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遠野の「食」にかかわるローカルプロデューサー<インタビュー記事>

Next Commons Lab 遠野(以下、NCL遠野)では、遠野の「食」に携わるローカルベンチャー事業メンバーを新たに2名募集します。職種は「商品開発・ローカルプロデューサー」と「商品開発・食品プロデューサー」の2種類。この記事では、遠野の食分野ではどんな取り組みが行われているのか、その現状や課題とそれぞれのプロデューサーに求められている役割についてご紹介します。

商品開発・ローカルプロデューサー

まずはじめに紹介するのは、商品開発・ローカルプロデューサーについて。具体的にどんな活動を行うのか、プロジェクトパートナーの株式会社 遠野ふるさと商社(以下、遠野ふるさと商社) 佐々木 教彦さんにお話を伺いました。

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遠野ふるさと商社は2020年3月に発足した企業。道の駅 遠野風の丘伝承園といった公共施設の運営を行うなど、物産販売に取り組む地域商社です。佐々木さんは昨年まで、道の駅 遠野風の丘の支配人を務め、現在は営業販売部に所属しています。

「遠野ふるさと商社では、遠野を『ジンギスカンの里』、『遠野物語の里』、『ビールの里』として発信していこうと考え、事業に取り組んでいます。現在、遠野物語やビールに関連した取り組みは活発に行われているのですが、ジンギスカンを始めとする『食』の分野はまだまだできることがあると思っています。これから活動に参画いただく商品開発・ローカルプロデューサーには、そうしたまだ伝えきれていない遠野の食の魅力を地域内外に発信していただく役割を担っていただきたいです」

これまで遠野ふるさと商社では、チラシやパンフレットなど紙媒体による市内向けのPRや県外での催事販売を行ってきたものの「インターネットを活用するなど、より多くの人に届けるための情報発信ができていない」と佐々木さん。商品開発・ローカルプロデューサーは、SNSやオンラインショップなど様々な手法を用いて、遠野の食に関わる情報を地域内外に発信する活動が求められています。

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「これまで遠野は他の自治体に比べて、メディアに取り上げられる機会が多くありました。それを理由に広報活動をどこか他人任せにしてしまっていた部分があるのですが、それはよくない。これからはどんどん自分たちから情報を発信していくことが重要だと思っています」

遠野の土壌や気候を生かして栽培される野菜や地域の食文化として深く根付いているジンギスカンなどすでにある魅力的な遠野の食を、自発的な広報活動によって伝えていく。佐々木さんは、「逸品はすでにあるので、あとはもう伝えていくだけ」とこれからの取り組みを前向きに捉えながら、商品開発・ローカルプロデューサーとの活動を心待ちにしています。

「やっぱり地域で生まれ育った人と地域の外から来る人では感じることが全然違うと思うので、新しい目線で発信していただきたいと思っています。私たちも活動をサポートしたり、むしろ力をお借りしながら、一緒に事業を進めていけるといいですね。これからがとても楽しみです」

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商品開発・食品プロデューサー

続いて、商品開発・食品プロデューサーについて話を聞くために伺ったのは、プロジェクトパートナーを務める遠野市宮守町の農事組合法人 宮守川上流生産組合(以下、宮守川上流生産組合)。宮守川上流生産組合は、遠野市宮守町の農家、全戸が所属し、集落営農に取り組んでいる団体。農産物の生産から加工、販売までを一貫して行っています。

今回募集する商品開発・食品プロデューサーは、宮守川上流生産組合の方々が行う農業や六次産業と連携しながら、農産物を活用した新たな商品開発を目指します。

「宮守川上流生産組合はもともと地域の農家が行う農作業の受託を目的として設立された組織です。農産物の加工を行うようになったのは、2010年から。加工品の取り扱いを始めて10年が経った今、当初から販売している商品のほとんどの売上が停滞しています。そこで、このまま事業が衰退していくのを防ぐために、新しい商品開発に取り組む体制を整えていきたいと思っています」

