見出し画像

属人化を可視化するプロダクトスキルマップを使ってみた話

こんにちは、にしもんです。鉄道・バス事業者様向けにサービスを提供する、公共交通事業においてプロジェクトマネージャーをしています。
今回は、私が所属する公共交通事業において、属人化解消について取り組んだお話をしたいと思います。取り組み始めて数ヶ月でまだ道半ばではありますが、現時点で感じた手応えや課題を話していきたいと思います。

属人化という課題

現在、公共交通事業では50社を超えるお客様に対し、アプリ・Web・サイネージなど様々な媒体向けにプロダクトを提供しており、その数は100を超えます。この100を超えるプロダクトに対し、昨年度まで公共交通事業では1プロダクトに対し1人開発者をアサインするリソース効率で開発する方式で行っておりました。(大規模案件は複数人で開発することもありました)
そのため、運用フェーズでのお客様からの問い合わせは、開発担当者しか知らないことが多く、いわゆる属人化が起こっていました。
属人化が起こると、運用フェーズでの問い合わせ対応や改修、調査に時間を要してしまい、公共交通事業での大きな課題の一つでした。

属人化の可視化

この属人化という課題は、私が公共交通事業に異動してきた5年前から事業の課題として認識はされていました。しかし、その属人化がどのくらい問題になっているのか可視化する方法がないため、課題としては認識しつつも、目の前の新しいプロダクトの開発に注力するという状態でした。
属人化と一口に言っても、誰も知っている人がいないプロダクトと事業で1人しか知らないプロダクトでは属人化のレベルが異なります。そこでまずは可視化するところから始めてみました。

可視化の方法

属人化の可視化をするにあたり、私はプロダクトスキルマップというものを活用し始めました。

プロダクトスキルマップとは

プロダクトスキルマップとは、現在所属している開発者がそのプロダクトにどれだけ精通しているかを可視化した表になります。
私たちのプロジェクトでは、以下のような指標を設け、プロダクトスキルマップ表を作成しています。

◎: 初期導入時・機能追加時の主担当を経験した
○: 単独で開発・改修を経験した
△: フォローありで開発・改修を経験した or 簡易的な改修を経験した
空欄: 未経験
※ ◎,○は1ポイント、△は0.5ポイントで安定度を計算

プロダクトスキルマップ表の指標
プロダクトスキルマップ表の例

例えば上の表では、商材D、Eが安定度が低く属人化率が高いことが分かります。このように、プロダクトスキルマップはプロダクトにおける属人化がかなり分かりやすく可視化されることが分かるかと思います。

プロダクトスキルマップの活用

属人化の可視化をするにあたりプロダクトスキルマップの作成をはじめました。
実はこのプロダクトスキルマップ表は、数年前に作成されたものなのですが、運用方法まで考えられておらず、作っただけになってしまい、うまく活用できない状態となっていました。しかし、プロダクト開発メンバーでの週次の振り返りにて、プロダクトスキルマップ表を活用してみようという意見が出てきて活用を再開しました。
このプロダクトスキルマップ表の安定度を定期的に計測することで、属人化防止の効果が可視化できると考えています。

なぜプロダクトスキルマップ表なのか

属人化の可視化において、スキルマップ表を使用することは珍しくないと思います。しかし、私たちは通常のスキルマップではなく、プロダクトを軸においたプロダクトスキルマップ表を活用しました。なぜプロダクトに軸を置いたかというと、プロダクトごとに問い合わせや調査を行うことが多いためです。先にも書いたとおり、私たちのプロジェクトではアプリ・Web・サイネージなど様々な媒体向けに、お客様の要望に応じながら様々なプロダクトを作り上げてきました。お客様ごとの要望に応じながらプロダクトを作成しているため、同じようなプロダクトでも微妙に異なっているなど、プロダクトごとに知識を持っていることが必要だったため、プロダクトスキルマップ表の作成に至りました。

プロダクトスキルマップの効果

プロダクトスキルマップを活用することにより、プロダクトごとの属人化レベルが可視化されました。これにより、長年課題だった属人化に対してなんとなくやらないといけないよね、という感覚だったのが、しっかりと取り組まないといけないという認識をチームで持つことができました。そのため、今まで効果が見えづらいという理由から進めづらかったチーム制によるフロー効率開発も進めやすくなりました。

これから

プロダクトスキルマップを活用することにより、属人化解消に向けて手応えを感じ始めているのは確かです。ただ、現時点では属人化の可視化をしたにすぎません。これから先、属人化解消に向けてプロダクトスキルマップを活用し、属人化解消できているのか定期的に確認し、属人化解消に向けて邁進していきます。

最後までご覧いただきありがとうございました。