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<映画と私>ルーザーxルーザー=特異なグレーヒーロー「ヴェノム」

1 あらすじ

『ヴェノム』(原題:Venom)は、マーベル・コミックのキャラクター「ヴェノム」を主人公にした、2018年のアメリカ合衆国のSF映画。

就職先を探していたエディはライフ財団の研究者ドーラ・スカース博士の力を借りてその実験施設に侵入。そこでタール状の地球外生命体・シンビオートに寄生されてしまう。
それ以来、エディにはシンビオートの声が頭の中で聞こえるようになり、凶暴性や空腹感が日に日に強くなっていく。「"俺たち"が一つになれば、何だってできる」と嘯いたシンビオートはエディの体を蝕み、一体化し、ヴェノムとして名乗りを上げる。ヴェノムはそのグロテスクな姿で容赦なく人を襲い、そして喰らう。相手を恐怖に陥れ、目玉、肺、そして膵臓…体のどの部位も喰い尽くす。 エディは自分自身をコントロールできなくなる危機感や恐怖心を覚える一方、少しずつその力に魅了されていく…。

ヴェノム見ました。

めっちゃ楽しかったですよ。私は、ちょっと忘れたくなるようなことがあったときに、エスケープとしてわざと見たのですが、功を奏して、ヴェノム鑑賞後は、ヴェノムのことばかり考えていました。(笑)

あらすじを読むだけでは、よくわかりませんが、ヴェノムのビジュアルを見ると、その感触が圧倒的に伝わります。

はじめに、私は映画は大好きですが、ヒーローものはちょっと苦手です。バットマン、スパイダーマンのマン系も、アクションそのものが面白ければ見るときもあるけど、見ないときも多々あります。

で、これも予告を見るとMARVELのロゴ。「ヒーローものかあ」、と一瞬がっくりしたものの、いつものそれよりは、ダークな雰囲気。しかも、大好きなトム・ハーディ!普通のヒーローものではないことが、予告編でうかがえました。

クリーンなヒーローものということではない(これは私にとってはプラス)ということが分かったものの、予告で見えるだけでも、やけにグロ過ぎない??という描写が多い。何かわけのわからない、宇宙生命体が、人間の体の中に無理やり入ってしまって、その人に取り付いてしまうというような大まかな筋はわかりました。それが入っていくのがなんか、グロいしキモイし、アメリカで言われる「ゴアホラー」の匂いがぷんぷんします。。

私はゴアホラーが嫌いです。ホラーは日本のホラーのように、「怖いもの」を描くというのが正統だと思うからです。アメリカのホラーは、血みどろの「気持ち悪い」を「怖い」と勘違いしているのじゃないかなと思う。

話はそれましたが、時間の無駄になるのじゃないかと思ったけれど、何しろトム・ハーディだからという理由だけで、本編を見始めたのです。

2 好きだったトコロ

〇ルーザー・トム

主人公エディが、ルーザーすぎる点。

これが、私にとってはこの映画の見どころでした。トム・ハーディといえば、「インセプション」「マッドマックス」「ダークナイトライジング」と最近たて続けに、大きな映画でいい役やっています。

私は特に「マッドマックス」のマックス役が本当に大好きです。セリフなんて、数個しかないけど。とにかくどれも、ゴツくてかっこいい。それが最近のトムの魅力です。

なのに、今回のこのヒーローもの?かな?というような本作のトムは、全然かっこよくない。奥さんにも愛情表現をたっぷりするのに、離婚されるし、職を失うし、なんかぱっとしません。見かけも、いつものようにすっきりした印象ではない。(髭のせいかなあ?)

いつものトムはスター的な輝きがあって、「私はトム・ハーディとは一生会えないし、付き合えない。。」と思う感じがあるけれど、本作のエディ役トムなら、「アメリカの普通のストリートで普通に出会って、普通に付き合えそう」と思えてくるから不思議です。やっぱりそう思わせてくれるところ、演技がうまいのでしょう。

トムは演技がうまい。でも、ひとつダメ出しをするとすれば、トムのアメリカンアクセントは、あまり上手じゃないということでしょうか。話の途中でも、(アメリカ人の設定だけど)英国人だなーと思ってしまいました。

トムは、インタビューで同じイギリス出身のゲイリーオールドマンを、俳優としてとても尊敬していると語っていましたが、ゲイリーはアメリカンアクセントもパーフェクト。ゲイリーの演技は本当に、誰にも叶わないですね。私も10代のころ、彼にハマっていました。

〇ヴェノムもルーザー

主人公のエディがルーザーであれば、地球外生命体のヴェノムも、実は自分の星ではルーザーである。これは、なんか考えたことがないプロットでした。

お互いに、ぱっとしないけど、地球という星で、一心同体の存在となれば、スーパーな存在になれる。共依存ともいえる関係性の中で、二人は親友のように信頼するようになります。

こうやって見ていると、最初はグロかったヴェノムの存在も、なんとなく人間味があって、かわいく見えてきます。ヴェノムが、「エディ、お前はルーザーだ」と言ってるときの、「それはわかっているけど聞きたくない!」というようなエディの顔も、かわいい。

このコンビがいいです。

〇ペースが速い

こういう大きなアクション映画は、ストーリーよりアクションを見たい。そういう観客の期待にこたえようと、制作側もアクションシーンを多く作ります。需要があって、供給があるというかんじで、本作も例外ではありません。

アクションの気分で見ているものであるだろうから、これはこれでいいと思います。私も冒頭に書いたように、現実逃避をしたくて見た映画ですから、最初のしょっぱなから、アクションだらけでいいのです。

全体的に、話の展開が早く、2時間弱という映画としては短めの尺で、ペースをポンポンとテンポ良く持っていくのも、とてもいいと思います。


3 考えたコト

〇自分の居場所

ヴェノムは、自分の星ではぱっとしない存在だったかもしれません。でも地球という居場所を見つけて、エディというホストを見つけると、水を得た魚のように、力を発揮することができました。

私も、そんな居場所を探したいなと思います。ヴェノムという映画にこんなことを教わるとは。みんな、自分が輝ける居場所を探しているんじゃないのかな。ひょんなことから、そういうものって見つかるのかもしれません。

自分はそのままでは、その環境ではいびつな存在かもしれないけれど、自分の力を発揮させてくれる誰かの力を借りたりして、案外順応していけることもあるのかもしれない。

〇特異なグレーの存在

敢えて言うなら、こういう「アンチヒーローのヒーロー」というお話も、とても面白いな、斬新で新鮮だなと思いました。やはり、私は普通のヒーローものは好きじゃないし、ヒーローとヴィラン(悪役)なら、ヴィランに魅かれてしまうのです。

ヴェノムも、悪っぽいけど、憎しみきれないようなかわいいところもあって、いつも善悪、白黒はっきりしたいアメリカで、特異な存在かもしれません。

4 あとあじ

〇見て、とてもよかった映画です。

最初は、「最後まで見れるかな、グロそうだし」、と思っていましたが、ちゃんと見えました。続編があるらしいので、今からわくわく待っていられます。

ラフなトム・ハーディを見られるだけでも、とても楽しいです。そして、サンフランシスコの街並みがとてもきれいで、またサンフランシスコに行きたいなあああと思いました。

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