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【100分de名著】『生の短さについて』(セネカ)

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

この3月のNHK「100分de名著」の三回目の名著は、『生の短さについて』(セネカ)です。「時」と「豊かな生」が今回のテーマです。

セネカは、古代ローマ時代のストア派後期の哲学者です。
初期のキリスト教徒を弾圧した古代ローマ皇帝ネロの教育係から、補佐役となり、最期は、ネロ暗殺を企てたとされるピソ事件への関与の疑いで自害を命じられて死去しました。なんだか、秀吉と千利休みたいですね。

セネカの言葉は、後世の人々に影響を与えました。
例えば、ルネサンス期のフランスを代表する思想家モンテーニュ(1533ー92)の『エセー』にセネカの名があります。

そしてこの『エセ―』を読んだ、ルソー(1712-78)は、フランス革命に大きな影響を与えた人で、その著書『エミール』にはセネカの『怒りについて』からの引用があるそうです。

ルソーといえば、先日読んだ『おちび』は、フランス革命の頃、後にロンドンで蝋人形の館をはじめるマダム・タッソーの半生を描いた物語ですが、そこにもルソーが登場していました。セネカはこんなところにもつながってくるんですね。

テキストからセネカの言葉を引用します。

幾許かの時が過ぎたとしよう。賢者は回想によってその過去を把握する。
時が今としよう。賢者はその今を活用する。
時が未だ来たらずとしよう。賢者はその未来を予期する。賢者はあらゆる時を一つに融合することによって、自らの生を悠久のものとするのである。

現在・過去・未来を融合し、一つの良質で深い「時」として生きられる人が賢者だといいます。そうするためには、

  1.生が有限であることを忘れず、真剣に生きる
  2.「不精な多忙」に陥らず、毎日の仕事の中に真実を探求し、自己と向き合う
  3.大事なことを先延ばしにしない

どれも納得できる言葉ですね。きっとセネカがずっとずっと言い続けたせいなんでしょうね。

と思ったら、孔子(前551頃~前479)も似たようなことを言っていたそうです。孔子は、セネカより500年ぐらい、先輩ですね。

「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」(孔子)

また、セネカは「過去」を、先人たちによる叡知の軌跡、つまり古典を読み、書いた者と対話することだと考えました。

確かに、本は時空を越えるためのツールと言えますね♪
来週の放送も楽しみです。


■本日の一冊 NHK 100分 de 名著 『災害を考える』(NHK出版 日本放送協会 (編集) )


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