見出し画像

【エンジニア急募!】射場はロケットの0段目 - 今しかできない!ゼロからの射場建設

こんにちは!インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST)の地上設備エンジニア、干場(ほしば)です。

私は、ISTにて、ロケットの0段目と呼ばれる、ロケット発射場(射場)をつくっているエンジニアです。

現在ISTではエンジニアを募集していますが、地上設備エンジニアも絶賛人材募集中です。

今回はエンジニアの私自ら、地上設備エンジニアの仕事や、自身のバックグラウンドについてお話しします!

【干場康行(ほしば・やすゆき)】
1986年生まれ。石川県白山市出身。2010年金沢工業大学大学院機械工学専攻修了。熱工学研究室にて低温度差熱交換器の研究を行った。卒業後、排水処理プラントや次世代空調システムの開発を行う。その傍らで半年程度、お手伝いとしてISTの実験設備づくりに参加。2020年インターステラテクノロジズ株式会社に入社する。地上設備エンジニアとして、超小型人工衛星の軌道投入ロケットZERO試験設備の設計や施工管理・ZERO用射場の企画・渉外・設計を行っている。2021年から、宇宙港「北海道スペースポート」の事業推進会社SPACE COTANの取締役兼CTOも兼業。

ロケットは自動車のように、いつでもエンジンをかけて走り出せるものではありません。打ち上げるためには、打上げ前に機体を入念に整備し、燃料を供給したり、機体内に異物が入らないようにパージと呼ばれる操作をしたり、遠隔から機体の状態を監視・制御したりする必要があります。ロケットがLIFTOFFする瞬間まで、地上からの支援無しには、ロケットは打上がりません。

この支援をする設備を地上支援設備(GSE)と呼んでいます。射場は、このGSEやロケット組立棟、射点などを複合した場所の総称です。

日本にも射場はいくつかあります。代表的なのは、H2AやH2Bを打ち上げている種子島宇宙センターです。種子島宇宙センターは、日本の最高峰の射場です。また南国の種子島に位置することもあり、世界一美しい射場とも呼ばれます。

液体燃料ロケットを打ち上げる射場としては、日本では最初のもので、設立は1969年。それ以降、日本では射場はあまり作られてきませんでした。

ISTは、液体推進剤の観測ロケット「MOMO」を開発し、日本初の民間単独での宇宙空間到達という偉業を成し遂げています。

「MOMO」が宇宙空間に到達した映像が印象深いですが、この「MOMO」の打上げにおいても、もちろん射場が必要不可欠。種子島に次いで日本で2番目の液体燃料ロケットを打ち上げることができる射場です。私自身もMOMOの射場の設計に携わり、この射場から、これまで3機のロケットを宇宙に飛ばしています。

「宇宙品質にシフト MOMO3号機」の打上げを実施。
高度113.4kmまで飛行し、民間企業単独としては日本で初めて宇宙空間に到達。


射場作りは「産業の集大成」

射場は、ロケットの知識だけでは作ることはできませんでした。むしろ、日本の発展を支えた、土木、建築、プラント、設備、機械、電気、通信、計測などのあらゆる産業の知恵や知識により作られています。

私も宇宙業界の出身だとか、大学時代に航空宇宙系の研究室だったとかのバックグラウンドはありません。でも昔から「技術者として宇宙開発に携わりたい」と思っていました。

今までに2回転職していて、1社目では水処理プラントの設計、2社目では次世代空調システムを開発していました。転職活動中も航空宇宙業界を受けましたが、かなり狭き門。でも、違う業界でも今やってる延長線上で力をつければチャンスがあると思って、力をつけてきました。

「宇宙品質にシフト MOMO3号機 」が打上げ成功したあとくらいのタイミングで、堀江さんのTwitterを見て応募しました。宇宙業界にバックグラウンドが無いのでダメ元での応募でした。メールで連絡し、現在MOMOのプロジェクトマネージャーをしている堀尾さんから返信がありました。文面には私のスキルやバックグラウンドに興味があると書いてあり、天にものぼる気持ちでした。とはいえ自分がどんなことで貢献出来るかわからなかったので、当時私が住んでいた大阪から、ISTの本社のある北海道大樹町にすぐに赴きました。

季節は梅雨時期で霧が多く、前方の視界が悪い中、突然、目の前にISTの本社がありました。本社というか、ただの当時はプレハブ小屋でした。その当時ISTの社員数は約20名。本社のプレハブでは10名くらいがデスクを構え、背伸びができないくらいに狭かった印象を持っています。

▲MOMO3号機打上げ当時の社員数は20 名ほど。今は70名を超えている。

そんなプレハブ本社の一角にある打合せスペースで、堀尾さんよりISTの実情について伺いました。ISTでは、本当に多くのことを同時並行で進めていました。MOMOの開発、MOMOの打上げ、ZEROの開発などと少数のメンバーで沢山の課題を抱えていました。それらの課題の一つとして、ZERO用エンジンの燃焼試験設備を作る人材がいないということを知りました。MOMO用エンジンの燃焼試験設備や図面を見せてもらうと、当時のISTがやっていたことは、私のバックグラウンドにある水処理プラントの設計と同じような仕事でした。
私の持つプラントの設計に関する知識と経験が活きるかを確認すべく、ボランティアで参加させてほしいとお願いしたところ、堀尾さんはあっさり快諾してくれました。

