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【映画レビュー】不気味カッチェー素敵キャラの宝箱!秀作『マッドゴッド』の感想

昨年末の鑑賞作品ですが、今更レビューを書いております。

『マッドゴッド』のざっくりとした感想

『マッドゴッド』を観てきました。

マッドゴッド
制作年:2021年 / 制作国:アメリカ
監督:フィル・ティペット

https://eiga.com/movie/98055/

『スター・ウォーズ』『ロボコップ』『スターシップ・トゥルーパーズ』と多くのSF作品で特殊効果を務めてきたフィル・ティペット監督がストップモーションアニメーションで荒廃した未来世界を描いた作品。

合間にプロジェクトの中断を経ながらも30年という時間をかけて完成に行き着いた熟成された逸品。長らく観たい観たいと思っていた作品なので、日本上映が嬉しいです。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

すっごく好き。

地下に続く世界、
止まない戦火、
解体される肉体、
無数の時計、
仕掛けられた火薬。

なるほど、全くわからん。

ただ、不気味カッチェー登場人物たちの佇まいや、怖いけど お洒落なBGMとの妙な親和性など、雰囲気だけで高得点を持っていくやべー映画でした!


ネタバレありでもっと踏み込んだ感想を書いていきます。


■ストーリーなんてあってないようなもの!?

この映画、ほんとストーリーはよくわからない

主人公らしき男が、地下世界を巡っていく話なんだな……ってのはなんとなくわかるのですが、その主人公が解剖されるぐらいから、すっかりなんの話かわかんなくなってくるんですよね。

(C)2021 Tippett Studio

一応、公式サイトにもストーリーが載っているんですが

人類最後の男に派遣され、地下深くの荒廃した暗黒世界に降りて行った孤高のアサシンは、無惨な化け物たちの巣窟と化したこの世の終わりを目撃する。

わずか一文だけ、という簡素ぶり。
全然、人類最後の存在だとかそんな設定、映画だけでは察することできなかったですしね。

ただ、これに関しては映画の作り方の都合上しょうがない。

https://amzn.to/3HRFXyJ

本作の制作自体は『ロボコップ2』の制作直後の1990年には始まっており、数分の映像を作成。そこから20年の時を経て、フィル・ティペット監督のスタジオの方々が本作を発見し、プロジェクトが再始動して時間をかけて継ぎ足していったような映画なんですよね。

なので長編として上映されていますが、“連作の短編”といった方が近いはず。

確固たるストーリーがあるような映画ではないので、「よくわかんない」ぐらいで正解なのかもしれないですね。

短編を組み合わせて作っていった長編なせいか、ストーリーはマジでよくわかんない。


■キャラクターが良すぎる!!

ただ、ストーリーは全然わけがわかんないだけど、突き抜けて本作が愛しいのが、キャラクターたちのビジュアルの良さ。

あれなに?あいつ誰?と疑問に溢れて、パンフも勢いで買ってしまうほど、キャラクターのルックが、不気味でグロテスクで可愛くてかっこいい。
見事な造形ですごく大好き。

ストーリー、世界観、キャラクターという3つの柱がある上で、個人的な評価としてはこのキャラクターのポイントが抜群に高い映画でしたよ。

というわけで私の推しキャラランキングを作りました。

私の好きな『マッドゴッド』キャラクターベスト3

第1位:アサシン

(C)2021 Tippett Studio

改めて振り返ると、シルエットのかっこよさで主人公(?)のアサシンさんはやっぱり抜群にかっこいい。そしてまったく主人公らしい見せ場もなく解体されちゃうところがかわいそう。

第2位:アルケミスト

(C)2021 Tippett Studio

後半に登場する謎の存在、アルケミストさんもまた、得体の知れなさ含めて謎かっこいい。錬金術師という設定らしいけど、まったく何者かよくわからないところ含めて、ミステリアスなところに惹かれます。
ペストマスクってのもまたかっこ可愛いアイテムなんですよね。

第3位:シットマン

(C)2021 Tippett Studio

いっぱい居る労働者。無残に死んでいく感じに哀愁がある。
『アーチ&シパック』のフロシキみたいで、こういうゴミのように死んでいくキャラクターにも惹かれるんですよね。かわいそう。

そのほか、ちょい役だけど手術台の猿のシーンに出てくるモブキャラとか、雰囲気含めて最高のシーンでした。というかこの猿もいい。

まったくあれがどういう場所でなんなのかわからないけど、そこに“居る”だけで魅力になっているのだから、恐ろしいですよ。

抜群のキャラクター造形だけで、魅力を感じさせる圧倒的パワー!


■意外と大きいのが音楽の貢献度!

意外とこの映画に大きく貢献していると思うのが音楽
壮大で不思議なこの世界にぐっと浸らせてくれて、実はすっごくこの映画にかけがえのない存在になっていると思うんですよね。

静かだけど荘厳。
不穏だけど根源的。
この映画をより効果的に見せてくれる力があります。

https://amzn.to/3IeA6F7

音楽自体にもそのまま世界の奇怪さが反映されていて、催眠術のようにこの映画にハマらせられたような感覚になりました。

サントラもしっかり出てまして最高。
実はアニー賞でもベストミュージック部門にもノミネートされていまして、それを見たときにグッと親指が立ちましたよ。

ネジムラは『マッドゴッド』のベストミュージック部門受賞を応援しています。

映像に合う音楽がまた最高!


まとめ

●ストーリーは全然よくわかんない
●キャラクターも音楽も不気味かっこよすぎる
●意味不明ぶりを凌駕する魅力が備わっている

というわけで、よくわかんないのに
すっごく好き!、という気持ちが溢れるある意味フェチ映画でした。

パンフも勢いで買ってしまいました。
メタリックな装丁もカッコ良し。全キャラじゃないけど、キャラ名とかも載ってたりして嬉しいです……って言ってたら、公式サイトが更新されて、キャラ紹介とか追記されましたね。パンフは町山さんや樋口さんのコラムも載っていて良き。

テラーファクトリーさんとのタイアップTシャツ、カッコよかったのですが売り切れでした。

https://www.terrorfactory.net/?pid=171793322

なんて言ってたら通販で再入荷されていた。
やったぜ。

全然人に勧められるようなタイプの魅力の映画ではないのですが、大好きな人には思いっきり刺さること間違いなしの映画でした。各所で睡魔との戦いが起こっている報告を聞いていた『マッドゴッド』でしたが、運良く刺さる側の人間だったので、めっちゃ楽しめたどころか、また行きたいです。

完成させてくれてありがとう、フィル・ティペット監督。
配給してくれてありがとう、ロングライド。


公式サイト


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