2020年夏号・小中高科8月16日 ナザレン希望誌ウェブ(テスト)版

目次に戻る    カリキュラム一覧に戻る

■ 説教準備のためのテキスト研究
エジプトへ移住したヤコブ一族  
創世記 45-46章(朗読は45:7-8)
伝えるポイント:神によって先に遣わされたヨセフは、ヤコブ一族を飢饉から救い出し、エジプトへ移住するように招いた。

 今日の箇所のテーマは、私たちの人生を背後で導いてくださる神様の摂理ということだろう。そしてもう一つ大きなテーマは「和解と赦し」であろう。特に兄弟間の問題は大きい。(参考図書 『赦しー新しい人間関係を生み出す』デビッド・アウグスバーガー著、東京ミッション研究所)
 このテキストに取り組む前に、よく聖書本文を読んで、物語全体を理解してほしい。
 世界各地でも飢饉が激しくなり、ヤコブは穀物を買うために息子たちをエジプトに行かせた。その時、穀物販売の監督をしていたヨセフは、兄たちと出会う。兄たちはもちろんヨセフだと気が付かずひれ伏す。ヨセフはかつて見た夢を思い出す。(42:9)
 ヨセフは弟ベニヤミンに会いたくて、彼らをスパイ扱いして拘留する。ルベンはその時、かつてヨセフにした「血の報いを受けているのだ」と、自分たちの罪を告白する。ヨセフはその会話を聞き、思わず泣いた。自分の辛かった半生と重ね合わせ、兄の言葉を聞いてその思いが溢れた。
 ベニヤミンをエジプトに連れていくことに関しては、ユダが全責任を持つことを父に約束し出発した。ヨセフは弟を見て胸が熱くなり、涙がこぼれそうになった。(43:30)何とか弟だけを自分のもとに置こうとするが、それに対してユダが身を挺して嘆願する。父を思う思いと自分がベニヤミンの身代わりとなって奴隷となっても良いと。
 その言葉に感極まってヨセフは、人払いをした。
 身を明かす時には、「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。」と言う他なかった。しかしそれは恨み言ではなく神の摂理によってなされた救いのみわざと捉えている。「しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。」と。
 兄たちはどれほど驚いたことだろう。自分たちの過去や罪が暴かれ、心刺されたことだろう。しかしその弟が生きていて宰相となり自分たちを助ける側になっていたとは! 15節にはただ「兄弟たちはヨセフと語り合った。」とだけ記されている。
 ヨセフは、父や家族を呼び寄せるように促す。
 「ゴシェン」はエジプト語ではなくセム語である可能性がある。ナイル・デルタ地帯の東部ワディ・トゥメイラートの地域ではないかと推測される。ヨセフの家はこの近辺にあった。
 ヨセフは、父とその一家をエジプトに迎えるため、兄弟たちをカナンに送る。また「馬車」も伴わせる。
 24節の「途中で争わないでください」は、原語は「震える」「揺れる」を基調とする語で、その意味がはっきりしない。
 兄たちは、直ちにヤコブに報告をした。自分たちが父をだましていたことには触れずに、「ヨセフがまだ生きています」と。ヤコブはその知らせを受けて、元気を取り戻した。
 ゆかりの地ベエル・シェバで、神は夜の幻の中でご自身をヤコブに現され、恐れずにエジプトに下るように告げた。そして、エジプトでヤコブの
子孫を大いなる国民とすること、神が共におられること、ヤコブの子孫を必ず約束の地に連れ上ること、ヤコブはヨセフのもとで安らかな死を迎えることを約束された。ヤコブは、今は奴隷としてではなく、自由の民としてエジプトに下るのだが、アブラハムへの約束を連想したのではないだろうか。
 ここでは移住した家族の名簿が取り上げられる。「イスラエルの人々」は、次の「ヤコブとその子」と同格になっているので、「ヤコブの子」ではなく、「神の民イスラエルに属する者」の意味。ヤコブとその家族が神の民の初めとして表現されている。
 ルベンとその子で 5人、シメオンとその子で 7人、レビとその子で 4人、ユダとその子で 6人(エルとオナンは除く)、イッサカルとその子で 5人、ゼブルンとその子で 4人、それにレアの娘ディナとヤコブで計 33人。ガドとその子で 8人、アシェルとその子で 8人。ヨセフとその子で 3人、ベニヤミンとその子で 11人、ダンとその子で 2人、ナフタリとその子で 5人。この合計は 70人だが、すでにエジプトにいたヨセフと 2人の子、それにヤコブ自身の数を差し引くと 66人になる。
 ヨセフとヤコブの再会は感動的である。生き別れになった親子が再会できたのだ。もはや何も望むものはない。

■ 中高科
エジプトへ移住したヤコブ一族  
創世記 45-46章(朗読は45:7-8)
伝えるポイント:神によって先に遣わされたヨセフは、ヤコブ一族を飢饉から救い出し、エジプトへ移住するように招いた。

説教にあたって
 波乱に富んだヨセフの人生だが、今回は彼を通しての神のご計画がはっきりとする。ヨセフの父ヤコブの住む地にも飢饉が起こり、ヨセフの10人の兄たちが食糧を買いにエジプトにやってくる。ヨセフだと気づかない兄たちを最初は試すヨセフだが、ついには正体を明かし、兄弟たちは和解をする。ヨセフは自分をここへ遣わしたのは神であることを告げ、父の一族をエジプトへと招いた。

