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にゃんこスターのあのネタを今さら考察

すっかり世間から舐められてしまっているにゃんこスター。個人的には好きでも嫌いでもないが、改めて考えるとあのネタはすごかったな〜と。あのなわとびの。ちょっと分析してみます。

まずは決勝に立つまで。2回戦ぐらいから話題になり、「あのネタはヤバい」とSNSなどで書かれるようになってお笑いファンの期待を煽りに煽った挙句、あのバカネタ。しかも、賞レースで周りがバチバチに仕上げてきた綿密に練られたコントの中だと異彩を放ちまくる。あれよあれよと準決勝までコマを進め、準決勝でも爆裂な賛否両論の中、決勝進出。お笑いファンは「審査員の英断」と賞賛する。ちなみにm-1よりもKOCの方がダークホースの尖ったネタがスルスルっと決勝に行ける事があるので、そこも計算されていたならすごい。

決勝では、出番は後半のほう。良質なコントが並ぶ中、ちゃんとハネたのは後の優勝者であるかまいたちのみ。お客さん、審査員、視聴者もそろそろ大きな笑いが欲しいと思っていた矢先のにゃんこスター。それに内容の濃い緻密なコントが続くと疲れるというか飽きてくるというか違う味をみんなが欲していた頃。伊集院さんのV「コイツらが優勝したらお笑い界変わると思いますよ」めちゃくちゃハードルを上げる。壮大なフリでしかない。

「わーーーーい!オイラはなわとび大好き少年だよーーーーーー!」

最高の肩透かしと変な奴来た!という期待感。

まあものすごく簡単に言うと「サビでなわとび跳ばない」ってリズムネタなんですけど、とりあえず選曲が絶妙。

大塚愛の「さくらんぼ」このネタをやるにあたって選曲で必要な要素が3つある。
「みんなが知ってる」「アンゴラ村長の可愛さを引き出せる」「サビが明確にあってわかりやすい」

この要素を満たす曲は大塚愛の「さくらんぼ」しかない。一択。

ここからサビまで上手いことなわとびを跳んでいく。フリ。「いい脚してるねお姉ちゃん」が趣深い。

で、サビで跳ばない。そんな古典的な。太古の時代から今まで受け継がれてきた最初のボケ。キングオブコント決勝で。みんな真面目にコント作ってきたのに。背景を全部ひっくるめてフリにして、なわとびを跳ばない。そりゃ審査員も唸ります。

跳ばない時の振り付けもキャッチーなリズムネタとして完璧。両手を親指だけ出して口を尖らせる。今までありそうでなかったし、誰もが真似したくなる動き。ここまでで1番。

ここから2番だが、このネタのイチバンすごい所はここ。

「この動き求めてる俺がいる!」

これは最高のセリフ。過去のリズムネタ史で視聴者みんなが思っていた事を明確に言語化してコントの中に盛り込んだ。これは「スーパー三助」というコントと現実の狭間にいる人間だからこそ言える、軽いメタ的発言。三助じゃなければ「安易なメタネタ」として消化されてしまっていただろう。

これがある事でみんながサビに期待し、実際に来た時に「キタキタ!」という笑いに繋がる。アンゴラ村長がやっている事は変わらないのに、1番と2番では笑いのポイントが180度違う。すご。

この後、「伝説のなわとび」という三助ワールド全開からの取れる→捨てるの流れや、無表情の変な踊りで迫ってきて「何それ怖い」の流れなどがあるが、みんながにゃんこワールドに引き込まれているのでまあ何やってもバカ受け。

そして最後はキャラクターのパネルを持ってきて「そんな僕たちのコンビ名は〜にゃんこスターでした〜!」

ハートフルバカオチ。

これも「現実とコントの間の変な奴」三助だからこそ許される掟破りのオチ。

2本目もほぼ同じネタをもう一回やるというルール無視の三助だけの世界。計算され尽くしている。

余談ですが今見返すと1本目と2本目で2人の服装が全替えされていて、かつあんまり変わってないのに笑いました。

で1位は実力派かまいたちに譲って視聴者にインパクトだけを植え付けることに成功した。

このネタの不思議な所はあの時以降、他の人がカバーするほど面白いという所。なわとびプロ集団や朝日奈央、安藤なつなど、外れは見た事なかったです。

このように、あのネタは計算されつくされて、なおかつあのキングオブコントの場にバッチリはまった、あの場での最高のパフォーマンスという事でしたね。それを他のネタ番組やyoutubeで切り取られたのだけを見て「つまんない」とか言うのはお門違いだと思います。

だからあんまり叩かないであげてね。

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