2024/6/16 EURO2024 オランダ対ポーランド 雑感

※素人の感想です。

本大会前のテストマッチ2試合を共に4-0で勝利したオランイェの本大会初戦は、決して悪くない展開ながらもセットプレー一発で先制され、苦しみながらの逆転勝利となった。
ビッグトーナメントにおいて、グループリーグの初戦に勝利すると言うことは至上命題と言って差し支えない以上、結果については文句はなく、しっかり勝ち切ったことはポジティブに評価できること。
攻撃に関してチャンスの数は多いものの、ゴールに繋がらないのは明確なエース不在なチームにおいて仕方ない課題と言えるが、守備についてもラインコントロールが怪しく裏を取られるシーンが少なからずあったり、セットプレーについても失点したシーンはもちろん、後半にもマークが外れフリーで合わせられかけるなど、全体的にお粗末と言わざるを得ない出来だった。

MalenとWijnaldumの投入まで、攻撃時はSimonsをセンターに入らせ、Dumfriesをウイングの位置に上げる中盤がボックス型の343。守備時は442。

攻撃時
守備時

正直、攻撃に関してはこの形のままの方がチャンスは作れていました。
MalenとWijnaldumの投入後は純粋な433に近い形。

この形にしたのが正直逆効果で、中央はWijnaldumが試合にほぼ絡めず、Reijndersが一列下がったことで前線のオフザボールが少なくなり、右サイドではDumfriesは推進力はあっても、Akeの様に器用ではないためMalenと上手くコミュニケーションできず渋滞を起こしてしまい攻撃が停滞。WeghorstとFrimpongの投入後はMalenが左に行ったことで、テストマッチで試したFrimpongとDumfriesの形になり右が少しスムーズになり、休まずしっかり走るWeghorstのおかげで前線も活性化。

ここからすぐに決勝点が生まれたのは偶然ではないでしょう。ただどの形であれ、スイッチとなるパスを出せる人間が今回はおらず。本来であればVeermanが主に担うのでしょうが、今日の彼は終始無難。彼が下がった後はReijndersが担うはずが、Wijnaldumが効果的なポジションを取れず。バイタルエリアで奪われずに回す形までは持っていけていましたが、そこから危険な形に持っていくことはほとんどできませんでした。結局、危険なボールを入れたのはほとんど左のGakpoとAkeから。まあ試合の流れの中で左だけはやり方が変わらなかったからと言えるかも知れませんが、今一度チームとしての意思統一を図らなければいけません。

各選手評
Starting
GK
Verbruggen
全体的にソツなくこなし、グッドセーブもいくつか。失点シーンはディフェンス陣のマークの甘さもあるが、彼にももう少しできる準備はあったはず。とはいえ責任は重くない。自身初のビッグトーナメントの出来としてははっきりと良かった。ここからの更なる向上に期待。

DF
Ake Out 87'
個人的には疑いの余地も議論の余地もなくこの試合のMVP。守備面での安定感もさることながら、同点弾に繋がるパスカット、決勝点に繋がるアシストと、彼がいなければ今日の勝利はなかった。彼をいかに休ませるかと言う課題がW杯の頃からあったが、今日はVan de Venがその役目を担った。

Van Dijk
積極的な守備と空中戦で味方を鼓舞し続けた。ラインコントロールに細かなミスがあり、彼とDe Vrijのギャップを何度か突かれていたが、致命傷にせず誤魔化せる個人能力はさすが。しかしながら、もっとスピードのあるアタッカーならフィニッシュまでは持っていかれてしまうだろう。これから先にぶつかることになる強豪との対戦を考えれば修正は必須。失点したセットプレーだけでなく、後半にもセットプレーでマークを外し相手のミスに助けられるなど、緩さのある守備陣を今一度締めなおしてほしい。

De Vrij
試合を通じて大きなミスはなかったが、彼の裏のスペースは何度か狙われていた。Van Dijkとのラインのギャップ、Dumfriesとのコミュニケーションに改善の余地がある。

Dumfries
Malenが投入されるまで、攻撃時は右のウイングとして振る舞い、速さ、高さ、強さで相手の脅威となっていたが、Malen投入後はMalenが右に張り出すことが多く、使いたいスペースが被りがちでブレーキをかけられてしまった。ここはチームとしてどうするのか修正の余地あり。守備においては、失点したセットプレーでは彼とVan Dijkで挟んでいながら綺麗に合わせられたもの。

