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必修教科として小学校で英語を教えていくことのデメリット

小学5・6年生での英語教育が正式な教科として学校で教えられ始めていますよね。「グローバルに活躍できる人材を増やす」という目標は悪くはないと思います。

世界中に旅行に行った時に気づくのは、どの国でも、旅行業界ではない普通の人も英語で普通に会話ができる人が多いということです。日本人でも、外国人と普通に会話できる人がもっと増えれば、世界の舞台で活躍できる人が増えることになります。それは、とても嬉しいことです!

日本人は、英語で文章を読んだり書いたりすることはできても、簡単なフレーズでも英語を聞いてわかったり、自分の言葉を使って、英語で会話をするのが苦手な人が多いような気がします。

実際のところ、2017年のTOEFLの結果によると、日本人の国別平均点は、アジア29の国と地域の中でタジキスタンとラオスを除いて最下位だったそうです。

ちなみに、1位は、シンガポール、2位は、インド、そしてそこから7位のバングラデシュまでは英語が公用語または準公用語になっている国なので、それらの国の英語レベルが高いのは理解できます。

でも、インドネシアが8位にランクインしていて、比較的日本と似ている条件の英語から遠い言語を話す韓国も11位、台湾も14位、中国も18位です。ベトナム、ミャンマー、タイ、モンゴル、カンボジアよりも、教育や経済水準が高い日本の平均点が低いというのは、悲しい事実だと思いませんか?その上、スピーキングに関しては、アジア単独最下位の29位なんですって!

英語は世界共通語なので、先ほども言った通り、英語を使えるようになることで、世界と繋がることができるというのは確かです。日本人が使える英語を身につけることには、私は大賛成です。

その上、英語を学ぶ過程で、日本とは文化に触れ、国際的に広い視野で判断できる力、コミュニケーション力、物事に柔軟に対応していける力、創造力、問題解決能力などのスキルが身についていきます。感受性の高い小学校の頃から、英語を導入することで、英語が身近なものに感じられやすくなると思います。

しかし、幼児教育を専門に学び長年教えてきた私が強調したいのは、「教育は最初が肝心だ」ということです。教育を建物にたとえてもわかる通り、最初につくる土台が建物全体を支えることになるのです。だから、導入の仕方が非常に大切なんです。

教授法によっては、使える英語力をつけるどころか、英語嫌いで、「使えない知識としてのみの英語」を身につけた子どもが今よりも増えることになってしまいます。

小学校での英語の導入時に大切にしてほしいのは、英語などの言語はコミュニケーションがメインだということを忘れないことです。まずは会話ができるようになる基礎を作ることが大事だと思います。具体的に言うと、日本語を介さなくても、英語を聞いて理解できる力や自分の意見を簡単な英語で伝えることができるような英語の基礎力をつけることが優先なんです。

必修教科にしてしまうと、成績をつけなければなりません。そうすると、実際に英語を使っていける力ではなく、テストなどで英語力を評価しやすい読み書きや文法を中心とした正しいか間違っているかを問う知識としての英語になりがちです。

OXをつけるような知識が英語を教科とすることで、重視されるようになってしまいます。間違った文法を使っていても、実際の会話で自分の意思が伝わればコミュニケーションとしては、OKなんです。それは、決して失敗ではありません。

せっかく英語に時間をかけて、早期教育を始めたとしても、知識として詰め込んでしまったら、今までの英語教育と同じく「使える英語力を身につけられない」とか「アジア最下位」いうような残念な結果になってしまいます。

小学校の先生は小学生を教えるプロですが、英語教育のプロではありません。英語の先生は、英語を教えるプロですが、小学生に教えるプロではありません。英語の基礎がなく、読み書きや文法の知識もない子どもに英語を効果的に教えるには、教師の腕がカギになってきます。特別なトレーニングが必要なんです。

コミュニケーションの道具として、子どもたちが、英語で会話が通じる喜びを感じてほしいです。そして、英語を学ぶことを目的とするのではなく、英語を媒介として、自分のスキルを世界に届けられるような日本人が増えていくことを願っています。

そのためには、中学校や高校で行われているような受験英語や英語を日本語に翻訳するということをメインとした教育方法を改善していかなければならないと思います。アジア最下位の座から上がるためにも…

他の人に喜びを与えるアナタは、きっともっともっと与えられるはずだわん💕