藤岡 竜輔 / noisycroak

ゲーム音楽制作会社ノイジークロークの作家です。広島出身。大学では歴史学・文化人類学・言…

藤岡 竜輔 / noisycroak

ゲーム音楽制作会社ノイジークロークの作家です。広島出身。大学では歴史学・文化人類学・言語学などやってました。楽器・歴史・言語・野球。Japanese game music composer.

最近の記事

#018 今年のここまでの振り返りと新年度に向けて

さて今日で2022年度が終わり、明日から新しい年度になります。 今年も去年同様たくさんのお仕事に携わることができて、忙しくも充実した一年でした。 コロナが「空けた」とはまだまだ言い切れませんが、そろそろ自宅の作業部屋で9割方の時間を過ごすのはさすがに出不精の自分でも苦しくなってきましたので、今年の1月から積極的に表(?)へ出るようにしました。 これまでは収録で東京へ行く場合は大抵、収録現場とホテルを往復するだけに移動を留めていたのですが、西東京市まで足を延ばし楽器屋さんへ

    • #017 The Witcher3・音楽などの考察②

      前回に引き続き"The Witcher 3"について書きます。 引き続き独自研究を多分に含んでいます。 前回の記事では、The Witcher 3の楽曲はそのほとんどの楽曲がDm(ニ短調)で制作されているということを書きました。ほとんどと言うか、"Geralt of Rivia"という楽曲を除いて、全曲です。Apple musicのリンクを使って貼り付けてみましたので、ぜひ聴いてみて頂ければと思います。 The Hunter's Path ゲーム本編の実質舞台である「ヴ

      • #016 The Witcher3・音楽の考察①

        僕は"The Witcher"というゲームシリーズが大好きで、何度クリアしたわからないほどプレイしています。ゲームそのものについてはもう説明不要なくらいに有名なので割愛しますが、今回はその音楽についてちょっと触れたいと思います。独自研究を多分に含みます。 上記のスクリーンショットからもわかるようにとてもリアリティがあり、非常に緻密に作りこまれたグラフィックが数多くある魅力のひとつですが、その音楽も非常に素晴らしい出来です。 ゲームの歴史的背景がいわゆる中世後期にあたる年代

        • #015 音楽が生む出会い

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 先月の話にはなりますが、月に一度広島にあるアイリッシュパブに出かけてパブセッションに参加しています。 11月のある日、突然本来セッションが予定されていない日にセッションマスターからの呼び出し。とりあえず行くと、旅行で日本に来られたというアメリカ人の若き女性フィドラーさんが店に来ていて、完全に初めましての状態で急遽2時間ちょっとほど、3人という小編成でセッションをしました。お互いに面識もなく、お互いのレパートリーも知らない中で、久しぶ

        #018 今年のここまでの振り返りと新年度に向けて

          #014 制作環境紹介2022

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 昨年の5月、「制作環境紹介」という記事を書きましたが、その2022版をやってみようかと思います。 制作環境は少しずつ変わっていくものだと思っていますが、例えば一ヶ月前、一年前はどうだったか、というのはなかなか覚えていないものです。私自身も昨年の5月どんな環境で仕事をしていたか、あの時アップした画像無しでは思い出せません。 私も今年で四十路になりましたので、今後は「振り返り」を大事にしていこうと思いました。意外とこういうことがきっか

          #014 制作環境紹介2022

          #013 Elgato Stream Deck & Stream Deck Pedal

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 今回はガジェット紹介をしてみたいと思います。この商品自体、数年前に発売されており、様々な職種の方々が使われているので正直今更感満載ですが…また、DTMの環境で使われている方もかなり多いので、紹介する使い方も目新しいものはないかもしれません。 ※Stream Deckそのものをご存じ無い方は調べてみてください。 Elgato Stream Deck XL私はシリーズで一番大きい、ボタンが32個搭載されているXLを使ってます。デフォル

          #013 Elgato Stream Deck & Stream Deck Pedal

          #012 Le son continu(ル・ソン・コンティニュ)

          ご無沙汰しております。 前回投稿から随分空いてしまいました…今月からまたちょこちょこ書いていきたいと思いますので、何卒よろしくお願いしますm(_ _)m さて、今回はLe son continu(ル・ソン・コンティニュ)というイベントについて少し紹介したいと思います。 毎年7月上旬~中旬にかけてフランスでは、パリから約300km南にある小さな町La Châtre(ラ・シャトル)という町でLe son continuというイベントがあります。最近はコロナの影響で開催されてい

          #012 Le son continu(ル・ソン・コンティニュ)

          #011 楽器を触ることの重要性・実践編

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 第7回の記事で言及した「楽器を触ることの重要性」の続編、というわけではないのですが、色々言っておいてその実践にあたる部分を示さずにおりましたので、今回はそれを実際にやってみることにしました。 今回は自分が所有している楽器を使って、私の大好きなガリシア音楽のバンド、Luar na lubreの"Ara solis"という曲をできる限り原曲を再現しカバーしてみようと思い、動画を制作しました。 その中で今回私は アコースティック/エレ