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と話すのは副組合長兼農産物加工部長を務める桶田 陽子さん。宮守川上流生産組合では、これまで地産野菜を原料とした「とまと」、「にんじん」などのジュースやどぶろくの製造を行ってきました。

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添加物を使用しない製造方法にこだわり、パッケージやWEBサイトのリニューアルを行うなど積極的な活動を行っているものの、桶田さんは「現状のままではいけない」と課題意識を抱いています。

「集落営農に取り組んでいるのは、農業を活性化することだけでなく、地域を守ることが目的にあります。そのためには事業を時代に合わせて変化させていかないといけない。地域の人たちとのつながりを大切にしながら、これまで受け継がれてきた資源を活かし、新たな技術や知見を取り入れ、地域が持続可能な状態をつくっていきたいです」

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集落全体で食や農業に関わる産業に取り組み、地域を継承していく。桶田さんは続けて「いずれは食料やエネルギーを自給できる地域になったらいいなと考えています。そうした取り組みのきっかけをつくる組織になれたらいいですね」と今後の展望についてもお話してくれました。

「遠野市宮守町にはそれだけのポテンシャルがあると思っているんです。また、新たな活動を始めるための地域資源も豊富にあります。例えば、高齢化を理由に農地を手放そうと考えている農家さんが多いので、耕作放棄地を利用した新たな作物を栽培することもできるだろうし、加工所では細かな要望に応えて製造を行えるからこそ、様々な商品を試作することができる。農業や商品開発に取り組むにはいい環境が整っているので、商品開発・食品プロデューサーには、それらを存分に活用していただきたいです」

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遠野の「食」の可能性

商品開発・ローカルプロデューサーと商品開発・食品プロデューサーはどちらも定められた業務内容を行う働き方ではありません。実際に遠野に滞在しながら、地域にある資源をリサーチし、それぞれの技術や知識を生かした事業に自由度高く取り組むことができます。

そこで、ここからは遠野にどんな地域資源があるのか具体的なイメージができるように、NCL遠野に所属する遠野市出身のふたり、顧問の佐々木 大輔さんとチーフコーディネーターの多田 陽香さんに、対談形式でお話をしていただきました。

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まずは商品開発・ローカルプロデューサーが取り組む食分野の情報発信について。おふたりは、遠野の食を広報・PRすることについて、どんなアイデアを考えているのでしょうか。

「外から訪れる人の目線で面白がってほしいものはたくさんあります。例えば『ざる中華』。最近、麺とつゆだけの具がないシンプルな『かけラーメン』が注目されていますが、中華麺を和風のめんつゆでいただくざる中華はまさに究極の状態。これがめちゃくちゃうまいんですよ。主に東北で食べられている料理で、市内の食堂でもよく提供されています。ところが、地元の人にとっては当たり前すぎて特別扱いするものじゃなく、外から訪れた人にとってはなんだかわからないので注文するのを躊躇してしまう。そういうところに可能性があると思うんですよね」(佐々木さん)

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「今すでにあるものも、そのストーリーが伝わっていなかったり、食べ方がわからない人が多くて、すごくもったいないなと思います。ちゃんと情報発信したら価値を理解してくれる人が増えると思うので、どんどん地域外にPRしていけるといいですよね」(多田さん)

お話の中では他にも暮坪かぶや琴畑かぶ、五右衛門ラーメン、辛子味噌飯、豆しとぎなど遠野ならではの食材や料理の名前が登場しました。きっとそれ以外にもまだ魅力を地域の外に発信しきれていない地域の味がたくさんあるはず。商品開発・ローカルプロデューサーは地域中を回って、まずは情報収集を行うことが重要になりそうです。

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次に商品開発・食品プロデューサーの活動から、どんな商品が生まれることを期待するかお聞きしました。

