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10月に別れを告げて

 秋の終わりはやっぱり別れで終わるのかと僕はしみじみと思った。隣の席の光子さんが今月限りで退職するというのだ。そのニュースを聞いとき密かに彼女を想っていた僕はショックのあまりその場に立ち尽くしたぐらいだ。このまま自分の気持を伝えずに別れて良いのだろうか。いや、いいのだろう。僕のなすべきことは彼女にはた迷惑でしかない自分の願望を伝えることではなくて新しい道を進む彼女を男らしく見送ることだ。だけどこの気持はどうにも抑えきれない。だから僕はここに彼女へのありのままの気持ちを書くことにした。光子さん、僕はあなたが好きでした。どれぐらいあなたが好きだったか言うと、あなたが昼休みに席を立ってオフィスから出ていったのを確認した瞬間、まだ暖かい感触が残っているあなたの席に座ってその生暖かい感触を下半身全体に味わうぐらい好きでした。あとあなたが飲んだペットボトルをゴミ箱から漁ってペロペロなめることまでしました。それとあなたがトイレに入った時僕はトイレ掃除のおばさんの服を着てトイレに入ってあなたがトイレをする音を耳をそばだてて聞いていました。ああ!こんなに好きだった光子さん、どうしてやめてしまうんだい?僕は切ないよ!


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