説教例 
 さて、ヨセフの人生から学ぶ三回目です。
 一躍、奴隷から全エジプトの責任者となったヨセフはファラオの命を受けて、大豊作の七年間のうちに食糧などの備蓄を徹底して行います。果たして、次の七年間は国が始まって以来というような大飢饉の年が続きました。近隣の諸国も同じで、食糧のなくなった人びとは各地から、豊かなエジ
プトの地へと穀物などを買いにやってきました。ヨセフは、その管理にも当たっていました。
 ヨセフの父ヤコブの住むカナン地方も同様でした。父は末の息子ベニヤミンだけを残し、10人の兄たちをエジプトへ食糧の買い出しに行かせました。ヨセフは彼らを見て、すぐに自分の兄たちだとわかりましたが、兄たちにはヨセフだとはわかりません。まさか、そんな立場になっていようとは夢にも思わなかったからです。ヨセフに向かって兄たちがおじぎするという、少年時代のヨセフの夢が実現します。
 ヨセフは最初、気づかないふりをして兄たちを投獄したりして、彼らを試します。しかし、兄たちが自分にしたことで罰を受けているのだ、と悔いているのを聞き、彼らをゆるすのです。そして、弟のベニヤミンを連れてくるよう、彼らに命じます。
 弟のベニヤミンと対面したとき、ヨセフはこらえきれなくなり、初めて兄弟たちに自分がヨセフであることを告げました。兄弟たちは驚き、やがて抱き合って泣いて、和解を果たします。旧約聖書の中でも感動的な兄弟の和解のシーンです。 
 ヨセフは兄たちに言いました。「自分をここに先に遣わしたのは、父の一族とエジプトの、命を救うための神のご計画だったのだと」。そのうえで、ヨセフは父の家族をエジプトに連れてくるように、と言います。まだ、飢饉はあと五年は続くからです。ファラオは、エジプトの最良のものをヨセフの父と家族に与えるので、エジプトに連れてくるように進言し、兄弟たちは故郷に戻り、ヤコブは生きていた息子に会うため、エジプトへの移住を決めるのです。
 さて、ヨセフの人生から学べることは何でしょうか?
①まず、神の救いの計画は人を通して働かれます。そして、ひとり一人の人生に神さまはご計画を持っておられます。
②神さまは誰にも何らかの賜物(能力)を与えられますが、用いられるまでには試練をくぐらなくてはならないことがあります。
③神が共におられる人は、どんな環境に置かれても必ず人望を得て、物事がプラスに転じていきます。何をしても成功します。そのことを信じ、感謝しましょう。
④私たちはときとして、他者からねたまれ、ひどい目に合わされることもあります。しかし、神さまは和解することを望まれています。ゆるし合うことができたならば、その先にはさらなる豊かな祝福が用意されています。それを受けとれる人へと成長していきましょう。

■ 小学科
エジプトへ移住したヤコブ一族
創世記 45-46章(朗読は45:7-8)
伝えるポイント:神によって先に遣わされたヨセフは、ヤコブ一族を飢饉から救い出し、エジプトへ移住するように招いた。

説教にあたって
 どんな現実の中でも、それを導く神さまの御心がある。また自分は許したくなくても神さまの御心であるならば、悔しさに苦しむ十字架を負いつつ、血を流して苦しむ十字架にかかりつつ赦した方がいる。こうして世界の中で最も麗しい赦しと救いが実現されたのである。

説教例
 ヨセフはエジプトの大臣となりました。そして神さまから与えられた知恵によって飢饉という危機を乗り切ったのでした。そんな時、彼を身売りしたお兄さんたちがエジプトに食料を買いにやって来たのです。ヤコブの一家も食べ物が無くて苦しんでいたのでした。
 苦しい目にあわした人を許すことなどできないでしょう。ヨセフも、お兄さんたちを許せなかったでしょう。「何で僕はこんな目にあうんだ」。悲しくて仕方なかったでしょう。エジプトに連れて行かれてからそういう目に何度もあったのです。でもその度に彼は神さまに祈り求めました。心は慰められ生きる力を得たのです。そしてどうして自分がエジプトへとやって来たのかということに気がつかされていったのでした。こうしてヨセフは大臣としてお兄さんの前に立っているのです。
 ヨセフは自分と気がつかない兄弟たちを困らせることにしたのでした。でも自分を売った彼らの変りように驚いたのです。簡単には許したくなかったでしょう。でも神さまが自分をエジプトに遣わした御心を思い出し苦しさ悔しさをかみしめ、とうとう兄弟たちの前で自分の正体を明かしました。驚く兄弟たちにヨセフはこう言いました。「しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。」(5節)ヨセフを売り飛ばしてしまった罪を犯してお兄さんたちは苦しんでいました。だけどこのヨセフの言葉で赦され救われたのでした。こうして兄弟たちは仲直りしたのです。こうしてお父さんヤコブをはじめヨセフの家族はエジプトへと移り住んだのでした。彼らの一族は救われたのでした。
 これから遥か後のことです。人間も神さまと仲直りしたことがありました。それは神さまが御子であるイエスさまを、全ての人間の罪の罰の身代わりとして十字架にかけて下さったからです。イエスさまは世界で一番痛くて辛い死刑に苦しみつつ血を流し一方的に赦して下さったのです。そして完全に死なれて墓に葬られました。でも三日目に蘇られたのです。たとえあなたにどんな罪があったとしても、イエスさまが、あなたの罪のために十字架にかかり蘇って下さったことを信じるなら、あなたは赦され神さまと仲直りできるのです。


■ 小学科ワーク

2020 希望 夏 ワーク_page-0007

目次に戻る    カリキュラム一覧に戻る

2020年夏号小学科ワーク13週分のPDFダウンロードはこちらをクリック
(googleアカウントが必要です。)

御言葉カードはこちらをクリック
(googleアカウントが必要です。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?