この尖りぶりにビビる!中国アニメ映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』とは!?
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この尖りぶりにビビる!中国アニメ映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』とは!?

大阪での上映はまだスタートしていないのですが、オンライン試写にお声がけいただき先行して観せていただきました。

『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』のざっくりとした感想

中国のアニメ映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』を観ました。

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DAHUFA 守護者と謎の豆人間(原題:大护法)
制作年:2017年 / 制作国:中国
監督:不思凡

2017年に中国で公開されたアニメ映画『大护法』がまさかの日本上陸!
暴力描写への制限がちょっと厳しかったりする中国で、過激なバイオレンス描写盛りだくさんに詰め込み、PG13作品で公開したという中国でも珍しいアニメーション映画です。

時期的に私がちょうど長期の中国滞在から日本へ帰ってきてしまうというタイミングでの公開だったため、観れなかったのを残念に思っていたので、こうして4年越しに観ることが出来て、嬉しいです。

観てみた感想をざっくり一言で言うと.....

なんだよ、これ......

と言うお口ポカーン状態。
ちょっと観たことない世界観すぎて、びっくりしちゃいました。

あらすじはこんな感じ。

ストーリー/ Story
王宮から失踪した皇太子を捜すため、奕衛(イーウェイ)国の守護者であるダフファーは国境を越え、とある謎の村に辿り着いた。
ここの住民は自らの意志を持たず、喋らず、見た目も皆そっくりで、村中には不気味な気配が漂っていた。
やがてダフファ―は、この村に隠された秘密へと徐々に近づいていく…。

引用:https://atemo.co.jp/dahufa.html

タイトルには謎の豆人間と書いてありますが、基本的にこの映画は出てくる登場人物から世界観に至るまでが、結構な謎。親切には説明がされず、断片的に説明される形式で、ある意味、観ているこちら側をも暴力的に物語に放り込んでいく尖りぶりを見せます。突然異世界に飛ばされる疑似体験。これ、ヤベーよ。

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暴力描写についても、前評判通り中国アニメ映画にしてはなかなかに過激。
首が飛んだりと、結構過激な戦いが繰り広げられます。

謎の豆人間は血も青いし、人ではなさそうだから扱い杜撰でもオッケー....ってぐらいにボコスカ殺されていくんだけど、豆人間じゃなくても壮絶な扱いを受ける奴が出てきたりとビビります。反体制風なんだけど実はそこにも含みがあったりと、中国の検閲的にこれはOKなの?ってヒヤヒヤラインを渡り歩くところも興味深いですね。(その辺りは後述)

中国公開時には複数種ポスターが作られまして中でもかっこいいのがこちら。

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「こんなシーン、本当にあるのかよ」と思ったら、マジでダフファーは杖からレーザーを出して戦います。楽しみにしてくださいませ。

もう少し詳しい話を書いていきます。

中国の高年齢層アニメ映画市場ができるまで

監督が本作に臨んだ際の意気込み、中国の検閲の通過については、映画.comさんがなんと監督ご本人にインタビューをしているのでこちらが必見。

てっきり審査を通過するために、巧妙にチューニングしたのかと思ったら、もともとWEBで配信する予定だったものの、意外にも劇場上映の審査が通ってしまったというのが実際だったようです。

実際中国ではグロはダメなのかといえば、数年前にも『進撃の巨人』『東京喰種-東京グール-』など過激な描写のアニメが規制されるなんてことはあり、厳しい扱いを受けていましたが、実際はオンライン上で動画が違法で上がっていたりして、観ようと思えば観られるような状態が実際でした。

これまで『DAHUFA』のような過激な作品が登場してこなかったのも、どちらかというと高年齢層向けアニメの市場が確立したのがここ10年ぐらいの話だから。

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2010年代前半がちょうど高年齢層向けアニメ(子供向けじゃないという意味で)の黎明期で、『魁拔』(2011)が500万元、『魁拔2』(2013)が2500万元、『十万个冷笑话』(2014)が1億元と徐々に、徐々に、その市場を確立していき、2015年の『西遊記ヒーローイズバック』で爆発し9.5億元の特大ヒットを生み出しました。

高年齢層向けアニメが生まれなかったのは、政府による規制の影響もゼロではないですが、そもそも市場がそれまでなかったというのがより大きな要因と言えるかもしれません。

『DAHUFA』は反体制ものか?

『DAHUFA』の描いているメッセージでヒヤヒヤするのは、反体制の雰囲気もどこか感じてしまうから。

この映画で描いているのは制限される立場にある豆人間たちが、尊厳を取り戻し、それまで自分たちを支配していた者たちに反旗を翻すというもの。中国的には反政府的に受け取られてもおかしくないので、普通に検閲で引っかかりそうだよなぁ、と思ったのですが、よくよく考えると、主人公のダフファーも別の皇族側の人間。

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決定的な反体制もののような落とし所にならないところは、『羅小黒戦記』に近いかもしれませんね。

見せ方としては、「享受するだけの者に成り下がるな」というメッセージの方が強いので、こういった中国人のハングリー精神みたいなところは、日本人にも学びはありそうです。むしろ、豆人間って結構日本人にも重なる部分があるよな.....と思うと、全然他人事に思えない映画でもありました。

続編製作も発表ずみ?

ちなみに、『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』の続編として『大护法2』の制作が2017年に発表されているんですが、その際に発表された美術も、「マジでなに作ろうとしてんだ」って世界観となっています。

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早く続きも観たいなぁーと思っているのですが、なかなかこの初報以来、続報がないので、完成はまだまだ先になりそうです。

監督の不思凡監督の最新作は先行して新作アニメ映画『大雨』が2021年に公開予定。こっちの方の上陸を先に期待した方が良いですかね。

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中国アニメ映画の多様性が見えてきた2010年代後半の重要な一本として数えても良い映画だと思うので、癖は強いですが、せっかくの機会なので『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』の鑑賞をお勧めしますよ。
傑作・大作が多い中だからこそ、こういう味の映画をつまんどくと刺激になります。

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アニメ映画ライターとして各種メディアで執筆中。国内外問わずアニメ映画を中心とした有益情報を多くの人に提供できるよう努めて参ります。 缶バッジ販売専門店「カンバーバッチ」のオーナーも務めています。お仕事のご依頼お気軽にどうぞ→連絡先:nejimura@gmail.com