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「まちをつくる本屋さん」をつくる会議

新潟県三条市を舞台として、新たな本屋づくりに挑戦する仲間の募集とまちの本屋さんという事業のあり方を一緒に話し合う場として、今年に入ってまもなくの1/11(土)に、東京渋谷区にてディスカッション形式のイベントを開催いたしました。

私、タカハシも登壇者の一人としてイベントに参加し、「まちの本屋さんのあり方」を参加者のみなさんと一緒に考え、伝え合うという貴重な機会をいただきました。

今回ファシリテーターとして登壇いただいた、book pick orchestra代表、ブックセレクターの川上洋平さん。そして出版取次・日販での勤務を経て、現在読点magazineを製作、地元愛知で自ら本屋を経営するビジョンをお持ちの古賀 詩穂子さんから本屋さん仕組みや経営ベース、今後のあり方などを独自の視点でご紹介いただき、まちの本屋さんの現状と未来についてたっぷりとお話を伺うことができました。

「本屋さんがまちから減る理由」

1.雑誌が売れなくなったから。
コンビニやネットの普及に伴い、本屋さんでの雑誌の売上の低下。20年間で1/3の売上低迷。雑誌=回転率の良い商材がなくなる。

2.本屋は家業が多かったから。
本屋は家業が多かったため、家賃がかからず固定費が抑えられる。そのため新規参入がしづらい状況。

ショッピングモールが増えていく中で、大きい書店が増え小さい本屋さんは少なくなってきています。元々利益が低い中での売上低下に加え、家賃等の固定費のかかる新規参入や後継者不足など深刻な問題をかかえています。

従来の本屋さんのビジネスモデルは、出版社と書店の間をつなぐ、「取次」という流通業者が入るシステムが一般的でした。「この雑誌も書籍も同時に配送する「取次」は、日本独特の仕組みと言われています。「取次」は新しく出る書籍を本屋さんの売上や規模に応じて自動的に割り振って書店に配送する「配本」ということを行っています。」

本屋、取次、出版社という従来の形から、現在の本屋さんのビジネスモデルや経営方法は、少しづつ変化しつつあります。本屋、取次、出版社のシステムに加え、「新刊の配本数をすべて本屋さんが決めることができるトランスビューさん(元々出版社が他社本の取引代行をはじめたもの)や子どもの文化普及協会さん(「書店以外の店」に本を卸す会社)、本屋さんが直接出版社と取引を行ったりするミシマ社さんのようなケースも現れました。

利益を上げることができるよう、本屋さんとしての明確なコンセプトとビジョン、SNSなどのでの発信方法で、本屋さん、そして書店員さん自身の自発的なブランディングは、もはやこの時代必要不可欠な気がします。

そして経営方法として大切なのは、本の種類とセレクトです。
本は大きく以下3つに分けられます。

1.新刊本ー販売価格も仕入れ値も変えられないが、返品が可能なため在庫リスクが低い。
2.古書ー商品の値付けは自由にできるが、在庫リスクが高い。
3.自費出版、ZINE、リトルプレスー個々のやりとりが可能だが、管理が煩雑になりやすい。

このように、本のセレクトや販売量、本屋さんの規模、立地によって様々な経営方法が生まれています。新潟・三条で、私たちがこれから目指す「まちの本屋さん」にフィットする形態はどういったものなのでしょうか?どんどん減りつつある「まちの本屋さん」の経営や現状を知った上、実際私たちにできることを考え、集め、伝え合う、グループディスカッションを行ってみました。

discussion

①本屋さんがどのようにまちづくりに関わっていけるか?
②どんな本屋さんが自分のまちにあって欲しいか?

