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秋(空き)時間さんの世界文学案内 第四十七回:情事の終り グレアム・グリーン作

 情事の終りは柑橘類をかじったときのような切なく酸っぱい味がする。彼は今日も短い情事を済ませると私を置いて慌ててホテルを出ていった。挿ってからわずか一分たらずの情事だった。いくらなんでも早すぎるなんて彼には言えない。彼はイケメンだしお金も持っている。だから彼が去ったあとで私はこう愚痴るしかない。オマエ、いくらなんでも早すぎるだろ!

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