MF
Veerman Out 62'
終始無難なプレーに終始し、良くも悪くも彼からは何も生まれず。前半にイエローを貰ったこともあり、後半の早い時間に交代。

Schouten
彼も無難なプレーに終始していたが、時折ハーフスペースに入り込んではボールを引き出してチャンスを作り出していた。折り返しのボールの精度など、そこからのクオリティをもっと高めたい。

Reijnders
前半は10番の位置で、積極的なオフザボールから何度か良い抜け出しを見せていたが、残念ながら味方が彼を見つけられておらず、使ってもらえたのはわずか。使えた数回は大きなチャンスになっていた。Veermanに代わりWijnaldumが入ってからは一列下がり6番、または8番の役割をこなしながら、チームを回すことに腐心していた。良いプレイは随所に見せていたが、シュート精度は少々お粗末。課題と言える。

FW
Gakpo Out 81'
前半、彼のところが不思議なくらい空いていて非常に多くのチャンスを作り出したが、残念ながらゴールにつながったのは彼自身のミドルシュートのみ。後半に入ってからはさすがに前半ほど自由ではなくなったが、それでもサイドでの1対1を数多く制しチャンスを作るものの、チームが決めきれず。W杯の時は真ん中で使われて動き方に困っているシーンが多々見られたが、本職の左サイドに戻った今回は水を得た魚。自身にもいくつかあった決定機をもう一つでも決められていれば、この試合のMVPは彼だったと思う。大会選定のMOMは彼だった。

Memphis Out 81'
調子は決して悪くなかったが、少々”我”が目立った。当然、良い方に働くこともあるし彼はFW、悪い事ではないのだが、今日に関しては悪い方に出ることが多かった。逆に彼が細かいポストプレーなどで潰れ役になった時に多くのチャンスができており、当てどころとしてとても良かっただけにもったいなさが目立ってしまった。

Simons Out 62'
攻撃時は中央に絞り、中盤を四角形にする形でMemphis、Reijndersと上手く絡みながらチャンスメイクしていた。しかしながら、要所で精度と冷静さを欠き決定的な仕事はできず。特にカウンターからの決定機のシーンはシュートを枠に飛ばすことすらできず、不満の残る出来だった。

Sub
Wijnaldum In 62'
決勝点のシーンではニアに飛び込み、ディフェンスの足に当たっていなければAkeのパスは彼を目がけたものだったと思う。ただ目立ったのはそれくらいで、投入されてから全くと言っていいほどボールに絡めず。ピッチに入ったことすら忘れかけるほど存在感がなかった。

Malen In 62'
Simonsに代わり投入されたが、Simonsと違い中央には絞らず右に張ることが多く、そのせいでDumfriesのスペースがなくなり、彼らのところで詰まる原因となってしまった。突破を見せてもクロスはことごとく相手に当たり、期待された役割は果たせず。

Weghorst In 81'
投入された2分後、ファーストタッチで殊勲の決勝ゴール。残念ながらその後はポーランドの攻勢に晒されたチームをあまり助けることはできず。チェイシングは頑張っていたが、あまりボールは納められずにチームのために時間を作ってはあげられなかった。

Frimpong In 81'
Gakpoに代わり投入され、Malenを左にスライドし、彼が右ウイングに。Dumfriesとの縦の関係は先日のテストマッチでも試していた形だが、効果的だったとは言えず。

Van de Ven In 87'
Akeを休ませる意図で投入。短い時間ではあったが役目は果たした。

前述したとおり、初戦として至上命題の勝利を掴んだことで残り2戦に明るい気持ちで迎えます。EUROのグループ通過条件が過去より緩くなった今、この勝利だけでグループ通過はぐっと近づきました。
次節フランス戦は間違いなくグループリーグの山場。もちろん、3戦目のオーストリアに勝てるとは限りませんが、次節に勝った方がグループ首位通過となるでしょう。
はっきりと今日良くなかったVeerman、良いところもあったが全体的にはイマイチだったSchoutenのコンビがフランス相手にどこまで通用するのか?変則343のビルドアップ、DFラインのコントロール、セットプレーのマーク等、今後の見極めになる試合と言えます。
ケガ等がなければスタメンに変化はないと思いますが、個人的にはVeermanの位置にReijnders、Reijndersの位置にMemphis、Memphisの位置にZirkzeeの形が見てみたかったりします。守備がかなり厳しい気はしますが。
試合は日本時間22日(土)4:00キックオフです。

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