『まちをつくる本屋』をつくるために必要なことってなんだろう?
自分ならどんな本屋さんをつくるだろう。どんな場所に育てるだろう。
その本屋さんは、まちでどんな存在になるだろう。

今すぐに具現化したいたくさんの貴重なご意見を、私なりに咀嚼しここで簡単にまとめてみました。

idea-01:「誰かの好きが自分の好きになる」
本が人と人を繋ぐ。
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本一冊に、読み手の感想を残していき、本の作り手と読み手の感覚を同時に楽しめる提案方法。本に付箋やメモ欄を設けて、読み手の感想を蓄積していく。心が動くポイントは人それぞれ。そこが同じでも違っても、心が動いたその言葉は誰かの心をも動かし得るのではないでしょうか。

idea-02:「くっきりとしたテーマ、コンセプトのある本屋さん」
まちの本屋さんがマルチである必要はない!他にはない個性がまちの顔になる。
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大型書店のように品揃えや量で勝負できない小さな本屋さん。そのネガティブなポイントを個性として、そこでしか提案できないエッジの効いた専門書やセレクトを強みにし、まちの人々のみではなく国内外へも発信する魅力ある本屋さんへ。

idea-03:「本屋さんの一角にコミュニティースペースを」
家庭、学校、職場。そのどこへもカテゴライズされない自分の居場所。
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昔ながらの寄り合いのように、どこからともなく人が集まって、話したり時間を潰したり。同じ空間に誰かが自然に居る安心感。あくまで本屋さんが提供するスペースの醍醐味は、本が人と人を繋ぐ仲介者の役割だということ。
直接的な出会いを目的としないところも自然で良い。ひらけた自由なスペースがあることは、まち全体で子育てをするようなもの。信頼できる人を増やすことは、まちが豊かになることに繋がりそうです。

idea-04:「利益と不利益を配分した本屋さんの経営方法」
本だけでは経営は難しい。バランスの取れた魅力的な本屋さんの作り方。
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(利益)
カフェスペースや物販の販売をプラスする。
(不利益)
シェアする本棚。読んで欲しいおすすめの本を寄付してもらう。(その代価として売上またはアイテムと交換)
まちの人々から本を集め、その本のオーナーさんに直接的に本屋作りに関わってもらう。
自分が関わるから愛着が生まれるし、そこでつながっていたいと思う。
※不利益ではあるけれど、そのアイディアで人が集まりみんなでまちを作る一体感と信頼感が生まれる。そして何より、知ってもらうこと。関心を持ってもらう機会となる。儲からないこと=無駄なこと、ではないと気づかせてくれるご意見でした。

idea-05:「まちの掲示板としての本屋さん」
まちの情報が集まる場所。まちというカルチャーを発信する役割。
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すぐに役立つイベント情報から個人的ローカルな話題まで。誰もが、人やモノや出来事にリンクできるような、フレキシブルな掲示板があれば楽しそうですね。それが大きくても小さくても。

idea-06:「選書のサービスを普及させる」
本を選ぶときのパートナー。
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特別な一冊に出会いたいと願う人たちは、少なくないのではないでしょうか。個人的には、選書士?みたいな職種があっても良いのではないかと思います。お洋服や雑貨と違って、外観で知り得る情報が少ない本の場合はなおさら。「こんな本がほしい」に答えてくれる本選びのパートナーは心強いのではないでしょうか。

idea-07:「まちや土地を巻き込んだ企画」
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旅行代理店と書店のコラボ企画で「旅」のパッケージや企画を組む。
その他にも、三条の地場産業やクリエイターとリンクした本とサービスの提案など、まちを巻き込んで、まちを編集するようなおもしろいアイディアが色々出てきそうです。

当日、さまざまな業種、さまざまな年齢の方々計43名にお集りいただきました。「本が好き」というだけでも、ぐっと心の距離が近いような、不思議な親近感を感じる出会いとなりました。

今回「まちを作る本屋さん」という議題でみんなで語らう時間の中で、まちを作るのも、まちに存在するお店を育むのも、やはり人々なのだと再認識する時間となりました。私一人では到底なし得ない壮大なことが、人と繋がってみんなで作ることで可能になる事実。

今後とも、またこのような話し合いの場や、参加型のイベントもどんどん行っていきたいです。今後、みんなで作り上げる本屋さんを目指して、まずは手を繋いで大きな輪を描けるよう、ここ三条で三条の人々を知って、私たち自身の活動を知ってもらうことからはじめようと思っています。

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新潟県三条市に『まちを編集する本屋さん』をつくります。事業マネージャー(1名)を募集中です。