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no.87:図書館司書だった話

私は
34歳から44歳まで10年海外生活をした後
日本に帰国し
就いた仕事は公共図書館の司書でした。


その公共図書館で
3年間働きました。
その後、また海外に行くことになったので
出発直前まで仕事を続け(大げさですが)
47歳から海外生活を再開し
3年経ちました。
現在50歳。
海外にいる家族と離れて
日本で猫と独り暮らし(🐱)をしていて
仕事は司書ではありません。

直近で住んでいた国の図書館
途上国でした
本の分類は通常見かけない
アルファベット順

今年の4月に日本で生活を始めてから
すぐに職探しをしました。
勿論、最初は司書で。

しかし
司書は時給が低いので
生活が成り立たない
と判断し
背に腹は変えられず
今の派遣の仕事に就きました。


44歳で司書資格を取得しました。
10年、海外に居たので
和書が読みたくて読みたくて
というか日本語が読みたくて
子どもに海外輸送される通信教育の
「こどもちゃれんじ」まで
隅々まで
舐めるように
読んでいました。

一時帰国をする度に、和書を持ち帰っていたのですが
「今、三島由紀夫が読みたい!」とか
突然の欲求に呼応できる
環境では無かったので
日本に帰国したら、多読乱読するんだ!!
目がランランとしていて
意気揚々でした。


帰国してすぐ
運よく大学の司書講習を見つけ
3ヶ月ほど毎日通い、司書資格を取得しました。

座学とは言え、毎日9時から18時までの授業は体力的に大変でした。

しかし、学習仲間も沢山増えました。
他県からこの講座を受けるために上京し、宿泊施設から通学している若者もいれば、「定年退職後は司書になる」というサラリーマンのかたもいました。勿論、すでに図書館勤務をしている人、現役の学生さんも夏休みを利用して通っていました。

解体新書
希少本や手書き資料など
今後入手が出来ない資料の
保管方法も
司書講習で学びました

この講習を終え、
またまた運よく近所の公共図書館で司書の募集があり
働き始めました。

ここで3年間
主婦のパート先としては最高でした。
図書漬け生活です。
いつも10冊本を借りて、読んで、返却して
車通勤だったので、重い思いをせずに
本が借りられてサイコーの生活でした。

これは私が当時借りた本の一例です
住まいの公共図書館のホームページ内に
自分で仮想本棚を作り
読み終えた本を
管理していました
ちなみに
名づけた本棚の名前は
「茶道」

(そのまんま)
その他、「ドナルド・キーン」「ミステリー」「英国」「メンタル」などなどヴァ―チャル本棚を作って管理していました。久々に図書館HPの<マイページ>を見て「なにこれ?こんなの借りたかな」という本もあって笑えました。例えば 『悪党・ヤクザ・ナショナリスト 』とか

偶然が重なり、司書の仕事をして
読書の日々でした。

週に3日程度の勤務だったので
読書の他にも資格取得ができて
家事と育児もできる上に
語学の勉強もできました。

今はどうでしょう・・・
お給料が良い仕事に就く
イコール
忙しくて疲労困憊。
仕事以外は何も出来ません。

でも
海外にいた3年間、充電フルにして
準備万端なので
機が満ちました。
時間を切り売りしてお金を貰う生活です。

東洋文庫
司書研修で訪れたとき

司書のお給料は低く、最低賃金です。
指定管理が入っている公共図書館が多いのですが
これが司書の賃金に影響を及ぼす原因の一つにもなっています。

運営コストの削減やサービスの向上を目指す指定管理業者は契約を獲得するために、自治体に対して低価格でのサービス提供を提案するプレゼンをします。それに基づいて運営するため、運営費用を抑える必要があります。これにより、スタッフの賃金が低く抑えられてしまいます。

また、図書館の運営は利益を生む事業ではないためコスト削減の対象として賃金が削られることが多いです。


公共図書館は忙しいのに人手不足が定番です。

多くの司書は自分たちの低賃金の文句は炸裂しますが、司書の仕事が好きな人が多いです。公共図書館は小さなお子さんに読み聞かせをしたり、イベントをしたり、住民の方々と接する事も多くコミュ力高い司書が多いです。

日本の公共図書館は「図書館法」に基づき、基本的に無料で利用できます。司書は全員知っている有名な図書館法第17条(入館料等)「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と定められています。これは、図書館が社会教育施設としての役割を果たし、すべての人が平等に情報や知識にアクセスできるようにするためのものです。
この理念は素晴らしいことだと思います。
しかし、図書館の運営費は国自治体の税金によって賄われているので司書の賃金の低さにつながっているという状況が生まれています。
何とか出来たら良いのですが・・・。


私が司書をしていた頃に、岩波ホールで観た映画です。
『ニューヨーク公共図書館』
NY公共図書館の舞台裏、ファンドレイズ、あらゆる手を使って市民サービスをするために一生懸命な図書館職員の熱量に圧倒されました。
日本の公共図書館と桁外れに違う。
そして時代にあった資料の提供方法を模索しながらも、資料を収集して後世に残すミッションも語られていました。

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