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もしも命が描けたら とっても個人的な感想

シンプルな命の話、生死の話。
だけど命を与える、自分を犠牲にして誰かの幸せを願う、という感覚は私にとっては共感し難くて…

観劇した時の一番最初の感想は「生身の人間のエネルギーって凄い!」その次に「物語の奥で今正にエネルギーを絞り出している人がいる、この舞台上には月人と田中圭2人分の生がある」だった。
ストーリーは二の次になってしまっていた。圭さんの熱量を伝える為に誂えらた舞台だと思ったくらい。

でもやっぱり気になる月人の生き方。じゃあこの話は私にとってなんなんだろうと考えたときに
なぜ最期に月人は過去の自分(始まりの自分)に対して「面白い人生」と言えたのか、
という事に興味が湧いた。

それは、自分は8才の私に対して「面白い人生が始まるよ」と言えるだろうか、と思ったところからなんだけど…上手く纏まらないままだった。

でも急に腑に落ちた瞬間があって…
それは後で書くとして、私はこの物語をこのように受けとりました。

これは「出会い」の話。

「これまで出会ってきた人達そのものが自分の人生、それは愛おしいものだった。
そのことを教えてくれたのが星子さん、虹子さん、そしてお母さんを愛した陽介。守るためなら自分を差し出してもいいと思える彼らに会えた。そんなおまえの人生面白いぞ。」

「そして見ているあなたたちも。これも出会い。これまでも、これからも。気づかない事もあるかもしれない、だってそれはくだらない、なんでも無い日常。明日も同じように続く毎日。だけど出会っているんだよ。」

度々出てくる「自分のせい」
これがあるから人と関わるのって怖い。この恐怖は物凄く共感する。

もう一つ繰り返し出てくるシチュエーション。もらった言葉を同じ様な言葉で誰かに返していくことも、誰かと出会って関わっていくってそういうことだなぁ、と思った。

最後の魂の叫びみたいなセリフの中で、私の耳に残ったのは
「変えられるとしたらそれは出会いだ」
「意味や価値は出会いによって変わるんだ」

あのセリフ群はいろんな事を含んでいる様に思える。見る人、タイミングによって心に残るセリフがきっと違う。
例えば、誰かの為に生きる幸福の言葉。
もういない人や死そのものとの折り合いのつけ方の言葉。
経験や思考を切り出しながら作品をつくる人たちの声にもとれた。


私にとっては、先のセリフ二つがこの舞台そのものだった。

でも悔しいかな、2回観た東京公演ではなんとなくぼんやりしていて言葉として纏められなかった。

生のエネルギーに圧倒され、私のキャパはそれだけでいっぱいになってしまった。(いやでもそのエネルギーが半端なかった!!これが役者田中圭かぁぁぁ!と思った)

でももしかして、兵庫豊橋でブラッシュアップされたものが見られたら、出会った事による変化、関係性の成長がもっとはっきりと分かったのかも、と少し悔しい思いもある。

それでも「出会いの物語」と腑に落ちたのはこの舞台が物語と現実を切り分けづらかったから。

物語の文脈。それを包んでいるおさむさんや圭さんたち座組の文脈。両方がなければこれほど実感を伴なうことはなかったんじゃないかな。
そしてこの2つの中に観客である自分たちも仲間に入れてもらったような感覚。
これがこの舞台をとても面白くさせていて、これもまた出会いなんだよな、と思わせる。

そのいい例であり極め付けが大千秋楽の圭さんのスケブ。実はここで腑に落ちました(笑)

あれはずるい!というか、いいの!?言っちゃったよ!?と思った(笑)

圭さんの「これも出会いだ」に"あぁそうだよなぁ"をみんなで実感できたこと、なんだか涙が出る程嬉しかった。
(共感出来ることがあるってすごい^^)

でもそれって物語の外の話なので、そこを感想に含めていいのか分からなくなるんだけど、そもそもこの舞台、物語に感動してるのか、圭さんの切り崩す様な、絞り出す様なエネルギーに感動してるのかよく分からなくなるやつ、いや、合わせ技で攻めてくるやつなので、もうそこにひとつやふたつ加わってもいいか(笑)


ちょっぴり残念なことに、映像で見れば見るほど観劇で感じた月人とタブって見えていた圭さんは消えていっている。もう月人にしか見えない。

あれはあの時しか感じ得なかったものなんだなと思う。

だから舞台は生物。
でもドラマも小説も配信だって、その時の自分はその時しかいないんだからいつだって生物。

"月人は人生を繰り返している"という見方があると思うんだけど、実はその一つ一つは私たちが目にしたそれぞれの回だったのかもしれない。
映像の月人は映像の月人で、全く違うタイミングで見る人の元で別の人生を作るんだなぁ、なんて妄想したりする。


コロナ禍で最小単位家族で粛々と毎日過ごしていて、本当に出会いの機会って減ってしまって、そんな自分にとってこの舞台との出会いは衝撃的だった。

このタイミングでこんなに面白いものに出会えた私ラッキー!!
幕が上がった事に感謝!千秋楽まで完走して下さった事に感謝!配信を届けてくれた事に感謝!
あとは…円盤待ってます♡


まだまだ新しい月人に会いたいなぁ〜


東京公演観劇後の感想


東京公演観劇後に、圭さんである事を出来るだけそぎ落として感想を書こうと奮闘したあとの感想

https://twitter.com/kie00710moon/status/1432006973516488712?s=21