ボランティアでの仕事は、図面の修正の仕事から、リスト整理の自動化等の生産性を上げる仕事など。プラントの設計というより、プラント設計をしてきた中で培った「仕事のやり方」が活きました。いろんな仕事をこなす中で、お手伝いの枠を超え、ZERO用エンジンの燃焼試験設備の基本設計に携わるようになりました。

ちなみに、これらの仕事は、大阪からテレワークにて行っていました。ZERO用エンジンの燃焼試験設備は、自分の持つ知識に無いものが多かったですが、キャッチアップできないレベルではありません。本から知識を得たり、Slack(チャットツール)で社員の方から助言をいただいたり。この経験から私は自分の力が宇宙開発にも貢献できる手ごたえを感じました。
それと同時に、ISTに入社することも決まりました。

入社後は、基本設計を行ったZERO用エンジンの燃焼試験設備にて、6t級のZEROエンジンの燃焼試験を成功させ、MOMOv1のCFT試験を行う縦吹き試験設備の新設および、MOMOv1の打上げ射場改修に携わり、MOMOv1の開発と打上げ成功に貢献してきました。

ISTとして、次の目標は「ZERO」です。

ISTでは、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」を開発しています。ZEROは、液体メタンと液体酸素を推進剤とした2段式ロケットで、機体先端のフェアリングに格納された人工衛星を軌道上に投入することができるものです。ZEROが打上げられると、日本では初めて、世界でも有数の軌道投入能力をもった民間ロケットになります。また、ZEROを打ち上げる射場についても、液体燃料ロケット用の射場としては、日本において、種子島宇宙センターに次ぐレベルの大規模射場となります。

ロケット本体に1段目と2段目がある2段式ロケットになぞらえて、機体を打ち上げる射場は「ロケットの0段目」と呼ばれることがあります。

▲ISTの射場(Launch Complex-0)は北海道スペースポート内に位置する

ISTでは、現在、ZEROの開発真っ只中で、全体システムや各コンポーネントの開発で大忙しです。開発コンポーネントの一つに、エンジンがあります。エンジンは、燃焼器、点火器、ターボポンプなどで構成されており、それぞれの開発難易度はものすごい高いものです。ISTはこれらを自ら開発しています。開発パスにはいくつかのゲートがありますが、その一つに、燃焼試験というものがあります。例えば設計したプロトタイプを、実際に運転して設計妥当性や性能を確認する試験です。

ISTでは、エンジンの開発や製造だけでなく、燃焼試験を行う試験設備も自ら作っています。ZEROのエンジン開発に対して、これから作る試験設備は以下を予定しています。

・ターボポンプ水流し試験設備
・ガスジェネレーター燃焼試験設備
・ターボポンプ冷走-熱走試験設備
・エンジン横吹き試験設備
・エンジン縦吹き試験設備

▲計画中の試験設備概念図

国内で、これらの試験設備を持っているのは数社しかありませんが、ZERO用の試験設備は、自ら作るしかありません。自社で試験設備も作ってしまうのは、世界的にも稀な会社でしょう。

この試験設備も射場同様に、ロケットの知識より、むしろ一般の産業で培われた知恵と知識が重要です。

ISTではZEROの開発を急いでいます。それはできるだけ早くZEROを使って、人工衛星を宇宙空間に運ぶためです。人工衛星が宇宙から得たデータを地上に還元することで、宇宙はどんどん民主化されます。より便利で、宇宙が身近に感じられる未来はすぐそこにあります。

◆参考記事

射場も、機体と同じくらい重要

そのためには、人手が足りません。ロケット本体の開発はもとより、射場や試験設備をつくるエンジニアも足りていません。

射場がなければロケットは飛びません。それに、ここ北海道大樹町は「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」という計画の実現に向けて、アジア初となる民間にひらかれた宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を2021年4月より本格稼働しています。将来、北海道からロケットがどんどん打ち上げられるのです。

ロケットの射場を作ったことがある人なんて、きっと日本中を探してもそう多くありません。ましてやゼロから作るなんてことはおそらく誰もやったことがありません。

ゼロから作り上げることができるのは今だけです。数年後には、射場としての運用が始まり、こんな経験ができないでしょう。

「日本で初めて、ロケットがたくさん上がる射場を、ゼロから作る」。そう聞くだけでワクワクする仕事ではありませんか?

エンジニアとしてチャレンジするなら、今しかありません。

ご興味ある方は、以下よりぜひご応募ください。

https://www.istellartech.com/recruit

会社説明会も開催します!

■日時:2021年3月23日(火)19:00~20:00
■開催形式:オンライン
■申込方法:Peatixよりお申し込みください

設備エンジニア以外に興味がある方もぜひご参加ください!

◆設備エンジニア募集職種・要項


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?