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ワインの魔法:成分が織りなす味わいの不思議

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ワインの奥深い魅力を科学の視点からまとめていきたいと思います。アミノ酸、リンゴ酸、バイオアミン、その他様々な成分が織りなす複雑な風味の秘密に迫ります。ワインの成分は、実際に測定し…
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記事一覧

ワインに含まれるコハク酸を測った結果を見て、料理と一緒にワインを飲み比べてみた

日本酒にはコハク酸が多いことがわかっています。コハク酸は、ほんのりとした酸味とともに、口の中で広がるコクのある旨味と、少し苦みがあります。このため、料理や飲料に深みを与え、全体の味わいを豊かにする役割を果たします。コハク酸は、貝類に多く含まれており、魚介類の素材を使った料理との相性が良いとされています。 ワインにもコハク酸が含まれています。そこで、ワイン中のコハク酸を測定してみました! そして、その結果を参考に、料理とワインのマリアージュを試してみました。 #おうち居酒屋やっ

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ワインにうま味はあるのか?

ワインの風味や香りをどう感じるのか?  「このワインにはうま味があるだよね~」と言われるのを聞いたことがあります。テイスティングチャートには、甘味、酸味、コク、果実風味、後味、などの項目がありますが、うま味の項目はないですよね。果たして、ワインにもうま味が存在するのでしょうか? うま味とは何か? うま味は、1908年に日本の科学者池田菊苗によって発見された、五つ目の基本味です。グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などのアミノ酸やヌクレオチドによって引き起こされるこの味は、

ワインの旨味成分を測定してみた

旨味成分 旨味成分として、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸が主に挙げられますが、ワインの風味の評価として旨味は、項目に含まれていません。 旨味成分はワイン中に含まれていますが、味覚閾値よりも低い濃度と報告されています。 特に長期間酵母接触のあるシャンパンでグルタミン酸の含有量が高いことがわかっていますが、濃度は、残念ながら味わいを感じることができる味覚閾値よりも低い値です。 グルタミン酸のワイン中の含有量: シャンパン中のグルタミン酸の含有量は1.4〜7.5 mg

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日本酒は、ワインより旨いのか?

日本酒の旨味 日本酒はその豊かな風味と深い味わいで、多くの人々に愛されています。ワインには旨味成分が含まれるものの味覚閾値以下でした。では、日本酒には旨味成分は、どのくらい含まれているのでしょうか? 今回は、日本酒に含まれる旨味成分について、科学的な視点から見てみたいと思います。 旨味とは? 旨味は、1908年に日本の科学者池田菊苗によって発見された、五つ目の基本味です。グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのアミノ酸や核酸によって引き起こされ、この味は肉、魚、野菜、

ワインの旨味の相乗効果を検証してみたーCrystallum Peter Max Pinot Noir2020 ー

南アフリカのウォーカーベイのヘルマナス地方、へメル・アン・アルド・リッジの小さなワイナリーが作る文句なしに美味しいCrystallum Peter Max Pinot Noir2019を解析した結果、グルタミン酸が高めの値でした。 ワイン中のグルタミン酸は舌で感じられる量よりは少ないのですが、うま味成分のあるお料理と合わせると相乗効果があると言われています。 そこで、南アフリカワイン・Crystallum Peter Max Pinot Noir2020で、うま味相乗効果を試

ワインとツマミのマリアージュ編:枝豆、チェダーチーズ、生ハム

ワインの成分と料理のマリアージュを探るワインの成分と料理のマリアージュを探るため、日々奮闘中です。 測定で分かった値を元に、何と合うのか検証中です(^_-)-☆ 今回は、枝豆、コンビニで買ったチェダーチーズ、友達が持ってきてくれたけど食べなかったイベリコの生ハム、イチジクをワインと試してみました。 ご笑覧くださいませ! 検証ワインリスト Cfa Backyard Winery Burkesque 2021 まるき葡萄酒増 べーリーA こことある 農民ロッソ ココ・ファー

