冴えないアストンヴィラの育て方

あまりにも酷いミスから崩れた開幕戦、気を取り直してホームで久しぶりのプレミアリーグでござると思っていたら40秒でPK献上して60秒で先制されるという地獄が待っていた。こんなことしてるようじゃ勝てるはずの試合も勝てねえよと思っていたら本当に勝てなかったでござるの巻。つらい。

あまりにも酷すぎて内容をほとんど覚えていないので、オンラインでプレミアリーグや横浜ベイスターズ、メジャーリーグにモータースポーツなども観戦出来る月額会員制のオンデマンドサービス、DAZNで振り返りながらマッチレビューっぽいことをしてるんですけど、立ち上がりで出鼻を一気に挫かれた感がすごい。

スパーズ戦でも立ち上がりルーカスモウラに右サイドを千切られたように、どことなくまだ本調子には見えないエルモのサイドからPKを献上。90分間通して妙に内側へ絞ったポジショニングから大外のマークを空ける展開は続き、展開されたボールを後追い。PKを与えたシーンではルーカスと対面した反省からか、内側に切り込ませないようにインサイドを絞った結果、縦パスを後ろに出されウィルソンをあっさり走らせ倒しておしまい。まるでエルモ一人の失点みたいだけど、なんとなくチームの弱点はこの失点シーンが全てのような気がする。

前節でも散見されたように、対人の意識が低すぎる。ゾーンマークのポジショニングと、バックパスへのチェイスは60点ぐらいの評価ができるのだけれど、ことさら人に対して対応できる選手がミングスしかいないのだ。エルモが抜かれた場合、縦のカバーへ行くべきだったエンゲルスは自分のマークを外してボールホルダーを一点に見つめるだけだったし、ドウグラスルイスが中へのパス・ドリブルのコースを切りながらエルモと2対1で潰してほしかった。グリーリッシュとマッギンは前プレのカバーでやや高い位置をとっていたし(無論、高いレベルでリーグを戦うならこの二人もロングボールが自陣に蹴り込まれた時点で、少なくともどちらか、或いは両名がしっかりと自陣へ戻るべきだった)、ラストパスをエリア内に出したボーンマスの24番に対して、ヴィラはプレスバックしてきたグリーリッシュ、マッギンを加えた5人で囲みながら誰もタックルにいかなかった。24番と対面していたエルモが、一時的ではあったが縦のドリブルを切って遅らせることに成功していた隙に、中の選手がこの被カウンターの場面を整えるべきだった。

ドウグラスが迫られていた判断は2つ。ひとつがボールホルダーへ対して寄せきることで、エルモと2対1の場面を作ること。もう一方の選択肢は、一度逃したウィルソン、若しくは中央で構えるキングを捕まえ切ることだった。そうすればミングスは早いタイミングで後ろから見えていたエンゲルスの裏へカバーに入ることができたし、或いはエンゲルスが24番へプレスに行けたはずなのだ。

正直、ぶっちゃけ、マジで、90分見て、本当に、ドウグラスルイスのいいところが何一つ見つからないので八割ぐらい八つ当たりだ。八割だけに。そりゃそんな高度なプレーができるなら今頃シティなりバイエルンなり、どこへなりと行ってるはずだ。でもヴィラにいる。こいつは今季変わらなかったら一生中堅下位を彷徨い続けるルートに入ることだってありうる。こいつが輝くには、守備を改善する。もしくはグリーリッシュを押しのけてトップ下のポジションを奪う。どちらかしかないと思う。こういう自分一人のプレーで満足する選手の代表例挙げたろか?クアレスマやクアレスマ。ああいうパターン。

実際問題、じゃあドウグラスが今から守備を改善する、攻撃を組み立てるっていう間に、昨季の欧州で守備スタッツの高かったマーベラスをどれだけの期間で上回ることが出来るのか。昨季アンカーの位置から守備とカウンターの起点として左足でタクトを振るったフリハンよりもゲームメイク出来るのか。彼らをスタメンから外してドウグラスを起用する間に、何試合戦って何ポイント積み上げて、順位表のどの位置にいるのか。アストンヴィラの今季の至上命題は残留であって、育てながら勝つだとか、若手に経験を積ませるとか、そんな悠長なことを言ってられる立場じゃない。

ドウグラスが今季を自身のキャリアでどういう位置付けにしているのかは僕らが推し量れるところではないけれど、そもそもヴィラで過ごすシーズンをただの武者修行みたいに考えているなら勘違いも甚だしい。シティから完全移籍で追い出され、残留を争う昇格組のクラブで中途半端に過ごすなら冬に荷物まとめて鳴尾浜でキャンプインして欲しい。死に物狂いで手にしたプレミアの切符を、一人の選手の怠慢でドブに捨てるようなシーズンにだけは、して欲しくないなと思うわけです。

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