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ホンネゲームレビュー09:A  Plague Tale : Innocence

※ホンネゲームレビューは私がゲームをプレイして素直に思ったことを他への配慮とかそういうことは考えずに箇条書きしたものです。
いい悪い、よりは好き嫌いのレベルでの話が多いかと思います。

プレイ環境:Xbox One X+4KHDRモニター(Xbox One X Enhanced対応)
クリア時間:およそ11時間
海外ストアで購入、現時点では日本語字幕未対応(2019年6月対応予定)

like
・光溢れる美しいフランスの田舎風景とペストに侵された闇の時代を見事に対比したグラフィック
・危機感を煽るサウンド
・姉と弟の心の距離感を見事に表現したキャラのモーションとセリフの数々
・同伴キャラとの協力アクション
・ネズミの大群をパズルに取り入れたゲームシステム(シナリオ展開にもリンクしているのは見事)
・拠点以外のステージの使い回しが(ほぼ)なく、ステージ独自の環境パズル要素を変に引きずっていないので、ステージごとに新鮮な気持ちで臨める
・能動的ステルスアクション、特に攻撃方法の選択肢の多さとプレーヤーのトライアルを許容するステージ設計がすばらしい
・自身のスキル追加と敵のレベルアップがしっかりリンクしているのでストレスなく戦闘を楽しめる
・オープンワールドではなくステージクリア型一本道ゲームならではの演出の数々
・気軽にそこかしこで手に入る素材を使って戦闘補助アイテムをクラフト出来るが、その同じ素材が装備のアップグレードにも必要な点でさりげないジレンマを付加している
・クリアまで10時間程度とコンパクトながら濃密な時間を過ごせるので満足度が高い

dislike
・たまに起こるネズミの群れのバグ(?)
・強くてニューゲームがない(クリア後のチャプターセレクトはあり)
・リプレイ制はほぼない(収集物コンプくらい)
・エピローグの世界の描写があっさりしすぎる気も

感想:
とにかく素晴らしい体験だった。
開発したAsobo Studioはシナリオを体験してもらうことを最優先にしたのだと思う。
そのためにゲーム部分は意外なまでにシンプル。
シナリオ進行の邪魔にならないようにあくまでもゲームであることを意識した作りが好印象。
ステルスシステムがかなりゆるいのもゲームであることにこだわった結果だろう。
あまりに敵の目が節穴に感じることも多々あるが、シナリオメインのゲームでのアクションパズル要素としてはこれくらいが良いのかもしれない。
かと思うと名作ステルスアクションスプリンターセル・ブラックリストを想起させるような(あくまでも私の主観)アクティブかつ攻撃的なステルスバトルはとても楽しかった。
主人公の少女アミシアはスリングショット(西洋パチンコ)しか持っていないものの、各種補助的手投げアイテムとの組み合わせで多彩な攻撃を行える。
ヘッドショットで一撃キルする以外にも様々。
カブトを付けた敵にはまず酸(?)のようなものを投げつけ、敵が慌ててカブトを脱いだところをヘッドショット。
敵の攻撃の隙にヨロイのつなぎ目を攻撃して少しずつ剥がしていく。
敵が持っているランプを破壊してネズミの群れに襲わせるなどなど。
後半に行くと同伴キャラとの協力が必要になる時もあり、どの順番でどこを狙うのか?といったパズル性も出てくる。
その昔I am Aliveという特殊な戦闘アクションシステムを持つアクションゲームがあったがそれを思い出した。(あそこまでガチガチのパズル的戦闘ではない)
難易度は全体的に低めに抑えられている。
それもシナリオ進行の障害にならない程度にゲームを楽しんで欲しいということではないだろうか。

シナリオに関してはわたしの好みど真ん中ということもあり、プレイ中ずっと夢中になっていた。
100年戦争、ペスト、そういった混乱のさなか両親を失った姉アミシアと弟ヒューゴ。
2人が助けを求めて脱出するところから始まる物語は、次が気になる演出でやめ時を失う。
これがチャプター制、ステージクリア式一本道ゲームとの相性がすこぶる良い。
逃げることしかできなかったアミシアは弟を守ることを最優先する。それは母との最後の約束でもあった。そしていつか周りの人々も守るという意識の変革を経ていく。両親の愛情に守られていた少女が広い意味での母性を発揮し、大人へと成長していく。
そのアミシアの意識の変化と、徐々に追加されていくシステムによる攻撃的なステルスアクションへのゲームの変化がリンクしていて自然に物語に入っていける。華奢な少女から少女戦士へと生まれ変わっていくアミシア。(戦士とはいっても一撃攻撃を喰らうとゲームオーバーになるのはゲームを通して変わらない)
その姿に感情移入しプレーヤーは一体化していけるのだ。
この辺りは本当に上手い。
アミシアのヒロイックなキャラクター制が磨かれていく過程に無理がなく感じられる。
そしてもう1人のキーマンとなる弟ヒューゴ。
彼の純粋さ、そして心が痛くなるほどの無垢さ。
2人の姉弟の心の距離感をちょっとした所作と説明しすぎないシンプルなセリフでうまく表現している。

事前の印象では実在の出来事を基にしたシリアスかつリアルな世界観のゲームかと思っていたので、終盤のいくつかのバトルでのバイオハザードシリーズ的な演出には違和感を感じなくもなかった。しかし、ゲームとしてみた時にこれはこれで良かったのかもしれない。あまりにリアルを追い求めることがゲーム的なリアルに直結するとは限らないのだ。
シンプルな戦闘システム、クラフト、それでいて若干のジレンマと戦闘時の攻撃方法を選ぶ楽しさがある(正解探しのためのリトライを要求される時もあるのでその点は人によって感じ方が変わるだろう)というゲーム的な楽しさに溢れている。

このゲームをプレイしていて、終盤に『あれ?もしかしてアミシアってジャンヌダルクをモチーフにしてたりするのかな?』と思った。
それは私の考えすぎかもしれないがそう思わせるくらいアミシアは魅力的なキャラに成長していくのだ。
日本語対応した際にはぜひプレイしてみてもらいたい。
上質な大人向けエンターテインメントだ。

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