文献)ワイン中の生体アミン:頭痛を理解するために Biogenic Amines in Wine: Understanding the Headache

Biogenic Amines in Wine: Understanding the Headache South African Journal of Enology and Viticulture Vol. 29 No. 2 (2008)  DOI: https://doi.org/10.21548/29-2-1444 A.Y. Smit, W.J. du Toit, M. du Toit キャッチ―なタイトルだったので読んでみました。もう少しきちんとまとめられているの

ワイン中のヒスタミンを測定してみた

ワイン中のヒスタミンを調べてみました。 なぜ調べようと思ったかは、前の記事を参考にしていただければと思います。 測定用のワインは、自分で少しずつ買い集めていったものです。購入時期もバラバラですし、下記にも記載したようにサンプルの採取時期もバラバラです。ですから、今回の結果は、必ずしも正確とは限りません。 採取方法:抜栓後、上5ml程度を除き、ポリプロピレン製15ml遠心管に擦り切れいっぱい入れて、パラフィルムで封をして冷蔵庫にて保存。 採取時期:せっせと自分で飲みながら

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ワイン中に含まれる乳酸菌 文献調査中

昔、美味しくないワインをサンプリングして、遠心機で10000回転で15分回して、沈査をプレパラートガラスにスメアを引いて、グラム染色をしたことがあります。すると、美味しくないワインは、桿菌やら球菌やらが1連、2連、4連といろいろいました。美味しいワインは、全くいないか、1種類でした。うーん、どいうこと?と思って、いろいろと論文を調べていたのですが、それからなんと10年ぐらいは経ってしまいました。改めて、文献を調べていきたいと思ってます。手元に置いたままにすると、忘れるので、こ

ワイン中に含まれる生体アミンについて 文献整理中

生体アミンについては、ワイン業界で騒がれる前から、アカデミアでは論文が出ていて、読んでたんです。なので、いろいろ調べてはいたんだけれど、ようやく落ち着いて整理していきたいと思い、これも、ここにメモ代わり。 ワイン中のヒスタミンとプトレシンは、実は測定してみました。ですが、私自身が頭が痛くなったり、蕁麻疹が出たりするワインは、ヒスタミンは高くありませんでした。何が原因なんだろう。まずは、可能性を文献上で探っていきたいと思ってます。 生体アミンの種類と影響 ヒスタミン: 生

ワイン中に含まれるヒスタミン含量について 文献整理中

私は、10本に1本ぐらいの割合で、飲んだとたんに、頭痛がして、口の周りが痒くなり、それが広がり体中が痒くなり、さらに口の周りや手に発疹ができることがあります。ひどい時は、その翌日から3日から1週間、下痢が続きます。 これって、ヒスタミン食中毒の症状と似てますよね。 (1)ヒスタミン食中毒 消費者丁のページに記載されているところによれば、 「ヒスタミン食中毒の症状は、食べた直後から1時間以内に、顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんましん、発熱などがあげられます。重

ワインに含まれるアミノ酸 甘味は糖だけじゃなかった

ワインには糖以外にも甘味を感じさせる成分があるのをご存知でしょうか?実は、アミノ酸の一種であるD-アラニンに甘味があることが分かっています。 ワインの複雑な味わいの秘密に、アミノ酸が関係していることをご紹介します。 ワイン醸造過程でのアミノ酸の変化ワインの醸造過程では、アミノ酸の量が大きく変化します。赤ワインと白ワインで少し違いはありますが、全体的な傾向は以下のようになります。 発酵が始まったばかりの頃:アミノ酸の量が多い アルコール発酵中:アミノ酸の量が大幅に減る

赤ワインが、魚介類と驚くほど相性が良い理由:ワインの隠れた味わいの秘密—アミノ酸が生み出す豊かな風味

ワインには、うま味成分以外のアミノ酸もあるうま味成分であるグルタミン酸は、アミノ酸の一種です。ワインには、グルタミン酸がヒトが感じるよりも低い濃度ではありますが、含まれています。旨味成分のあるお料理と合わせることにより、うま味の相乗効果が生まれ、うま味を感じることができると言われてます。 そして、グルタミン酸以外のアミノ酸も多くあります。これらのアミノ酸は、甘味、酸味、苦みなど、ワイン全体の風味や口当たりを豊かにする効果があります。 ワイン中にある甘味のあるアミノ酸たち♫ワ