「私は新しい遠野の食材を使ったお土産ができるといいなと思います。小友ようかん小出集落のなたね油のように商品の背景やストーリーを伝えられるものが増えると嬉しいです」(多田さん)

「ジンギスカンは圧倒的にポテンシャルがあると思いますね。私はマトンが好きなんですが、それを利用して麻婆ナスを作ったらめちゃくちゃおいしかったです。あとは、ラムの脂身をカリカリになるまで焼いて、それを5ミリくらいに刻んで、ご飯にのせて、ニンニクとショウガの効いたタレをかけて、干し椎茸を戻しただしでお茶漬けにして食べるのも試したところ絶品で。今では自分のなかで定番になっています。BBQのようなハレの日のジンギスカンもいいですが、手軽な値段で日頃から食べられるバリエーションも作れるんじゃないかと思ってるんです。台湾の魯肉飯(ルーロウファン)や雞肉飯(ジーロウファン)みたいに。地元で広く愛されているジンギスカンの新しい食べ方を掘り下げたら面白いと思いますよ」(佐々木さん)

商品開発・食品プロデューサーは、新たな食材に焦点を当てて行うだけでなく、すでにある食材や料理にアイデアを加えて、商品開発に取り組むのもよさそうです。

ジンギスカン

これまで紹介した商品開発・ローカルプロデューサー、商品開発・食品プロデューサーの活動で期待することに加えて、多田さんはどちらの職種もプロデューサー自身が「楽しんで活動してほしい」と話します。

「その人なりにいいと感じたことを、そのテンションのままどんどん発信していけたらそれで大丈夫。きっとその想いに引き寄せられて、共感する人が増えていくと思います」

また、そうして興味があることを、楽しく発信・商品開発していくことに加えて、佐々木さんは「流通・販売まで含めて考えることが大切」だと続けます。

「商品開発だけでなく、その食材や料理を消費者にどのように知ってもらい、どう提供するか想像力を働かせることが重要です。単に『味のいいものだから大丈夫』ということではない。例えば遠野市にあるマイクロブルワリー『遠野醸造 TAPROOM』で行われているビールのグラウラーでの販売は、新しいビールの流通・販売の形として暮らしの中に根付いていっています。そのようなアイデアまで考えて、実践してほしいです」

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グラウラーというビールを入れる水筒によって量り売りでビールを販売するような形が、他の料理でも考えられるかもしれない。情報発信や商品開発によって、そうした新しい遠野の食文化が生まれていくことを、佐々木さんはとても楽しみに感じているようです。

座談会の最後に多田さんから、この求人募集に興味を持っている方々へメッセージをいただきました。

「遠野にはすでにいろんなプレーヤーが集まって活動が行われていますが、食はきっとまだまだ可能性のある分野だと思っています。NCL遠野が運営するカフェ兼コワーキングスペース『Commons Space』などチャレンジできる場を利用しながら、地域の人と交流してどんどん事業を広げていただきたいです。私達と一緒に、遠野の魅力を面白がって、活動していきましょう」

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NCL遠野ローカルベンチャー事業メンバー4名募集

①観光・物産振興(地域文化プロデューサー)募集人数:1名 
②ビールの里構想(販売プロデューサー)募集人数:1名 
③観光・物産振興(商品開発・ローカルプロデューサー)募集人数:1名 
④特産品担当(商品開発・食品プロデューサー)募集人数:1名 

