そして天使は嘘をついた。



この青い目の真っ白でふわふわした生き物は、




きっと天使だ。




天使はころころとぼくのもとに降りてきた。


天使は毎日床でころころと転がってた。


「ただいま。」

また今日も天使はころころ転がりながら窓の外を眺めてる。


この日常が特別なモノだったと気づいたのはもっと後の事だった。




ボクはこの家を出ることになった。

「ばいばい天使。大丈夫だよ。月に1回は会いに来るから。」

天使はきょとんとした顔で見つめるだけだった。





「天使、元気にしてるかな。会いたいな。」


気づいたら、2カ月、4カ月、半年会っていなかった。



📞「天使元気にしてる?」

📞「元気だよ。天使引き取ってくれよ。」

📞「え?・・天使嫌いなの?」

📞「天使がもう一人来たんだ。一人だとかわいそうだと思って。」

📞「・・・」

心臓が2℃下がった。

天使は嘘をつかなくても、人は嘘をつくんだな。



📞「天使の様子がおかしい。動かないんだ。」



天使が病気になった。



天使でも病気になるんだな。


久しぶりに見る天使は、がんで余命いくばくもない人間のように変わり果てていた。

天使は余命1カ月だそうだ。

天使が本当に死ぬのか?


「はい、あーん。ごはんたべよ?」
(食べたくないとそっぽを向く)

「食べたくないのか・・・少しでも栄養取らないと。。。」


なぜか涙が流れていた。


天使は『僕食べれるよ』とご飯を食べてみせた。


天使は嘘をついた。



今目の前にいる、ボクの天使がいなくなるわけがない。

だって、今ここに生きているじゃないか。


何か方法があるはずだ。僕はしらみつぶしに調べた。


「ごはんだよ。」
「・・・」

食べれない。

首を振ってご飯を避ける素振りすらない。

生と死の狭間にいるような目をしていた。


天使は動けなくなった。


僕もそろそろ受け止めないといけない。


見て見ぬふりは、出来ない。


呼吸も日に日に細々くなった。


今日は珍しくみんながそろっていた。


天使が動き出した。

前みたいに転げながら遊んでいる。



そして天使はぼくに嘘をついた。



『僕は元気だから心配しなくても大丈夫だよ。』

『だから昔みたいに笑顔でいて。』


「嘘つき。」


「そっか。。。」


ふふ。

「今日が最後の日だね。」

「きっと僕ら二人しかわからないねこれは。」

「今までありがとうね。愛してるよ。」




僕は目に湖を作りながら、満面の笑みで笑った。




次の日、天使は死んだ。



米津玄師_サンタマリア
米津玄師_vivi

#嘘つきな天使 #小説 #実話でありフィクション


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