麻雀用語を用いない麻雀講座を考える第1回「和了は勝ち、放銃は一人負け」

「麻雀用語を用いない麻雀講座」を考えると申しましたが、どこまでを麻雀用語とみなすべきかという問題があります。例えば「和了(アガリ)」も言ってしまえば麻雀用語です。

 もちろん、「和了」については、麻雀用語の中でも定義が分かれず、麻雀を知らない人に説明するのも簡単ですから、利便性のためにそのまま用いても差し支えありません。要は、麻雀を一から覚える人にも説明がつく言葉であるかが問題です。

 すごろくでゴールした時、あるいは大富豪のように手札を全て場に出すことを目的とするトランプ遊びで手札を全部場に出すことも「あがり」と言います。一般的に完成を「上がり」と言うのですから、麻雀も「上がり」でよさそうなものですが、何故「和了」と使われるのか。これは、争いが終わって「了」、和平(和)が訪れるから。争いに決着がつくから和了であり、決着をつけた人が勝者というところでしょうか。

 麻雀を一から覚える人にとって適切な麻雀用語かどうかは、「外国語に翻訳しても分かりやすく説明できるか」と言い換えられるかもしれません。麻雀は牌の組み合わせで得点を競う数理的ゲームである以上、どのような文化圏の人であれ通じる意味で説明できて然るべきでしょう。

「和了」は英語では「Win」、文字通り「勝ち」です。では、他家の和了牌を切って和了されてしまう「放銃」は何と呼ぶのか。どうやら決まった用語らしきものがないらしく、説明が長くなってしまうそうです。

 「用語」を設ける利点はまさに「説明せずとも済むこと」。毎回説明が必要だと、戦略として身につけることが難しくなります。放銃率を下げる戦略は勝つために極めて重要である以上、専用の単語を設ける必要がありましょう。

 決まった用語が無いという話を聞いて、英語版雀魂では「放銃率」が何と説明されているかが気になりました。

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 和了率が「Win Rate」なのに対して、放銃率は「Deal-in Rate」。余り馴染みの無い単語ですが、「Deal-in」は、商品を取り扱う、取引をするの意味。転じて、振り込んで点棒が減るというところでしょうか。

 そもそも、「放銃」が何故相手の和了牌を切って振り込んだ意味になるのかも、漢字だけでは分かりにくいものがあります。 こちらによると、「銃を放つ」で、「自分の撃った玉のせいで、思いがけず相手が有利になる」という意味になるようです。

 「放銃」が「玉を撃ったが結果的に相手を利することになった」であれば、「Deal-in」は「取引をもちかけたが結果的に相手を利することになった」というところでしょうか。それならば、放銃が「Deal-in」という訳になったのも何となく分かる気がします。

 しかし、過程の結果を表す言葉が、文字通りの意味だと「過程」を指しているのは何ともややこしいですね。「結果」を指すのですから、和了を意味する「Win」に対応して、「Lose」。麻雀はツモられても失点するので、放銃なら「一人負け」、被ツモの場合は(四人麻雀なら)「三人負け」と表現すればよいのではないでしょうか。この方針でいけば、横移動は「他の人の一人負け」。流局は「引き分け」になります。

 もちろん浸透しきっているうえに定義がぶれることのない麻雀用語なので、あえて言い換える必要性も薄いですが、麻雀を初めて覚える人向けの説明としては「和了=勝ち」「放銃=一人負け」とするのが分かりやすいと思ったことです。

 ※全くの余談ですが、「和了=勝ち」と表現する例はあっても、「放銃=負け」と表現する記述を見ないのは、「麻雀を知らない人にも普及させたい」と考える層に、「和了の楽しみ、喜びは知ってほしいけれども、勝敗にはあまりこだわってほしくない」という意図があったのかもしれませんね。私は勝敗を競うゲームである以上勝敗にはこだわるより他なく、勝敗を競うことと楽しむことは両立して然るべきという立場を取ります。


 

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