①・③・④の応募について
◎エントリー専用フォームはこちら

①の応募について
◎募集の詳細記事はこちら

②の応募について
◎募集の詳細記事はこちら
◎エントリー専用フォームはこちら

<募集要項詳細>
●募集人数:4名
●着任地:岩手県遠野市
●応募条件

本プロジェクトは、国の地域おこし協力隊制度を活用するため、以下の条件を満たす必要があります。
・3大都市圏内・外に限らず、都市地域および政令指定都市にお住まいの方。(*1)(全部条件不利地域の方は対象となりません。また、一部条件不利地域にお住まいの方は区域によって違いますのでお問い合わせください。)
(*1)特別交付税措置に係る地域要件確認表 https://www.soumu.go.jp/main_content/000610490.pdf
・採用後は岩手県遠野市に住民票を異動し居住していただける方
・持続的な活動と社会的価値を生みだす意思がある方
・心身ともに健康で、地域との親交を深める意志のある方
・地方公務員法(昭和25年法律第 261号)第16条に規定する欠格事項に該当しない方
●雇用形態および期間
遠野市の会計年度任用職員として遠野市長が委嘱します。
初年度の任用期間は令和2年10月1日から令和3年3月31日までです。ただし、年度終了後に活動に取り組む姿勢等を評価し、1年ごとに更新します(最大3年間)。
●給与・賃金等
報酬:(月額)170,183円 ※その他期末手当が支給されます。
●勤務時間
活動時間は、1週間につき29時間の範囲内において、1日8時間以内で調整します。
●待遇・福利厚生
・社会保険等(雇用保険、厚生年金、健康保険)に加入します。
 ※本人負担分の健康保険料・厚生年金・雇用保険等、各種社会保険料は、毎月の報酬から差し引かれます。
・休暇は、年次有給休暇(初年度計7日)、夏季休暇(7~9月に計4日)、年末年始休暇(12月29日~1月3日)等があります。
・次の活動経費について、予算の範囲内で支援します。
◉市内での住居借り上げ費用(上限月額:25,000円)。※転居費用、光熱水費は対象外
◉研修参加費及び旅費
◉活動車両の燃料費
◉活動に要する消耗品
◉活動にかかるイベント経費等
◉その他市長が必要と認める経費
・隊員が起業する場合には、隊員活動期間終了日の前後1年間において、市内で起業する際の
経費を上限100万円の範囲内で補助します。
●応募手続き
応募〆切 令和2年7月20日(月)23:59までにエントリー専用ページよりご応募ください。
●提出書類
エントリー専用フォームに必要事項を記入の上、仮エントリーを行ってください。受付メールが届きますので、受付メールに返信する形で、1~4の書類を提出してください。
1 履歴書(PDF・書式自由)
2 職務経歴書(PDF・A4・書式自由、但し一枚に収めること)
3 エントリシート(書式は受付メール内にて案内)
4 住民票の写し(1ヶ月以内に取得したもの)
●応募に関するお問い合わせ
株式会社Next Commons
住所:〒028‐0523 岩手県遠野市中央通り5-32
E-mail:saiyo.ncltono@gmail.com
電話:0198-68-3544  担当:多田
●市担当部署
遠野市産業部六次産業室
住所:〒025-0592 岩手県遠野市中央通り9-1
E-mail:rokuji@city.tono.iwate.jp
電話:0198-62-2111(内線442) 担当:菊池
●選考方法
(1) 書類選考
書類選考の上、結果を令和2年7月22日(水)までに応募者全員にメールで通知します。
(2) 一次面接
書類選考通過された方と順次、原則オンラインにて面接を実施します。
(3) 二次面接
オンラインまたは着任地にて面接を実施します。
(4) 最終選考(面接審査)
市の担当部署等による面接審査を行います。遠野市内で8月中旬に行う予定です。
(5) 採用合否結果の通知
最終選考の合否結果は、8月下旬に文書で通知する予定です。
・二次面接、最終面接にかかる費用(交通費、宿泊費等)は、ご自身で負担いただきます。
・募集期間中、希望者には応募に関する個別相談に応じます。
・個別の合否理由についてはお答えしておりませんのでご了承ください。
・必須ではありませんが、ミスマッチをなくすために事前に着任予定地にお越しいただき、現地見学をしておくことをお勧めします。書類選考通過後、ご希望の場合は担当者(多田)までお問い合わせください。


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