しく思う今日この頃です。

 

宜しければサポートお願いします。サポートは全てラーメンのトッピングに使わせていただきます。ラーメンと麻雀は世界を救う!