ネマタの知らない麻雀界第７回「青天井を超えた青天井麻雀」

　本格的に麻雀を始める前はクイズ王に憧れていた私の最近の日課は、東大クイズ研究会のyoutubeチャンネル「QuizKnock」の動画を観ることです。

　何でもいいからなるべく高得点を取る企画。QuizKnockメンバーに麻雀愛好家が多いということを知っていたので、きっと「青天井麻雀」が取り上げられるに違いないと思っていたらまさにその通りになりました。

　しかし使用牌がソーズのみの「バンブー麻雀」なのは詰めが甘いところ。高得点を狙うならやはり字牌は欠かせません。符の1の位を切り上げ、役満を1000万点で打ち切りとするルールであれば、麻雀漫画「トーキョーゲーム」に南場の親でリーチ・河底・小三元・混一色・混老頭・対々和・三暗刻・三槓子・南・白・中ドラ32、140符48翻で378京3023兆6869億点という点数が出てきます。

　実際に青天井ルールで遊ばれた対局記録として残っているのは、麻雀博物館の初代館長。麻雀では名人戦、最高位戦のタイトルを獲得したこともある大隈秀夫氏がアガった緑一色四暗刻ツモ海底ドラ３の約21兆4758万点。大隈氏は佐賀県生まれで東京帝国大学文学部出身。私にとって地元の大先輩になります。　

　理論上の最高得点は、親でダブルリーチ・河底・小三元・混一色・混老頭・対々和・三暗刻・三槓子・ダブ東・白・中・ドラ40（ダブルリーチ後に3回アンカン、残りツモ1回のところで他家が4回目のカンを入れ、河底牌で放銃して四カン流れが不成立、ドラ表示牌が北北北北発、裏ドラ表示牌が８p８p８p８p発）、140符58翻。約38垓7381京6255兆5000億点となります。

　役満を一律13翻扱いとして、役満も他の役と複合するものとすれば、ダブルリーチ・ツモ・嶺上開花・字一色・四暗刻・四槓子・小三元・ダブ東・白・中・ドラ40（ドラ表示牌が北北北北発、裏ドラ表示牌が南南南南発）親の160符89翻。約237穰6844𥝱8754垓点となりました（大四喜字一色や大三元字一色だとアンカン部分にドラを載せられないので小三元止まり）。

　しかしこれでは、北極と南極の2点を取って2極点にはまだまだ届きません。麻雀牌は1種4枚という常識をぶっ壊しましょう。麻雀漫画『ムダヅモ無き改革』では小泉ジュンイチロー首相が「全部白」によるアガリ。「天地創世（ビギニングオブザコスモス）」を決めます。　字一色・三暗刻・四槓子・嶺上開花・白4・ドラ72で140符105翻。908溝6519穣5024𥝱3594垓8349京9283兆6857億6135万1700点のアガリになりました。

　折角なので親番で四暗刻にしてダブルリーチ、ドラ表示牌を全部中にしてしまいましょう。ダブルリーチ・ツモ・嶺上開花・字一色・四暗刻・四槓子・白4・ドラ180で160符227翻。約8282無量大数956不可思議1610那由他点。ついに極を飛び越え、一般的な漢字文化圏における最大の単位「無量大数」に辿り着くことができました。白を発にすれば緑一色もついて240翻です。

　こんなぶっ飛んだ麻雀（のような何か）を、何と実際に体験することが出来るゲームが存在します。その名も「不夜麻雀」　
（http://maru9.saikyou.biz/huya2/index.html）　

今年Nintendo Switchから青天井ルールでも遊ぶことができる、『東方幻想麻雀』の新作が発売されましたが、これでは物足りないと思われた方が制作された幻想郷式麻雀です。

　ご覧の通り無量大数を飛び越えてとんでもない点数が表示されています。ビギニングコスモスなんて目ではありませんが、このゲームの本領はここから。何と和了時の翻数そのものを上げることができる能力持ちのキャラも登場します。

　半荘中に和了時の翻数が増加する能力を何度も使い、使った局の和了時の翻数を２乗する能力と組み合わせて親で60符41億9536万521翻のアガリ。気になる点数は…「超いっぱい」点。流石にまともに表記することが出来なかったようです。あまりにも翻数が大きくなり過ぎると異常なデータとしてランキングに登録できなくなるようですが、123京5736兆9948億860万翻を記録したという報告も上がっています。　https://dic.nicovideo.jp/a/%E4%B8%8D%E5%A4%9C%E9%BA%BB%E9%9B%80　

　しかし報告されている点数でも残念ながら、優勝者の「1不可説不可説転点（10^（7×2^122））、約10^37澗」には遠く及びません。和了時の翻数を２乗する能力が使った局のみでなく、半荘中ずっと継続して何度も使えればよかったですね。これから麻雀ゲーム（のような何か）を作ってみようと思われる方は、「不可説不可説転」までの桁数をサポートした青天井ルールを導入されてはいかがでしょうか。「麻雀はもっと自由に遊べる」という発想を広める契機となる、麻雀界の大きな第一歩となるに違いありません…というのはいくら何でも大袈裟でしたね（笑）