          #011 楽器を触ることの重要性・実践編

          #010 制作環境紹介

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 年初からありがたいことに忙殺されておりまして、随分空いてしまいましたが、またぼちぼち書いていきたいと思います。 昨年2月から、弊社ノイジークロークでは全社員、テレワークに移行しており、私はこれを機に拠点を地元である広島県に移し、これまで1年2か月の間在宅勤務をしています。 元々インドア派の私にとっては在宅勤務というのはこれ以上ない環境ですが、それでもこれだけ外出が気軽にできない状況というのはなかなか厳しいですね。インドア派ではあり

          #010 制作環境紹介

          #009~世界の伝統音楽を聴く~ガリシア編

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します! 第9回目の今回は、スペイン北西部・ガリシア地方の音楽について、紹介したいと思います。例によってApple Musicを埋め込みますので、気になったらぜひ聴いてみてくださいね。 1.ガリシアの音楽便宜上、"スペイン北西部"と記していますが、これは飽くまで現在の国家の枠組みの中において、ひとつの自治州であるからで、文化的にはこのガリシア州のみならず、スペインには実に多様、

          #009~世界の伝統音楽を聴く~ガリシア編

          #008 Private Studio International

          先日リットーミュージックさん刊行の音楽雑誌"Sound and Recording"2021年1月号にて、ノイジークロークの遠隔オーケストラレコーディングプロジェクトである"Private Studio Orchestra"(以下PSO)の特集が組まれました。その特集内で、私が主担当である派生プロジェクト"Private Studio International"(以下PSI)にも少し触れて頂きましたので、ぜひお手に取ってみてください。 今回はそのPSIについて、紙面では触

          #008 Private Studio International

          #007 楽器を「触る」ことの重要性

          こんにちは。 今回は、「楽器を触(さわ)ることの重要性」について、書いてみたいと思います。主に音楽制作をされている、あるいは興味のある方向け、にはなってしまいますが、ぜひ。 さて、現代では、私たちのような音楽作家は、基本的にPCを使い、DAWシーケンサーソフトや譜面制作ソフトといった、「音楽制作ソフト」で制作をしています。また、それらと一緒にバーチャルインストゥルメント、いわゆる「ソフト音源」を使うことで、最近では打ち込みだけでも生演奏に引けを取らないクオリティを再現でき

          #007 楽器を「触る」ことの重要性

          #006 普段何聴いてるの?~ジャズ/フュージョン編

          こんにちは。 先日、このnoteを読んでくれた知人が「語学と民族音楽の話しかしてない!」とか「それしか聴かないの?」と言われてしまい、確かにそうだな、と思ったのでちょっと今回は普段聴いている音楽を紹介したいと思います。 まず音楽ですが、割と何でも聴きます。(ポップスとEDMはあまり得意ではないのですが…) ただ、音楽制作を仕事にしていると普段からずっと何かを聴いている状態にあるわけで、仕事以外でどっかりと腰を据えて聴く機会はかなり減ってしまいました。 これはよくない。

          #006 普段何聴いてるの?~ジャズ/フュージョン編

          #005 言語習得と音楽(中編)

          こんにちは。ちょっと時間が空きましたが、前々回の「言語習得と音楽」の続きです。前々回の記事にも書きましたが、このシリーズで書いていることは飽くまで僕自身の実体験と自論に基づいていますので、教育のプロの方からみるとめちゃくちゃなことかもしれませんが、何卒ご容赦ください。 3.まずはとにかく「リスニング」さて、「リスニング」から始めた方がいいということを前回書きました。 もちろん、リスニングが全てではありませんし、例えば中国語などのように、文字と音をセットでやった方がよい言語も

          #005 言語習得と音楽(中編)

          #004 伝統音楽から見える歴史

          こんにちは。 今回は前回記事の後編を書こうと思っていたのですが、なかなかまとまらず後編は次回とさせて頂きたいと思います。申し訳ありません。今回は、#002でお話した「音楽の歴史を辿るということ」を掘り下げ、今度は「歴史を音楽から見る」ということをテーマにしてみたいと思います。まず初めに、私が伝統音楽に興味を持つきっかけになったこと(#002でも触れていますが、そのもう少し前から)について、書いていきます。 1.きっかけは"大学の講義"連休の間、溜まりに溜まったCD-Rを整理

          #004 伝統音楽から見える歴史

          #003 言語習得と音楽(前編)

          こんにちは。ノイジークローク藤岡です。 今回は「言語習得と音楽の関係」について書いてみたいと思います。かなり長くなってしまったので、前後編に分けたいと思います。今回は前編です。 私はベネズエラ人のハーフということと、フランス留学していたということと、大学で言語学等を専攻していたこともあり、多少専門的な話も交えて話せる言語はそのうち4か国語くらいですが、計10か国語くらいはかじってきました。多分かなり言語に触れてきている方だと思うので、その目線から、言語習得に難しさを感じて

          #003 言語習得と音楽(前編)