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【エッセイ】リーディングに魅せられて

【エッセイ】リーディングに魅せられて

こんばんは、こんにちは。長尾早苗です。
昨日は外回りの仕事が多く、コーヒーを飲み過ぎました!
ははは、反省。
今回はそんな深夜の時を使って、ゆっくりと「ポエトリーリーディング」についてお話ししようかと思います。

リーディング漬けの日々4月~5月末まで、わりと毎週どこかでリーディングをしていました。
今思えば、20代最後のいい思い出だったかなと。
わたし自身は小説の朗読サークルに所属していたことも

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【イベントレポ】9年ぶりのオープンマイク・千葉詩亭2022.4.17

【イベントレポ】9年ぶりのオープンマイク・千葉詩亭2022.4.17

こんにちは。長尾早苗です。

このところ朗読会が立て続いており、9年ぶりのオープンマイクも入っていましたので、お客様の前で読むということに緊張しっぱなしで……
でも、テキスト台本とイヤホンと、ボイスメモで乗り切っていました。
今回はわたしの仕事ももろもろあって、リーディングの練習ができたのは6日間でした……がんばれました。
朗読の恩師から、「午後の方が声が出やすいよ」と言われたのを思い出し、練習は

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【イベントレポ】朗読ユニット・ヒスイドロップさんの公演のこと!2022.4.16

【イベントレポ】朗読ユニット・ヒスイドロップさんの公演のこと!2022.4.16

春うららの日差しの中、朗読ユニット・ヒスイドロップさんの朗読会にでかけておりました。

場所は神楽坂。もう何回来たんだろう……思い出の場所でもあります。

神楽坂セッションハウスでは、きむらゆういち『あらしのよるに』・角田光代「鍋セット」・吉本ばなな「みどりのゆび」の3作が朗読されました。前回の朗読roomで読まれなかった2作品(前回は投票制でした……!)のあらしのよるに、鍋セットも良い作品で、今

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天気

しあわせってあったかい
大人はたぶん
いい子されないこどもです
スカッと抜けた青空に
干された布団は上機嫌
おやすみなさいと言ってから
夢見たものはなんですか

今日もいい天気だよお

月に傷痕

長尾早苗

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月に傷痕

この世界は、たまごのようだ。そう、きみは思ったことがあるか。弾けそうな青空という膜を、つまようじでつつけば、世界は壊れる。そんなことを、きみは思ったことはないだろうか。赤信号はすてきだ。青空を見上げることをゆるしてくれている。そんなとき、月と目が合った。真昼の月は、白く満ちていた。こっちを見ている。わたしはバッグの中から、先のとがったボールペンを取り出し、真昼の月を刺した。世界は壊れな

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わたしの中には海があって

たぶんわたしは海からやってきた

海を見るたび

なつかしさに泣きたくなる

この涙だって

海の一部だ



隣では母が眠っている

泣いているように見えた

母も海を見ているのだろうか

わたしの知らない視点で

わたしの知らない少女として

彼女とわたしは手をつなぐ

ふたりで泣き笑いして

砂浜を

蹴った

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初潮を迎えた夜だった
くらげちゃんと美しい砂浜で話し合ったのだ
「わたしの名前ね、さんずいがないの
くらげちゃんはいいなあ
海だよ、うみ!」
そういうと
くらげちゃんはふふふと笑って
「海になる方法を教えてあげよっか」
と言った
わたしが頷くと
耳元で
「家の鍵を捨てちゃえばいいんだよ」

ひそひそ言う
わたしが驚くと
くらげちゃんは
「くくく」
と笑って
いつものように
わたしの心臓を毒針で

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日常は発光している
暗い海の中
わずかに見える灯台を指して
くらげたちは漂っている
わたしもかつてはくらげだった
ことばはくらげであり
わたしは今や人間の姿をとっているが
触手でからみつき
毒針を刺して
「わたし」ごときを殺してやった
ふわふわと浮いている水死体「わたし」
生きているのは
わたしのくらげのみ
スカートがふわふわと浮いている
白い、白いスカート
さようなら
わたし
何もなしえなかった

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プリズム

長尾早苗

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少年は虹を見たことがなかった。彼の村では、少年が前世で罪を犯したからだという。彼の村ではみな虹を見たことがあるのに、少年だけ虹を見られなかった。そんなある日、雨が降り続けたある日、少年は踊り始めた。泣きながら踊った。舞うということ、それ自体が少年にとって必要なものだった。そう気づいたのだ。かくして、少年は雨を上がらせ、みなの崇める対象となった。ひとびとは少年を神と呼んだ。神殿に昇ったとき、少年には

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帰ろう

どこかへ
家へ?
そこはわたしの帰る(或いは逃げられる部屋)ところではないのであって
部屋にはいくつもあって
逃げられる部屋/逃げられない部屋
どこでもドアがあったら
などと考えてしまうけれど
どこからだって部屋へは逃げられて
そこでわたしは「わたし」であって
誰でもない「わたし」であるから
とてもななめであって

ぜんぶぜんぶ小動物の小刻みのふるえ
波のさざめきが聞こえる

知らない

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