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派遣会社概要:020 『電子迷宮 ケイオスラビリンス』

【サイト名】

 ケイオスラビリンス(通称)

【代表】

 某大手クラウドサービス → 『ロード・ケイオス』 → ???

【概要】

 近年ハッカー達の間で噂に上るようになった、ウェブ上に広がる電子迷宮。

 その正体は数年前までクラウドサービスで隆盛を誇った大手外資企業のデータベースが『ロード・ケイオス』を名乗るクラッカーによって占拠、改竄された成れの果て。

 当該クラウドサービスは高いセキュリティと利便性で広く利用されており、多くの企業や個人、政府が特許や機密データ、プライベートな情報を預けていたため、それが無名の一個人に奪われた事は世界中に激震をもたらした。

 ただちに業界を通じて集められた最精鋭の異能力者、ハッカーによる奪還作戦が実行され、表の世界に知られることなくサーバーは奪還、追い詰められた『ロード・ケイオス』の自害によって事件は幕を閉じた、かに思えた。

 しかし最近になって一つの事実が浮かび上がる。

 『ロード・ケイオス』が死の間際にデータを何処かのサーバーに暗号化、複写しており、一定の技量を持ったハッカーであれば、そのサイトにアクセスできると……。

 かくしてハッカーたちは、今夜も値千金の情報を求め、暗号化により迷宮と化したサイトに潜り続ける。

 時には己の命をも賭けて。

【所在/物理】

 大企業のクラウドサービスが抱えていた膨大なデータを複写している以上、物理アドレスは世界の何処かにある大規模なデータサーバー群となるはずである。

 だが今のところ、断片的な『入り口』や『玄室』が各地のサーバーに出現するのみで、本体にたどり着きその所在を確認できたものはいない。

【所在/電子】

 時折各地のデータベースに逃げ水のように出現する『入り口』からアクセス可能。

 『入り口』は一般人にはノイズにしか見えず、自らの意志でアクセス出来るのは出現パターンを予測できるハッカーのみである。

 内部では刻々と変化する暗号化された情報が漂っており、並のハッカーでは今自分がどこに居るのか、どんな情報にアクセスしているのかを把握するだけでも至難とされる。

 アクセス者を襲う攻性プログラム『ワンダリングモンスター』も巡回しており、当然のようにウィルスを流し込んでくる。

 探索に失敗した際にメインフレームを破壊されるのは日常茶飯事、下手をすれば逆に個人情報を抜かれて晒され『ロスト』するものも後を絶たない。

 それでも、迷宮の奥にある『財宝』――数十億円以上の価値を持つ情報、『武器』――『ロード・ケイオス』が紡いだプログラム、『名誉』――ハッカー間で与えられるであろう不滅の称号を求め、今日も冒険者たちは足を踏み入れる。

 迷宮の深部で、死んだはずの『ロード・ケイオス』に遭遇したとの噂もあるが、定かではない。

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