呼吸の奥深さを知ろう
コンディショニングを実施されている皆様は、呼吸が大切な役割を持っていることは既にご存じかと思います。
今回は、より奥深く呼吸についてお伝えいたします。その大切さをより一層感じられるでしょう。
胸式呼吸と腹式呼吸
胸式呼吸と腹式呼吸という言葉は、皆様一度は聞いたことがあるかと思います。
しかし、正しく違いを理解されている方は少ないかもしれません。
一般的にいう腹式呼吸は「あえて」行う深い呼吸です。
息を吸う時にお腹を膨らませるように、ゆっくり行う方が多いですが、実は、リラックスして眠っている時は誰でも自然と腹式呼吸になっています。
正しくは、横隔膜が主導で呼吸筋全体がゆっくりと動く、深い呼吸です。
ポイントは、息を吸う時にお腹を横に筒を広げるように…と腹部の横に意識を向けることで横隔膜の収縮の大きさをコントロールしているのです。
腹式呼吸は気分を落ち着かせる効果がありますが、それは副交感神経優位になるからです。
また、深呼吸を腕を高く上げて胸をそらす呼吸と思っている方も、間違いです。
深呼吸は腹式呼吸と基本的には同じ呼吸です。
さて、胸式呼吸はどのような呼吸でしょうか。
ここでいう胸式呼吸は、肋間筋主導の呼吸です。
第1〜4肋骨で行う、浅くて速い呼吸で、横隔膜は小さくしか動きません。
吸ってから吐くまでが短いことが特徴で、息を吸うとお腹がへこむように動きます。
これは肋間筋主導で胸を膨らませようとして、胸郭を上に引き上げるためです。
何らかの理由で横隔膜の動きが鈍くなると、普段から胸式呼吸が多くなります。
常に浅く速い呼吸は、腹式呼吸と違い交感神経優位になり、眠りが浅くなったり、疲れが取れにくくなります。
コンディショニングでは、呼吸をコントロールすることで自律神経をコントロールできると考え、そのために呼吸法の指導を行うこともあるのです。
呼吸のトレーニングを行う際は、ハーフポールに乗って行うと更に効果的です。
脳科学からみる呼吸
意識的に呼吸を行うことは、現代の脳科学では、セロトニン神経を活性化するということが分かってきました。
セロトニンは、脳の覚醒に影響し「脳のアイドリング神経」とも呼ばれます。
脳というエンジンを温め、いつでも働ける状態にしておくイメージです。
現代病ともいえる「うつ」や「イライラしやすい」といった精神状態は、このセロトニン神経を活性化させることで改善できるのではないかと言われています。
実際に、呼吸を整えるコンディショニングを通して、「迷わず決断できるようになった」「やさしくなった」「イライラしなくなった」という心理的な変化を話してくださる方もいらっしゃいます。
「呼吸が変わると人生が変わる」由縁のひとつには、このような側面があるとも言えるでしょう。
皆様、今一度ご自身の呼吸と向き合ってみてはいかがでしょうか。
ホルモンと栄養
ホルモンとは身体の様々な機能を調整して、維持する役割を持ちます。
先ほどのセロトニン、更年期に関わる性ホルモン、血糖値に関わるインスリン、ストレスに対処するコルチゾール、これらは全てホルモンです。
ホルモンの原材料は?
これらのホルモンが何かしらの理由で、過剰に分泌されたり、不足することで、様々な不調につながります。
その理由の1つが、栄養不足です。
ホルモンも食べている栄養から代謝されて作られているので、栄養不足によって上手く代謝が進まないと乱れる要因となります。
ホルモンを作る上で大切な栄養素は「タンパク質」「鉄」「脂質」の3つです。
「タンパク質」
筋肉だけでなく、ホルモンの材料にもなるタンパク質です。
体重1kgあたり1.5g以上(例:50㎏=75g)が目安です。
食べたものは1 0 0 % 吸収されず、何割かは失ってしまいます。
そのため、この位の量を摂ることがオススメです。
「鉄」
ホルモンを作る上で重要な栄養素です。
健康診断では問題がなくても、潜在的に不足していることも多く、日本人女性の多くが不足していると言われています。
調理で鉄器を使うなどの工夫、サプリメントの活用がオススメです。
「脂質」
嫌われやすい脂質ですが、ホルモンを作るのに大切な栄養素であり、特に性ホルモンの合成に中心的な役割をしています。
特に必須脂肪酸が含まれるアマニ油、えごま油、ごま油、魚油は私たちの食事で不足しがちな脂質です。
意識して摂るようにしましょう。
私たちが生きていく上で欠かせない働きをしているホルモン。身体の不調にも大きな影響があります。
ホルモンバランスを整える最初の1歩として、まずは今回ご紹介した栄養を意識した食生活をしてみましょう。
食事の方法、工夫については是非トレーナーにご相談下さい。