五十沢温泉

六日町の横に、五十沢(いかさわ)という地域が
ある。

ここだけ時間の流れが止まったような、
違う時間が流れているような、

そんな不思議な地域である。

この温泉を知ったきっかけは
友達が誘ってくれた裏巻機渓谷。

五十沢温泉ってのがあるみたいだよ!

最近、山の後のお風呂に輪をかけてハマっている
わしを思っての提案が、すごくうれしかった。

さっそく調べてみる。

新館と旧館があるらしい。

友達と行くなら、新館かなあ。

てことで、裏巻機渓谷の帰り道、
「五十沢温泉 ゆもとかん」に
車を走らせてもらった。

着いてすぐ目につくのは、

真新しいコインランドリー。

この五十沢温泉ゆもとかんでは、宿泊もできる。
そのためのコインランドリーだろう。

ゆもとかんを見上げる。

新館なのに、昔からここに建っていますと表記
されていそうな趣。
いや、新館とはいえ、この建物はわしより年上…
だよなあ…
いつもの、気になったけど記憶に留めておく程
興味がないから知れたらラッキーだなぁを
発揮しつつ、玄関に入った。

パンダ。

シカ。

クマ。

パンダ…

剥製達がお出迎え。

なぜパンダ。

気になりすぎて、受付のお姉さんに聞いてみた。

オーナーさんが、ゆもとかんを建てた記念で
買ってきたらしい。
たしかそんな感じの内容だった。笑笑

パンダの衝撃を受けつつも、
お湯に入れるわくわくで廊下を歩く。

宿も兼ねている建物のため、
お風呂までの道のりはまんま旅館。

混浴の露天風呂を横目に、
男女別の内風呂を目指す。

女湯には露天風呂の表記。

混浴に入れない人も露天が楽しめるように
なっている…!!!
なので、安心して出掛けてみてほしい。

脱衣所を抜け、浴室に入ると
ゆで卵のいい匂い。

硫黄が濃い

が第一印象。

シャワーからも温泉が出ているらしく、
金具?のところが変色している。
ホースとか劣化しないんかなあ。
硫黄のため、髪の毛を洗うと
若干ごわごわになる。
日帰り入浴の人は洗わない選択もあり。

内風呂の奥に大黒天さんみたいなのがいた。
内風呂はそこそこに、露天風呂に出てみる。

ドアを開けるとすぐにお湯。
トプンと落ちるように足を入れる。
透明なのに、すごい硫黄。なんだこれ
大きな石でぐるっと作られた湯船がいい感じ。
建物を見上げると、客室らしき窓。
覗こうと思ったら覗けるね〜
なんて話しながらお湯を楽しむ。
しかしほんとに濃い。長く入る必要がない。
石で涼みながらのんびり…より、
ここは腹八分であがるのが
ちょうどいい気がして、30分くらいであがる。

満腹感。

すごい、このお湯、満腹感がすごい。

なんか、うまく言えない満たされた感
があった。
いつもお湯から何かを摂取している感覚が
あるのだけど、ここのお湯が濃すぎて
お腹いっぱいだった。
短い時間で満足したいときは、ここがいい。

そして、別の日
五十沢温泉 元湯(旧館)
に行ってみた。

この日は、友達がお風呂に入らずに帰るかも
と聞いて、
それならば、元湯に入りたいと
わしの中のわしがはしゃいだ。

ゆもとかんの道路向かいの路地に
元湯はある。

玄関をあけると、管理人のお母さんが
本を読んでいた。
奥のお風呂場であろう方角から、お父さん達の
話し声がきこえる。

こんにちは

やわらかく、ハキハキとしたお母さんと
入浴の手続きをしながら会話をする。

元湯では湯治をしていて、現在は炊事場を
使えないため、ご飯は持ち込みでお願いしている
とのことだった。

お母さんは、雑誌でこの元湯が紹介されてたのよと指差しながら、椅子をすすめてくれた。
素直に座り、雑誌を見る。
写真は女湯。
ページのすみっこ、定休日は水曜日の文字。
今日が火曜日だったことを思い出し、
たまたまだけど、やっててよかったなあ
なんて思った。
お母さんはいろいろな話をしてくれそうな
雰囲気。居心地いいなあ。
あがったらまた話せばいいか
お母さんに、先にお風呂に入ることを伝えると、
こっちよと案内してくれた。

脱衣所の前の窓から見える赤いコーン、
あそこからお湯が沸いてるのよと
唐突にお母さん。
ええっ?
玄関の真ん前からお湯が沸いていてびっくり。
鉄板で蓋した上に三角コーンでいいんだ。
簡素だなあ。
なんか、大きなポンプみたいなのがあるイメージ
だったからシュールに感じた。

お風呂はタイルで四角。
引き戸が開きっぱなしになっていて、
廊下からすぐ湯船がみえる。
蛇口をひねると水が出るから、熱かったら
そのまま水を入れてねと言い、お母さんは
戻って行った。
蛇口をひねってみると、水が勢いをつけて
弧を描き、湯船に入っていく。
なんだか笑えた。
お湯の温度はぬるまっていた。

掛け湯をして、入る。

ザブゥんとお湯があふれる。
ちょうどいい深さ、そして、硫黄の匂い。
右角からお湯が出ている。
近づくと、熱い。
元の温度はもっと熱そうだ。
次来たときは、ぬるまっていないお湯に
ありつけるかな。

壁に空いた大きな窓から光が差している。

いい空間だなあ。めっちゃすき

床に寝てみる。

ひんやりした背中。

高い天井。

右の方が吹き抜けている。あっちは男湯かな。

もう一度入る。

不思議。湯船の床、向こうの隅がぐいんと曲がって浅く見える。
行ってみても、高さは一緒。へんなの。

床に寝る。

入る。

寝る。

繰り返すうちに、寝てしまっていた。
遠くの方で、水の表面が溢れそうで溢れない
音がして、気づいたら床の上だった。

めちゃくちゃきもちいなあ

もーちょっとごろごろしたいけど、
ここがあがりどきかなあ。
なんて考え、最後に浸かってあったまり、
お風呂をあとにした。

あがりました〜

お母さんに声を掛けると、一言二言何か言い、
冷たいお水をどうぞと炊事場に消えていった。
椅子に座り、時計を見ると14時半過ぎ。
1時間近く入っていたらしい。
お母さんが氷の入った水を持って来てくれた。
ミントが浮かんでいる。
一口飲むと、ミントの香り。
わしの家の水道に負けないくらいの硬水。
おいしい
コップ一杯の水を飲みきる間、
お母さんはいろんな話をしてくれた。
砂時計のようなゆっくりとした時間。
あの過ごした時間は忘れないと思う。

五十沢温泉、六日町のすぐ隣。
ゆっくりした時間を過ごしたくなったら
また行くと思う。
次は混浴の方の露天風呂に入りたいなあ。
でも、元湯のお母さんにもまた会いたいなあ。
元湯の方がごろごろできていいかもしれないし。
迷うなあ。
何回も行けばいいだけの話なんだけどさ笑笑

五十沢温泉、行ってみてね。

じゃあまたノ

〆_φ(・_・

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