見出し画像

井上洋菜 インターン卒業インタビュー

今回のインタビューは特別編!
大学を1年休学してNext Commons Lab 遠野(NCL遠野)でインターンをしてきた井上洋菜さん(22歳)。昨年秋、福岡の大学で社会保障を学んでいた彼女は、「NCLに関わりたい!」と遠野にやってきました。なぜ大学を休学してまでNCLのインターンをしようと思ったのか、そして、この1年間遠野でどんな活動をしてきたのか、インターン期間の終わりを迎える直前の彼女に話を聞きました。

◎どんな大学生活を送っていましたか?
福岡の女子大に通い、社会保障を学ぶゼミに在籍していました。
現在のように地域やコミュニティに興味を持つきっかけは二つあって、一つは大学1年の時に行った海外のムリスムコミュニティで、女性が地域を盛り上げていた様子を見たことです。それから、女性が地域で活動する方法や、男女共同参画の実態などに興味が湧きました。その後、興味を持って色々と調べていく過程で、女性だけでなく地域全体の活動に興味が湧くようになりました。
二つ目のきっかけは、地元の宮崎県に「ロキシーヒル(「ロキシー」はネパール語で焼酎)」という森があって、その代表の方と出会ったことです。とにかくお酒を飲みながら楽しいことをする場所で、自然と人が集まる場所でした。ロキシーヒルに関わる中で、地域、自然、そして世界のことを考えるようになりました。
「いつかこの森をどうにかしたい」。そう思って、国や自治体に頼らない方法などを考え、とにかく色々な人や考えを求めて転々としていましたね。


◎NCLはどのように知ったのですか?
facebookで知り合いが「いいね!」をしてました。第一印象で「面白そう!」と思って。存在を知った1、2週間後には名古屋の説明会に参加しました。

◎NCLでインターンしようと思った理由は?
NCLを知った頃は、ちょうど「ロキシーヒルをどうにかしたい!」と思っていたところでした。なので、NCL遠野の「里山経済プロジェクト」にラボメンバーとして参加し、持続可能な里山のあり方を実践してみようと思っていたんです。でも、説明会で話を聞いたら、3年間で起業を目指すプロジェクトだし、何かスキルがある人ではないとダメだなと思って断念しました。ただ、ここで学べることがあるんじゃないかと思って、その場でNCL代表の林さんにインターンさせてほしいとお願いしました。


◎NCLで興味を持ったポイントは?
最初は遠野の里山経済プロジェクトに興味を持ったのですが、話を聞いてるうちにNCLという仕組みそのものに興味を持つようになりました。
里山経済プロジェクトのように、お金というよりかは地域の持続可能性をベースに考えるプロジェクトもあれば、ビールプロジェクトや発酵プロジェクトなど、大手企業もパートナーとして入りながらビジネスにするプロジェクトもある。最初は、「なんだか、全体的に見たら相反することをやろうとしてるんじゃないか?」と思ったんです。
その疑問を林さんにぶつけてみたら、「その中間を探すのがNCLなんです」って説明をされて。そこにしっくりきて、面白い仕組みだなと思いました。



◎インターンとしてNCL遠野ではどんなことをしていましたか?

<前半:2016年11月〜2017年1月>
●ワクワクが止まらない

NCL遠野がスタートした後の11月から遠野に来て、事務局のインターンとして活動が始まりました。視察に連れて行ってもらったり、ミーティングに出たり、とにかく出来ること、頼まれたことは全てやってみました。また、もともと興味のあった里山経済プロジェクトにも関わっていきたいと思っていました。

●何をすればいいかわからない…
ただ、12月頃になって、事務局メンバーの打ち合わせで出てくる会話の内容が理解できず、ついていけなくなったり、遠慮してしまって意見を言わなかったりしたことで段々と空回りしていきました。モチベーションはあるのに、何をすればいいんだろうって…。そのまま12月が過ぎてしまいました。

●どん底の1月。転機は…?
今年の1月は、一体何のために遠野に来たんだろう?ってわからなくなってしまって。福岡へ帰ろうかなとも思いました。それで、休憩もかねて、神奈川県の逗子や新潟など遠野以外の地域に行ってみたんです。それぞれの地域でイキイキと活動している人たちに出会って、それが良い意味でNCLを外から見るきっかけになりました。「あ、NCLだけに縛られる必要はないんだな」って思いました。NCLは、あくまでフレームで、その中で自分がやりたいことをやればいいんだ、何をしてもいいんだ、って開き直ることができたんです。その気づきはとても大きかったです。それから、NCLを外部の者として見るという客観性と、自分が遠野で暮らしながらできることを見つけるという主観性のバランスを考えるようになりました。

それと、いま思えば自分がどん底だった12月に、何度も事務局全員で腹を割った話し合いをしたのもよかったと思います。メモを見返したら一ヶ月で3回も丸1日話し合いをしていたんです。3回ですよ?きっと、一般企業だとこういうことはないですよね(笑)
皆さん自分の人生をかけて遠野に飛び込んで来ていて、それぞれに譲れないものがあって。とても真剣に議論していたのは、それぞれが成し遂げたいことがあるからで、それに気づくことができたのは良かったんじゃないかと思うんです。大変な日々でしたが、あの日々があったから今があると思います



<後半:2017年2月〜2017年8月>
●同じ志を持つ同世代の仲間と動き出す

3月頃、何かしたいと思った時に、「もっとNCLと地域の方が交流すればいいのに!」と思って、県内の学生や遠野の同世代の仲間たちと一緒に、カフェをオープンスペースにしたり、市民との交流が促進される企画などを考えました。

