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レンジ全体の戦略を意識したExploitの考え方

はじめに

 中級者以上にとってポーカーとは各プレイヤーが構築している戦略の戦いであり、それはお互いのレンジ全体で組み立てられるものだと考えています。将棋の盤面のように13 x 13のレンジ表のマス目をイメージして、それぞれのハンドに対してどのアクションを配置していくかというゲームです。ボードやアクションによって分岐していく局面それぞれにおいて、いかに強い戦略を組み立てられるかが本質的だと思います。

 PioSOLVERを使う利点として、レンジ全体の戦略の配置が視覚的に見やすいことが挙げられます。毎日のようにPioSOLVERで勉強することで、レンジ全体の戦略をイメージすることが容易になってきます。

 そのうえで今回の記事ではGTO戦略の再現という話題から一歩先を行き、相手がGTO戦略を再現することが難しいと思われる場面を考え、そこでどのようなExploitが可能になるかを示したいと思います。

 具体的な例としてSB vs BBのハンドを挙げてみます。まだ視聴していない人は、以前にYouTubeに載せた以下の動画をまず観てください。

 動画のまとめの部分を載せますがA high~Q highのボードはSBのレンジ全体のequityが高く、レンジ全体で小さいサイズのCBを打つ戦略が有効であることが分かります。しかしBBにraiseされた場合の対応について事前に十分な予習が必要と赤字で書いてあります。

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 レンジ全体で小さいCBを打つ戦略が有効な場面は他にもたくさんありますが、どの場面にも共通して言えることとして、そこだけを暗記して使っても応用が利かなければGTO戦略から容易に乖離してしまいます。分かりやすい例がまさに小さいCBに対してレイズを返された場面だと思います。その場合の対応について理解していない場合、相手は単純な方法でExploitすることが可能であり、しかもそのExploitは非常に強力です。

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