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わけるはふえる

 珍しい食べ物をいただいた。バナナとプリンと柿とカスタードとマンゴーを足して5で割ったようなフルーツ。
 名前が可愛い。ポポー。 

 とろりとした果肉は甘く、トロピカルな強い芳香。半分に切ってスプーンで掬う。

 あまり出会わない食べ物や品物と遭遇すると、誰かにお分けしたくなる。勿論お相手が喜ぶことが前提で、気乗りされていない様子ならばすすめることはないのだけれど。

 そう、喜んだり華やぐことが前提。

 誰かが嬉しそうにしていると、それを見ているこちらのほうが嬉しくなる。分けると数は減るけれど、喜びは増す。

 ポポーはいたみやすいらしい。お裾分けには向かないのか、ならばジャムにしたら?いやそれには個数が足りないような。
 そんなことを考える時間もまた、美味しい。
 

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」