●NCL遠野のラボメンバーと活動したい!
4月以降は、もっとNCL遠野のラボメンバーと活動したいと思うようになって、プロジェクトの打ち合わせに参加したり、自分で何か企画をしようと考えるようになりました。
主体的に動きはじめることができたのは、NCL遠野の中で自主的に始まった幾つかのプロジェクトを見ていた影響もあるかもしれませんね。義務として始まったことよりも、純粋な思いを動機に始まった活動は楽しそうですし、それがたとえ失敗してもいいやって思えると思うんです。8月に自主企画で音楽祭を開いたんですが、その企画でもとにかく一緒にやりたい人と、やりたいことを思い切ってやるということに徹したので、とても満足感がありました。
インターンと言っても何か与えられる仕事があるわけではなく、自主的に自分のやりたいことをやることが大切さだと、気づくことができた1年だったと思います。



●1年の活動で得たこと、心に残ったことは?
1年間在籍してみて、NCLの仕組みは、自分のやりたいこととその人の人生全体がとても密接に関わるプロジェクトだと思いました。
会社員とは違って、それぞれのプロジェクトで事業化に取り組み、それがそのまま自分の将来や暮らしを作っている。それだけに皆さんとても真剣に悩んでいて、色々な葛藤があるんだと思います。一方で、自分のやりたいことに集中することで拓けるんだなということも近くで見ていて感じたので、まず自分の動機に素直になることが大事なんだと思うようになりました。
私自身も、これからどんなことをして、どんな人生を歩んでいこうかと、真っさらな気持ちで考えられる気がしています。


ほかにも、ふとした会話の中とか、メンバーの家に泊まって夜に話したこととか、日常の中に大切な気づきや学びがたくさんありました。間違いなく、かけがえのない自分の財産ですね。


◎事務局メンバーから得たもの
インターンをしていたNCL遠野の事務局メンバーは、国籍、バックグランド、価値観などがさまざまで、皆さんそれぞれから影響を受けたと思います。例えば、「人として当たり前でしょ」という議論になった時に、「当たり前なんてない」と言える人がいたりとか。日々、ハッとするシーンがあって、とても勉強になりました。確実に今の自分は影響を受けていますね。




◎日々の生活はどうだった?
ラボメンバーと一緒のシェアハウスに住んでいましたが、家族のように優しく接してくれてほっとできる場所でした。最初はシェアハウスに慣れず、遠慮したりして居心地がよくないと感じることもありましたが、いつの間にか本当の家のようになりました。一緒に住んでいた3人とは、プロジェクトのことや個人的なことまで、色々なことを話しました。振り返ると、その時間もとても大切なものでした。




◎NCLに思うこと
自分がしたいと思ったことを、義務ではなく、思いやモチベーションを基準にして取り組めたらいいなぁと思います。例えば、何をするにしてもお金はつきまとうものですが、思いだけで動く時があってもいいんだと思います。NCLがお金やルール、義務感にとらわれない自由なアイディアが集まる場所になったらいいな。


◎これからやりたいことは?
まずは大学に戻って学びます。身体を動かす機会が減るのが少し不安ですが、その分、遠野で磨いた感性の上に知識を加えられたらいいなぁと思います。
また、NCL遠野ではコミュニティの作り方や、コミュニケーションの大切さを実体験を通じて学んだので、次は国内外問わず色々な事例を知りたいです。旅をしながら学ぶっていうのも面白そう。

あと、コミュニケーションをどう表現するのかっていうことにも興味があります。例えばアートや音楽。誰かに評価されるわけではなく、自分の思いを表現するって面白いですし、そういうジャンルを学びたいです。ちょうどインターンが終わった後に「農業とアート」のプログラムに参加できることになったので、今から楽しみです。


◎最後にNCL、そしてこれからNCLに参加をしようとしている方々へメッセージをください

「ここは、これまで囚われていた鎖を外して動くことができる場所」だということを伝えたいです。鎖は社会だけではなく自分の中にも存在していて、NCLというコミュニティでは、様々な背景・価値観を持つメンバーと交流し対話することで、自分を客観的に見つめ直して、その鎖を捨てて新たに変化することができる場所だと思います。
NCLで、自分が欲するコミュニティ、暮らし、生き方を楽しんでください!

今後NCLではインターン生を募集するみたいですが、インターン生には、貪欲になること、バカになること、ちっぽけでも与えようとすることをすれば、きっと何があっても大丈夫なんじゃないかってことを伝えたいです。





***

あとがき

自分の心が動くままに、九州から東北へやってきた彼女。この1年、「よーな」という愛称でラボメンバーはもとより、地域の方々にも愛され、NCL遠野のなくてはならない重要なメンバーとして大いに活躍してくれました。社会人に混じって、時に学び、時に葛藤し、言葉では言い表せないたくさんのものを得たようです。
自分のやりたいことを突き詰め、自らの人生を切り拓こうとするラボメンバーの必死な姿を見て、自分自身も純粋な動機で動いていこうと思えたという彼女は、これからどんな人生を歩んで行くのでしょうか。とても楽しみです。彼女の送別会でラボメンバーが歌った「you are my sunshine」を体現する、天真爛漫なよーな。今でも、彼女の鼻歌がどこかで聞こえてきそうです。
よーな、1年間お疲れ様!そして、ありがとう!

NCL遠野一同






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?