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自家製ザワークラウトでホットドッグ

シャキシャキッ、塩気でしんなりした食感、きゅっと芯のある酸味にほのかな甘み。自家製ザワークラウトを味見した途端、思考はホットドック一色になった。ホットドッグ。これはもう、ホットドックにきまりです。

思い起こせば、こちらの記事を拝見したことがホットドックモードの始まりだったのかもしれない。

可愛らしくユーモアあふれる筆致で海外生活を描かれる中で、海外で乳酸発酵のお漬物を求めるあまり自家製ザワークラウトにたどり着いたとのこと。私は共感と驚きとをもって頷いた。ありますねぇ、無性にお漬物が食べたくなる時。そしてザワークラウト、「酢漬けキャベツ」と訳されることもあるけれど発酵食品だったのか。好きなのによく知らなかった。あの酸っぱさと爽やかさはなかなか代用がきかなくて、アイスバインやソーセージの付け合わせには必ず山盛りにしてもらう。

その少しあと、キャベツを二玉ダブらせる事件が発生し、早急にキャベツ消費レシピを検索することになった。ロールキャベツ。ミネストローネ。千切りしてお好み焼き。あるいはたっぷりとんかつを揚げて付け合わせ。コールスローサラダ。どれもいいけど決め手に欠ける。

どうしたものかと腕を組んだ時に閃いた。もしやこれは、絶好の機会なのでは?

自慢ではないが少しだけ知見もある(以前、塩もみキャベツを余らせて自然発酵させ、慌ててキャベツスープにした経験がある。考えてみればあれはまるきりザワークラウトの作り方だった)。


早速ざくざく千切りにして、ぎゅっぎゅっと塩で揉んでタッパーに詰めた。キャベツの外葉を蓋にすると良い、とのアドバイスも試してみる。キャラウェイシードはあると本場らしくなるらしいけれど今回は割愛。今になってローリエをいれるレシピも見つけたので次回は試してみたい。

しかし重石をしても水分があまり上がってくれず、少量の塩水をヒタヒタになる程度に足してみた。ぱこん、とタッパーを閉めればあとは待つだけ。ぬか床のようにかき混ぜる必要もない。常温で3~6日間、そのあとは冷蔵庫で熟成させる、とある。

うまくできるかな、どうかな。最初のうちはタッパーを朝に晩に持ち上げて、清潔な菜箸で一口つまんでみたりした。味はまだ塩揉みキャベツ。乳酸発酵の酸っぱいにおいも、失敗したときの腐敗臭もなし。……少し塩が多かっただろうか?後から足した水が余計?この待ち時間も発酵食品の醍醐味だけど、キャベツを無駄にしてしまったらと思うともどかしい。

ところがそれから年度末の気忙しさにかまけ、ハッと気づけば漬け始めてから二週間ほど経過していた。


ぬくくなってきたこの季節、常温で、二週間?!


急いでタッパーを持ち上げて、まずは外から様子を見る。黄緑色だったキャベツはすっかり黄色く色を変えている。ぷくぷく泡が立ち昇れば発酵の証、と目を凝らすけれどよくわからない。意を決して蓋を開け、……かすかに酸っぱいにおいがする。一体どっち?発酵?腐敗?迷いながら菜箸でつまんで、一口。

そうして冒頭に戻るわけです。
ホットドッグモードに切り替わった脳みその号令で一目散にスーパーへ。必要なのはバタールにちょっとおいしいソーセージ、それに粒マスタード。
この酸っぱさなら、ロールパンみたいなふわふわのホットドックパンじゃなくて、ばりっもちっと歯ごたえのあるタイプが合う。おもいきりハードなバゲットだと具が挟めないから間をとってバタールのハーフサイズ。確か行きつけのパン屋さんにあったはず。

ちょっとおいしいソーセージ、は朝食用の小さなタイプじゃなくてプリッじゅわっとするタイプ。パキンッと皮が弾けるくらいグリルして、口いっぱいに溢れた肉汁はザワークラウトがしっかり受け止めてくれるはず。

粒マスタードも欠かせない。からしじゃなくて、ただのマスタードじゃなくて、粒マスタードがいい。辛さはそこまでないものの、豊かに酸味と風味を添えてくれる。プチプチッて弾けるのも楽しい。

想像だけで、もうおいしい。迅速にゲットした品物を抱え、ホットドッグモードを満足させるべく帰路を急ぎました。


追記:
もちろん、たいへんおいしかったです。ごちそうさまでした。
タイトル、もっとザワークラウトを打ち出すべきだったかもしれないな。