好きな映画

私がアニメ以外に趣味の薄い子供だったことはみなさんもうご存知ですね。

レンタルビデオこそたくさん借りてきましたが、映画館に行って映画を見ることはあまりありませんでした。レンタルビデオでさえ旧作ばかり借りる経済状況だったこともありますが、そもそも私は共感性羞恥が強く、苦手な場面を早送りできない状況が苦痛であまり映画館が得意ではないのです。

それでも好きなアニメの映画なら見に行きますし、年に1、2度くらいは全く知らない映画を見にいくこともあります。

最近なら友人たちと「パラサイト」を見に行きましたが、アレは内容がグロテスクですね。「すごかったけど凄まじく胸糞悪い」という気持ちが強すぎて、そんな感想しか言えなかったことを後悔しています。語彙力と感性の低い人間で、誘ってくれた彼女たちには悪いことをしてしまいました。

さて、そんな私ですが、本当に興味がなかったのに見にいって感動した作品はいくつかあります。

東野圭吾原作の「プラチナデータ」という映画をみなさんご存知でしょうか。

当時、嵐のファンだった友達に連れて行かれまして、私は役者にも原作にも何の興味もなかったのですが、カラオケやショッピングにも飽きていたので承諾しました。

そして主人公の神楽と死んだヒロインの美しい愛情にとても惹き込まれました。作中のどんなハラハラするシーン、物語の真相や真犯人よりも、私はあの二人の間にあった感情に胸を打たれたのです。

ところで私は未亡人属性や死別に弱いことがのちに分かります。好みがわかりやすいですね。

さて、次に思いつくのは実写映画「マレフィセント」です。母に連れられて見に行きましたが、アレは流石のディズニーですね。出来栄えが段違いです。

でも私が一等好きなのは作中での「真実の愛」の解釈でした。御伽噺のハッピーエンドをぶち壊す、一時のときめき以上の「母子の愛」。これには今までのディズニープリンセスの概念を拳で打ち砕かれたような衝撃と爽快感を覚えました。

私がもしもアメリカンなリアクションをする陽気な女ならば、爆笑した後にスタンディングオベーションで「素晴らしい!」と連呼したことでしょう。心の中ではまさにそんな様子でした。

それから「グレイテストショーマン」も大好きです。これも友達に連れて行かれ、初めて見たミュージカル映画でした。ララランドは見ていません。

内容自体は重たく、苦悩や失敗もあるので個人的にはしんどくて30秒スキップを駆使したくなりました(勿論それも含めて素晴らしいストーリーではあります)。

私自身好きだったのは、映画館という大きな画面で見ることのできる圧巻のミュージカルだったのではないかと思っています。そもそもミュージカルとサーカスなんて合わないわけがありませんもの。

まるで本物のサーカスを見に来たような陽気な気分になりました。最初と最後の演出が特別好きだったように記憶していますが、その気持ちが先立ちすぎて内容をほとんど覚えていません。楽しい時間は記憶に残りにくいというのは本当ですね。

最後に印象的なのは「海獣の子供」です。これは友人が絶賛していたのと、米津さんが好きなので見に行きました。友人が「一人で見るべき」だとプッシュするのでちゃんと一人、それも夜に見に行きました。

この頃まで私はずっと映画館の一番後ろの席で映画を見るのが普通だと思っていたのですが、この時ばかりはその選択を誤ったなと後悔しました。圧倒的な映像美で殴られる作品は、視界のはしが切れてもいいから近くで見るべきだ。映画に疎い私はそのことをわかっていなかったのです。

すごい、すごいと思いながら、動けない一番後ろの席で猛烈なもどかしさを感じる111分でした。前でもっと描写に殴られたい!袋叩きにしてくれ!そんな気持ちでした。

視界の中で、画面の切れた黒い空間がとてつもなく邪魔に感じながら見終わると、気がつけばパンフレットを購入してカラオケに走り、海の幽霊を歌っていましたから驚きです。好きなアニメの劇場版でもないのに、ここまで感動するなんて思いもよりませんでした。

そして私は次の週、同じ時間にもっと前の方の席で二回目の映画を見ました。間違っても私は映画を何周もする女ではありません。あしからず。

二回目は中央の列よりもう少し前でした。そんなに前で見るのは初めてでしたから、ちょっと前すぎたかとドキドキしました。けれどそれは杞憂に終わります。

一度目に求めていた描写の暴力にボコボコにされ、二度目は胸がいっぱいの状態で帰宅することができましたから。

それまではわざわざ映画館で映画を見る友人を「高尚な趣味」と思っていた私ですが、なるほど。この「描写の暴力」に晒されるというのは中毒になってしまいそうでした。


結局私が映画館に足を運ぶのはほとんどが好きな作品の劇場版です。私にとって映画館で映画を見るということはとても贅沢な時間ですから。

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