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ショート・ショート「予期せぬ再開」

昨晩から左足が痛む。
寝返りも、うてないくらい痛い。

いよいよ終盤の「デュープリズム」のルウ編。
これでもかってくらいの名言の数々に
心がむせび泣く。

あれっ!?ルウ編ってこんないいお話しだっけ!?っとついぞ現れたラスボスにてんやわんや。

なかなか勝てぬ…。

これは気合入れて、しかと体勢をととのえ、
敬意を持って相手する必要がある。
寝っ転がりながら戦える相手ではない。

その時だ。

左足付け根がキーンと音を立てて
ギリギリと痛みだした。

うつ伏せになっても
どうにもなっても痛い。

座っても立っても痛い。
なんなら歩けない。

かべをつたってなら歩けるけれど
完全独立歩行は、かなりむずかしい。

ついに身体の不自由さとも
仲良くしなけれならないお年頃か…。

なんて、少しだけ悲しいような
どこか誇らしげな、気分を行ったり来たり。

そうそうにデュープリズムは明日へと
切り上げ、早目の就寝へと向かおうではないか。

この分だと明日のお仕事は、まちがいなく
使いものにならなさそうだ。

夜中に何度も痛くて目が覚めて
ベストポジションを探しているうちに
夜が明けた。

足が痛いうえに寝不足。
まったく脳が動かない。
足も動かん。どうしたもんかな…。

って

いや

待てよ…。

ぼくはこの痛み、はじめてじゃないな?

なんか知ってるぞ?だってこうすると…
少し痛みがやわらぐじゃんか。

おぉ?

なんだこれは。なつかしいぞ?
そうか。そうか。君、そんなところに隠れてたのか。


子供の頃はサッカー小僧だった。
朝から夜までボールを追いかけて
当時ですら化石になった「タイヤ引き」とかで
体力をつけ、夜はボールと共にふとんに入った。

そう。「イナズマイレブン」の
「円堂守」バリにサッカーサッカーサッカー。

少しでも上手くなりたい一心で
ボールを蹴りまくっていた。

その時に腰を痛めてしまった、
あの時の痛みと同じなのだ。
足からガクンと倒れてしまい、
立ち上がることもできないまま、
人前でも倒れてしまう。

「ワザとだろう?」なんて
心ない同級生に言われたりしたのだけど
ホント腰から地に落ちる。

モンハンの3落ちした時のモーションと一緒だ。

それからサッカーはできなくなったのだけど、
いつのまにか回復していたらしく、時々痛む腰と折り合いをつけながらサッカーに燃えた。

あれからうん10ね…いや20数年…。

ぼくはまた同じ痛みと闘っている。
そういや高校の時も
痛い腰さすりながら
「デュープリズム」にハマりにハマったな。

ミント編大好きで。
100周はしていて。
いやいや、ホントなのだよ。

ルウは一回したくらい。
悲しいオープニングでココロが
ついて行けなかった。

だからかルウ編は全く覚えていないのも
うなずける。やっぱりルウはツライ…。

ぼくはなにも変わってない、ココロとカラダ。

このまま放置するわけにもいかず、
整形外科にかけ込んだ。

数年ぶりのレントゲンを撮り、
主治医から驚愕のひと言が告げられた。

過去に骨折したことあります?」
「ん?コッセツ?」
「腰なら痛めたことありますけど…。」

「いや、ここのね、ちょうど付け根のあたりに
骨が折れてた名残りがありましてね…。」

「それがどういうわけか、いい筋肉のおかげでまたくっついてる痕跡があるんですね。」

「だからその古傷が痛み出したんだと思います」

え?骨折?ホントにコッセツ?
骨折って言ってる?
ところ場所選ばずコケてたあの日々って…
あれ、骨折れてたんか!?

「なぬー!!」
って診察室でついついミントの口調になってしまった。

え!?

何十年ぶりの新事実よ!?

いや今さらだけど、痛いのはやまやまだけど。

…そうか。そうだよねぇ。

ぼくのカラダもずっと戦ってくれてたんだよね。
痛まないように。ちゃんと歩けるように。

へんな言い方だけど
「よぉ!久しぶりだね!」ってところか。

うーん。相変わらずデュープリズムでグスグスしていて、足もあの時と同じく痛い。

なんにも変わってないね!

って褒め言葉として受けとっておこうか。

今しばらくはあの頃の勲章とでも言うべき
「古傷との再開」をなつかしむとするか…。

ひと言、サッカーに夢中な自分へ。
「骨、折れてるぞ!!」って言ってやりたい。


今回のお話しはおしまいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。

コケでした〜。


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