タピオカの流行原因考察、今後の展望について

私がこのレポートのテーマに挙げたいのはタピオカドリンクである。レポートのテーマを決めるにあたって日経MJヒット商品番付を見る。ヒット商品といえど、大学生という経済状況が限られた中で生活する私にとって、身近な商品は少ない。1番身近と感じた商品はタピオカドリンクだったので、今回のテーマに選んだ次第である。

タピオカドリンクについて、若者以外はどのように感じているのだろうか。SNSに写真を挙げるための食品と思っている人が多いのではないだろうか。これに対して間違ってるとは思わないのだが、それだけではないと私は思う。タピオカは、味も良いのである。
(https://mobile.twitter.com/torikaworks/status/1139494900892721152)
こちらのツイートを見て頂きたい。これは二児の母で、子育てをはじめ様々なイラストを描きアップしている方のタピオカドリンクに関するツイートである。見て頂ければわかるように、タピオカだったら何でも良いという訳では無いのだ。私がこの最近のタピオカブームによるタピオカドリンクを初めて飲んだのは、3年生の春の事だった。友達に連れられ、渋谷モディにある「gong cha」(ゴンチャ)の鉄観音烏龍茶のミルクティーを飲んだ。私は過去にタピオカドリンクを飲んだことがあった。でもそれは、最近の台湾由来のものではなく400円もしないクレープ屋のタピオカだった。今までに飲んだタピオカドリンクとは全く違い、非常に驚いたことをよく覚えている。そもそも、タピオカ以前にミルクティー自体が他にない味でかつ、非常に美味しかった。一般的にこの国における「ミルクティー」とは紅茶に牛乳を入れたもので、「ミルクティー」と称し販売されている飲料の多くはそうである。鉄観音烏龍茶のミルクティーは文字の通り、鉄観音烏龍茶という烏龍茶の1種に牛乳を混ぜたものであり、ゴンチャの「あのミルクティーの味」はタピオカ専門店に行かないと飲めないのである。それが人々をタピオカ専門店の行列へ駆り立てた理由の一つであると考えられる。

話は戻るがSNSに写真を挙げるための食品の代表例に、「パンケーキ」が過去にあったと思う。カラフルなフルーツや多量のホイップクリームは確かに「映え」だ。しかしその裏の多くで、多量のホイップクリームに耐えかねた人がいたと思う。多くのタピオカ専門店では、甘さを選ぶことが出来る。ゴンチャを例にすると、甘さを「ゼロ」「少なめ」「普通」「多め」と調節することが出来、甘すぎて飲めないといった事態を防ぐことが出来ている。この飲料界隈におけるカスタマイズという文化は、スターバックスをはじめ様々なカフェで見られる。スターバックスを例にあげると、ほとんどの人はカスタマイズをしないことが多く、カスタマイズをする人は「通」的な印象である。(あくまで私の印象である)しかし多くのタピオカ専門店ではこのカスタマイズを店員が聞いてくることが多い。制度としてあるだけでなく、必ず実施していることが従来のカフェと差別化になったのだと思う。自分の好みを「通」でなくても味わえるところは利点である。また、パンケーキは値段も割高だった記憶だ。「Eggs'n Things」のホームページにアクセスし調べる。「ストロベリー、ホイップクリームとマカダミアナッツ」という、パンケーキにイチゴとホイップクリームが多量に乗ったこちらは1180円と記載されている。もはや「食事」レベルの量だから当然かもしれない。一方でゴンチャの「烏龍ミルクティー+パール(タピオカ) Mサイズ」は490円。税込529円だ。パンケーキ1つはタピオカ2杯の単純計算である。昨今の若者はコスパ世代なんて耳にしたことがあるが、タピオカはまさに映え良し味良しのコスパ最高の飲料なのである。

また、最近別の講義で、某飲料メーカーの方が特別講義をされたのを聴講した。その際、最近の若者はビール離れが進んでいる旨を話されていた。傾向として、草食系の雰囲気や仕事とプライベートのメリハリをつけたり(職場の飲み会に行かないなど)、とりあえずビールの崩壊などを挙げられていた。かくいう私もビールはもちろん、アルコール全般が苦手だ。すぐに酔ってしまうし、酔ってしまうのが怖いし、味もジュースの方が美味しい。また飲み会特有の雰囲気も苦手である。アルコールを介してでないと深められない絆とは何なのだろうと考えてしまうし、好きでもない人と時と金を浪費したくない。我々はコスパ世代。残酷にも人間関係にですらそれは現れているのかもしれない。以上は私の例だが、若者を取り巻く飲料事情が変わってきているのは事実だと思う。私は半年ほど前から居酒屋でホールスタッフのアルバイトをしているが、その変化を感じる。働き盛りの30代以降のサラリーマン達は、「とりあえず生を人数分」と言う。他のバリエーションがあったとしても2杯目以降が多い。バリエーションといってもハイボールや緑茶ハイなど、いかにもな「定番」ばかりを頼む。一方で大学生っぽい若々しい客は、1杯目から「ゆずみつサワー」「黒糖梅酒ソーダ割り」など最初から各々が好きな物を頼むし、メニューを決める時間も長く感じる。もう若者に「とりあえず」という概念はない。
では、昨今の若者は今まで飲み会に充てられていた時間とお金を何に使っているのか。答えはタピオカドリンクなのではないかと思う。これは自分の偏見だが、タピオカドリンクは1人で楽しむものでは無いと思う。(もちろんタピオカが物凄く好きで、週に何回もタピオカを好んで飲むような人は除く)仲の良い友達と、恋人と、先輩や後輩と、時を共有しながら美味しいタピオカを飲みつつ会話をする。アルコールのように体質で飲めない人あるいは得意ではない人が苦しい思いをする訳でもなく、金額も5、600円程で金欠を言い訳にすることも無い。ユニバーサルなトキ消費をするための飲料なのである。人と飲料で繋がるという点で従来の飲み会の要素を汲みつつ、誰もが楽しめる(体質的に飲めないということもほとんどない、金額も高くない)これが令和の飲みニケーションなのではないかと思う。

以上をまとめると、タピオカの流行は
インスタ映え
他で味わうことが出来ない味
自分好みに必ずカスタマイズ出来る
コミュニケーションの一環になりつつある
という点が起因していると思われる。

そしてタピオカの今後の展開である。タピオカの流行は持続するのか、それとも衰退するのか。パンケーキの衰退の原因を考えると、「結局あんまり美味しくない(映えのためにホイップクリームを多量に盛りつける結果甘すぎる)」「日常的には食べない(対若者にしては割高な価格帯)」という2点になると思う。SNS映えを狙いすぎて肝心な食の楽しみが失われていた気がする。それに対するタピオカの優位点については前述の通りである。また、価格の高さや店舗数の少なさがパンケーキを気軽に楽しむことが難しくしている。一方でタピオカは、都心であれば1件は店があるのではと思うぐらいに店舗数が多くなった。価格帯も1杯1000円を越すことはない。タピオカはパンケーキよりも気軽に楽しむことが出来るSNS映え食品として進化した商品であったのである。以上のことから、パンケーキ以上にタピオカの流行は持続すると思われる。