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2019年6月に読んだ書籍一覧

アントフィナンシャル 1匹のアリがつくる新金融エコシステム

本書はアントフィナンシャルという企業とそのサービスについて、2003年10月から2017年4月までの発展の道程が克明に記録された専門書で、ページ数も多く詳細に書かれているため、まずは以下の業務分野と基盤構造を頭に入れながら読み進めると迷子にならないと思います。

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一貫して「小さな」世界にこだわって、優良な金融サービスを享受できていない80%もの膨大な一般消費者と小零細企業へのサービスである「マイクロファイナンス」に力を注いできたことが、「アント=蟻」を社名に冠した所以でもあります。
金融や信用というサービスは思った以上に煩雑で、オフラインで執り行おうとするととてもコストがかかり、結果的には一部の優良顧客にしか提供できていない、という課題に対してデジタル・オンライン・データを駆使してその解決に取り組んでいます。

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上図はサービスの1つであるアリペイにおける各年毎の決済ピーク値を示したものですが、毎年驚異的に伸びているのがわかります。
双11と言われている独身の日(11月11日)では、アリババの流通総額が約3.5兆円に達したと言われており、楽天と比較すると楽天の2018年の"年間"流通総額が約3.4兆円なので、その規模の大きさ、またその流通を支えるインフラの大きさがわかると思います。



GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略

米国のGAFAと中国のBATH、両国のメガテック企業をそれぞれの分野から分類→比較し双方の強みを理解していくという内容で、それぞれ以下について書かれています。
 アマゾン × アリババ(Eコマースからスタートした2社)
 アップル × ファーウェイ(メーカー・ものづくりからスタートした2社)
 フェイスブック × テンセント(SNSからスタートした2社)
 グーグル × バイドゥ(検索サービスからスタートした2社)
また、併せて孫子の兵法を戦略分析に応用した「5ファクターメソッド」という著者オリジナルの分析により、各企業を多面的に深掘っています。

上記は各章で分かれているので、序章と終章に目を通した後は、興味のある企業から読み進めていくのがおススメです。
それぞれのプロダクトやサービスがプラットフォームとしてユーザの生活に欠かせないものとなっており、各社企業規模としては非常に大きくなっていますが、「どれほど強固に見える巨大なプラットフォームといえども、結局は人が使うものであり、使用者である人から信頼・信用を失ったら、それを運営する企業も存亡の危機に追い込まれるのではないか。」という著者の言葉はとても印象に残りました。



チャイナ・イノベーション データを制する者は世界を制する

時代はIT(インフォメーション・テクノロジー)からDT(データ・テクノロジー)へと移行し始めた。データはガソリンと同じように、経済活動の動力源となる」と、2014年にアリババの創業者であるジャック・マーが語りましたが、中国はまさにこのデータを元に様々なサービスを開発し、各分野でイノベーションを起こしています。
本書は中国における国家戦略から2大プラットフォーマーの戦略や各種サービスを起点として、アリババ・テンセントだけでなく、先端技術企業(DiDiやセンスタイム、Face++など)我々にはあまり馴染みのない企業まで紹介されていることが印象的です。(まさかMobvoiまであるとは….。私が今使っているスマートウォッチの製造元で、WearOSbyGoogleが載っているスマートウォッチをとても安価に提供しています。記事はこちら

本を読む際、(実際に声には出さないものの)目で字面を追いながら心の中で言葉を出しながら読んでいくと思いますが、本書ではサービス名や創業者名・担当者名が多く出てくるものの(著者が中国出身ということもあってか)全て漢字で書かれており、初出時以外はルビが振られていないので、読んでいく際にいちいち言葉に詰まってしまうのが小さいながらもストレスに感じると思います。なので初出時にキチンと覚えるようにするか、適当なあて名を付けて強引に読むようにするとスムーズに頭に入ってくると思います。


6月は3冊と少なく、1冊目の「アントフィナンシャル」に思った以上に時間を使ってしまいましたが、それだけページ数も多く、また内容も非常に濃いもので学びは多かったです。また、中国の動向には注目しているので、3冊とも中国関連の書籍となりました。(今年の3月に上海へも視察へ行きましたが、その時の様子もnoteにまとめていますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。)



▶2019年11月に読んだ書籍一覧

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▶2019年1月に読んだ書籍一覧



以上。

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