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アニメーション映画と長回しワンカットアクションの相性は良いのか?

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長回しのワンカット映像が与えてくれる魅力とは

『1917 命をかけた伝令』が公開中です。全編1カットという、驚きの映画になっておりまして、私も気になっている次第。

長回しのワンカット映像の魅力は、一体いつになったら終わるんだという閉塞感と緊張感、そして作品への没入感をもたらしてくれるところ。戦争ものでワンカット作品なんてされたらドキドキしすぎてどうかなっちゃいそうなんですが、大丈夫ですかね。

邦画でも印象的な長回しワンカットシーンがある映画がありまして、私の心に残っている作品が『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』。まさにタイトルにもなっているような逃亡シーンがクライマックスに用意されているのですが、そこのワンカット映像は、まさに終わらない逃亡の途方もなさを感じさせる体験となっていました。

じゃあ、これがアニメーション映画ならどうなのか......
そんな答えを教えてくれたのが、あのスティーブン・スピルバーグ監督でした。

スティーブン・スピルバーグ監督によるタンタンを推したい

『E.T.』『インディ・ジョーンズ』『ジョーズ』『ジュラシック・パーク』など数々の名作映画を監督してきたスティーブン・スピルバーグ監督。そんな監督が3Dアニメーション映画を監督されていたことをご存知でしょうか。
それが『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』です。

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タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密
2011年公開/パラマウントピクチャーズ、コロンビアピクチャーズ、ニコロデオンムービーズ、アンブリン・エンターテイメント製作/製作国:アメリカ・ニュージーランド
監督:スティーブン・スピルバーグ

タンタンといえば、ベルギーの漫画家エルジェさんによる世界的なバンドデ・シネ(フランスとか欧州の漫画作品のこと)作品。本作はそんなタンタンを原作に、タンタンと犬のスノーウィのコンビに、酒飲みのハドック船長を加えた、3人による冒険譚を描いた長編映画です。

この作品に魅力的な長回しのワンカットアクションが用意されています。

ダム決壊シーンでみせる見事な長回しワンカット

そのワンカットアクションがあるのは中盤。ハドック船長がうっかりミサイルをダムに打ち込んでしまいダムを決壊させてしまうシーンです。
ここのアクションシーンをスティーブン・スピルバーグ監督は、見事な長回しのワンカット映像で展開してくれています。素晴らしいのがあくまでも“アニメーションだからこそできる”ワンカット映像になっていること。ダムを決壊させるという実写ではなかなかできないシチュエーションに加えて、動物や水といった演技に盛り込むことが難しい要素が合わさり、さらにはそれを実写ではありえないカメラワークで見せていく。
まさにアニメーションの可能性を押し広げる画期的なシーンでした。

日本でこそ上映館を多く割いたわりにはあまり動員数が高くなく評価もあまり聞かない作品なのですが、アニメーションのアカデミー賞と呼ばれるアニー賞においても視覚効果賞を受賞するなど、世界的には評価されている作品です。スティーブン・スピルバーグ監督にとっては、3Dアニメーション映画の監督は今作が初なのですが、一筋縄ではいかない映像を残していくところが、さすがといったところでしょうか。

タンタン以降の長回しワンカット映像

『タンタンの冒険ユニコーン号の秘密』以降、同様の映像効果を体験させてくれる作品もそれほど多くはなかったのですが、そんな数少ない作品の中でも驚かせてくれた作品に『ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー』があります。

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ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー
2014年公開/ドリーム・ワークス・アニメーション製作/製作国:アメリカ
監督:エリック・ダーネル、サイモン・J・スミス

今作では飛行機に乗って海外渡航を考えていたペンギンズが、乗る飛行機を間違えてしまい、慌てて空中で飛行機の乗り継ぎをしようとする間抜けなシーンを、見事なワンカット映像で見せてくれます。

飛行機を突き破ったり、飛行機の中を駆け巡ったりといったアニメーションでしかできない映像はまさに痛快。展開の間抜けさと洗練された映像のギャップが、まさにペンギンズらしいアンバランスぶりで素敵です。すごい映像をサラリと見せてくれるドリーム・ワークス・アニメーションの手腕や決断も、またクールでニクいです。

アニメーション映像がワンカットでみせる魅力とは

そんなわけで、アニメーション作品が見せるワンカット映像は、実写映画のような閉塞感や緊張感とは違って、むしろ実写ではあり得ない映像などを展開し、爽快感を生むような効果に長けています。

昨今はCG技術も発達してきたので、実写映画もなんでもありになってきました。そんな中でも、カメラワークや物理法則を無視した元祖なんでもありな世界を作れるアニメーションという枠組みでできることは、まだまだ多数残されていると思います。

質感だったり、光の反射だったり、映像美でのアニメーション映画の追求は発展していますが、今回挙げた作品群のような撮影技法にも特化したアニメーション映画がたくさん出てきてくれるともっと面白いのになぁ、と思っていたりします。ここ、色々挑戦してくれる方、待っていますヨ。

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